2021年7月29日木曜日

フィリピン妻のワクチン接種

 昨日(7月28日)のこと。いつものように、朝8時前、仕事に出かけた家内が、2時間ほどで帰って来ました。何があったのかと思ったら「ワクチン打つ!」とのこと。メイドのライラの時と同じく、当日の直前連絡で慌ただしいことこの上ない。

フィリピンでの新型コロナワクチンの接種は、最優先が医療従事者で、高齢者、基礎疾患のある人、それに続いて教職を含むエッセンシャルワーカーという順番。グループ1〜4という具合に分けられているそうです。

家内は教師ではないけれど、教育省勤務なのでそれに準ずる扱い。この日はネグロス島シライ市の教育省オフィスのスタッフが対象だったらしい。帰宅したと思ったら、制服から私服に着替えて、お昼も食べずにまた出て行きました。

接種会場は、もうお馴染みの市営体育館。我が家からは歩いても15分ぐらいの場所です。もちろん家内は、トライシクル(オート輪タク)に乗ったでしょうけど。

さて、ライラの時はものの1時間ほどで済んだので、ランチタイムにちょっと遅れるぐらいかと思って、家内の分の食事も用意してたのに、待てど暮らせど音沙汰無し。さすがに心配になって2時頃、携帯に電話したら「まだ、待ってま〜す」。結局、接種完了で戻ったのが夕方4時過ぎ。6時間ぐらいかかってしまった。

家内はずっと体育館で待っていたのではなく、整理券をもらってオフィスに行き、そこでお昼を食べて仕事しながら待機。会場入りして2時間ぐらい待っただけでした。まぁ、それでも十分長いですけど。

後でよ〜く話を聞いてみたら、ワクチンは中国製のシノバックではなく、アメリカの製薬会社ジョンソン&ジョンソン製。(以下J&J)。教育省スタッフだけではなく、未接種の高齢者も受け入れ。「今回は中国製じゃない!」とばかりに、ダメ元で集まった飛び入り接種希望者もかなりいたようで、会場は激混み状態。なるほど、だから半日潰れちゃったのか。

終わってすぐは「看護婦さんが注射下手くそで、痛かった。」と不機嫌な家内でしたが、J&Jワクチンだったのはラッキーでした。

J&Jの開発したワクチンは、日本で接種が進んでいるファイザー、モデルナとは違い、ウイルスベクターワクチンというタイプ。ファイザーのメッセンジャーRNAが、有効率95%なのに対し、66.9%とやや落ちるものの、接種が1回で済むのが最大の利点。

何より、中国製のワクチンは治験結果などのデータが未公表なのに対し、接種回数は比較的少ないものの、素性がはっきりしていてヨーロッパでの実績もある。加えて、近隣のインドネシアでのデルタ株の感染爆発を目の当たりにして、中国製ワクチンの効果に不安を感じる人も多い。

実際、フィリピン国内でのデルタ株感染者数は連日テレビで報道。それに伴いマニラ首都圏では、一時緩和されていた各種の規制が、8月15日からまた厳しくなります。(その後8月6日に前倒しとなりました。)

ということで、まだまだ予断を許さない状況ながら、一番の身内がワクチン接種したことで、だいぶ明るい気分になりました。やっぱり映画やドラマと違い、ある日突然状況が好転するんじゃなくて、一歩づつ階段を登るのが現実なんですね。




2021年7月28日水曜日

フィリピンで飲むコーヒーの味

 私はコーヒーが好きです。

なんて書くと、微妙なブレンドの味が分かる「通」だと思われそう。そうではなくて一日三杯は飲まないと気が済まない、単なるカフェイン依存者。さすがにインスタントではなく、毎回コーヒーメーカーを使っております。

コーヒーを飲む習慣は、8年前のフィリピン・ネグロス島移住よりはるか前、まだ小学生の頃からのもの。コーヒー好きの小学生なんて、なんだか生意気で嫌味ですが、私が勝手に飲み始めたのではなく、同じくコーヒー好きだった両親の手引き。

当時は「子供のコーヒー」と称して、温めたミルクにネスカフェをスプーン一杯入れたカフェオレを、母が作ってくれてました。まだ家に電子レンジがなかった時代なので、毎朝小さな鍋とコンロでミルクを温めてたんですよね。今なら、そこまでして子供にコーヒーを飲ますか?と思いますけど。

私が社会人になった頃に、自前でコーヒーメーカーを入手。そこからインスタントは卒業して、挽き済みの豆で飲むようになりました。母方の叔父が、母に輪をかけたコーヒー好き。それも、サイフォンとアルコールランプ使って、超濃い目のストロングを愛飲する本格派。その影響もありましたね。

さて、フィリピンに永住しようとなった時、ちょっと気になったのがフィリピンのコーヒー環境。結果から言うと、スーパーではバタンガス(マニラ首都圏の南郊)などで作られたフィリピン製コーヒー豆を売ってるし、ネグロス島産のネイティブもある。数年前には、隣街の州都バコロドにUCC直営のカフェまでオープン。

ところが移住前、年に一度、家内の里帰りに同行していた時。たまにスーパーで買い物してたはずなのに、コーヒーの陳列棚をちゃんと見たことがなかった。家内の実家で出されるのは、スリー・イン・ワン。砂糖とクリームが最初から混ざっているインスタントで、これが地獄のような甘ったるさ。なんでも甘くしちゃうフィリピンテースト、ここに極まれり。


もちろんホテルやカフェに行けば、豆で入れたコーヒーが出ては来るものの、味はともかく、ほぼ100%ぬるい。猫舌さんが多いフィリピンなので、こうなっちゃうんですよね。コーヒーに関しては、あまり良い印象がなかった移住前。

さて、ネグロス島に引っ越してまずやったのは、新婚さんの如き家電製品購入。意外にも量販店には、そこそこ品揃えが並ぶコーヒーメーカー。日系の製品はなかったけれど、日本でも名前の通ったフィリップスを見つけました。

その後ずっとコーヒーメーカーはフィリップス一択で、もう4台目になりました。8年で4台とはちょっと寿命が短過ぎと思われるでしょうね。最初の2台は、ポットを割っちゃったんですよ。

日本だったらポットだけ交換できるのが、ここでは買った店に行っても、代理店の電話番号を教えてくれるだけ。電話してもなかなか繋がらないし、繋がっても何ヶ月かかるか分からない。それまでインスタントで我慢しろってか?こうなると数千円のことなので、新品を買ってしまった次第。

3台目は、少し大きめで丈夫そうなのを買いました。それは5年ぐらい持って、つい先月、ヒーターが寿命を迎えたらしく、スイッチ入れても熱くならない。決して長持ちとは言えないけど一応納得して、またもや即新規購入。


そしてその4台すべて、出来たコーヒーがイマイチのぬるさ。もうフィリピン向けの商品仕様ってそうなってるんですね。仕方がないので、毎回電子レンジで20秒温めて飲んでます。

もうひとつ不可解なのは、ちょっと大きなスーパーならば、挽いてない豆が売り場に並んでるのに、ミルを売ってるのを見たことがない。探してみてもネグロスで市販のミルは、手動も電動もどこにもない。マニラかセブにでも行けばあるのかなぁ?

いつもコーヒー買ってる、シライ市内の老舗カフェ・ベーカリー、創業100年の「エル・イディアル」。ここではネグロス産のネイティブコーヒーを仕入れています。ところが何故か、たまに挽き済みを切らしていて、豆しかないことが。ネグロスのコーヒー愛飲家のみなさん、一体どうやって豆を挽いてるですか?

そんなこんなで2年前の一時帰国。わざわざ大阪・梅田の阪急百貨店に行って、ちっちゃい手挽きコーヒーミルを買いましたよ。

以来、二日に一度ぐらいコーヒー豆をガリガリやってます。本当は一杯分だけ毎回挽くのがいいは分かってます。でも、最初に書いたように、味や香りにあまりこだわりがない私なので、そこまでの手間はかけてません。

ということで、今日もコーヒーカップ片手に、この投稿を書いております。



2021年7月25日日曜日

アップデートしなかった日本


とうとう東京オリンピックが始まってしまいました。いろいろ「大人の事情」があるんでしょうけど、私は今でもこのタイミングでは、開催するべきではなかったと思ってます。どう考えたって、それどころじゃない。ワクチンの目処も立ったのだから、もう半年ぐらい延期って、それほど無理なことだったんでしょうか?

そして、オリンピック開催が決まった当初からのゴタゴタ続き。ここに改めて書くまでもなく、一度決まったはずのプランやデザインがやたらと引っくり返るし、相次ぐ責任者の降板や解任。「呪われたオリンピック」と言われるのも仕方がない。

ただ、新型コロナの世界的流行は不可抗力だとしても、仕事の進め方や物事の決め方に致命的な欠陥があったように思います。これは何もオリンピック組織委員会だけのことではなく、日本全体の問題。私の見るところ、もう100年は引きずっている「宿痾」のようなもの。それが今回のオリンピックで炙り出された感じ。

たまたま昨日読んだ、安川新一郎さんという人の書いた記事によると、相次いだ辞任劇は、理不尽な要求を連発する組織委員会の体質に原因があったと言います。世界的にも名が知れた、その道では超一流の著名人が、次々と組織委員会に見切りを付けて辞任。結果的に、十分な身辺調査を行う余裕もないまま、慌てて任命した人たちの過去のスキャンダルが、開催直前になって噴出してしまったとのこと。

こういうのって、日本の企業に勤めていた私にも、思い当たる節があります。現場の意見に基づいて練り上げ、各部門責任者レベルの承認も得たプランが、会議にも参加しなかったトップの思いつきで、全部やり直し。あるいは「今になってそれを言うか?」的な変更要望。

おそらく、個々のリーダーの資質というより、原理原則に則り、理詰めで議論して結論を出す、そしてその結論は、それを覆すだけの状況の変化がない限り尊重されるという、当たり前のことが訓練されてないから。すぐに感情が表に出てしまい、議論じゃなくて口論になりがちな日本人の悪い癖。これは自戒も多いにあります。

ここ最近、出したり引っ込めたりの緊急事態宣言を見てると、その感が強くなるばかり。何を基準に宣言を出して、何がどうなったら解除なのか、さっぱり見えてこない。「雰囲気」や「空気」を読み「感情」で決めてるとしか思えません。

そんな日本でも、何とかGDP世界第3位を保っていられるのは、現場の優秀さのお陰。少し前にも書いた通り、ワクチンの開発では周回遅れで、買い付け交渉も、お世辞にも手際良かったとは言えないのに、いざ接種が始まったらワクチン供給が追いつかないほどのスピード。

ただ不眠不休で頑張るだけでなく、システムの見直し・改善が驚異的な速さで進められているそうです。こうなるとフィリピン在住者としては、羨ましい限り。7月20日(2021年)現在で、日本の累計接種回数が約7,400万回に対して、フィリピンはまだ1,500万回。ちょっと前まで同じぐらいだったんですけどね。

先日のオリンピック開会式にしたって、ビジョンがないなどの批判はあれど、私の友人を含めて、ネット上の意見を見る限り多くの人が、夜更かしして見る価値があったと評価しています。さぞかし現場は大変だったでしょう。ご苦労お察しいたします。

結局のところ、現場のマネージメント力、つまり戦術は世界最高水準なれど、その上の戦略や政略では三流としか言えない日本。政治・文化・産業のすべてにおいて、欧米を手本にすればよかった1980年代までのやり方を、バブル崩壊の痛手を受けてなお、30年以上もアップデートしなかったツケが、一気に回ってきてます。

その戦術面でも、長年それだけに頼ってきた弊害、行き過ぎた長時間労働やメンタルヘルスの問題が表面化して久しい昨今。私が日本から逃げ出したのも、まさにこれが原因。

最後に、私がツィッターでフォローしている岩田健太郎さん(神戸大学大学院医学研究科教授)の言葉を引用します。

私が思い描く最悪のシナリオは「大会が運良く成功してしまうこと」です。万にひとつでも東京五輪が成功したら、日本の進歩はありません。長期的にはさらなる手痛いダメージを負う可能性があります。ただでさえ、「安心・安全」「成功だった」と片付けることのできる余地を残した東京五輪です。間違った教訓を植え付けないためにも、私はこの時期の開催には反対です。


 

2021年7月23日金曜日

錆びた水道水の浄化大作戦

 住んでいる地域や住宅によって、かなりの差はあるものの、フィリピンで悩まされるのが水道水の品質。もちろん、世界でも珍しく濾過も煮沸もせずに飲める日本の水道水と、比べるつもりはありません。それにしても、私が今寝起きしている築1年のゲストハウスは、ちょっとひどい。

何がひどいって、水が錆びてるんですよ。それも何となく錆びの臭いがする...程度じゃなくて、ガラスの水差しに入れたらはっきるわかるぐらい、赤茶色く濁っている。飲料水は別途水タンクで購入しているので、生活に困ることはないにしても、歯磨きすると錆び味。

シャワールームのタイルや便器は、週に一回メイドさんがきれいにしてくれてますが、すぐに黄ばみが浮き出してくる。まるで掃除を怠って、排泄物を付着したままにしてるみたいで、見苦しいことこの上なし。

この際なので、フィリピン人の名誉のために言及しておきますと、多くの家庭で水回りが薄汚れて見えるのは、大抵は水錆びが原因だと思われます。まぁ中には、本当に掃除もせず黄色いまま放置、なんて人もいるでしょうけど、それはよほどの貧困世帯。

そして水道管の老朽化が、錆びの元凶でしょうね。

とにかく、保守点検の類いが至って苦手なフィリピンの人々。分かりやすいのが電気・電話の配線。よくここまで無秩序にできるなと感心するほど、どこを見てもスパゲティ状態。電線はまだ見えるからいいけれど、地下に埋もれた水道管など、一体どうなっていることやら。

ちょうどこの投稿を執筆している7月23日(2021年)、マニラ首都圏は長雨の影響で、あちこちの道路が冠水しているそうです。おそらくフィリピンのどの都市でも、下水道が満足にメンテナンスされてないから。

そんなことを、外国人居候の私が思い悩んでも仕方がない。水道管が変えられないのなら、その先を工夫するしかありません。ということで、考えたのがフィルターの設置。

最初は、蛇口に先に付ける簡易式のをいくつか買えばいいかと、近所のホームデポへ。やっぱり困ってるのはみんな同じで、100円ぐらいの安いのがありました。


ところが、それで問題解決できるほど甘くはないフィリピンの水道事情。蛇口の形が見事なまでにバラバラで、何とか取り付けられたのが、4つある蛇口の一つだけ。それも安物なだけあって、浄水効果はほとんどなし。

さればと、州都バコロドの大型店へ探しに行ったのが1ヶ月ほど前。

あるところにはあるんですよね。日本でも売ってたような、デカい茶筒みたいな円筒形のフィルター。そこそこ種類が多いということは、常備品、とまではいかなくても、使ってる家が多いんだろうと思われます。

ただ、すべての蛇口毎に取り付けないといけないので、これは面倒過ぎる。しかも数千ペソ。(数千円から1万円)

いろいろ見て回って最後に見つけたのが、家一軒分の水道水をまとめて浄化する、高さが30センチぐらいの大きいフィルター。飲めるほどの浄化レベルではないからか、本体が約800ペソで、月一回程度交換のフィルターが100ペソ。

ということで先日、家内と連れ立って購入しました。ありがたいことに、別の配管工に頼まなくても、売り場のセールスマンが設置もしてくれるとのこと。へぇ、大手ホームデポのセールスなんて、全然信頼できなくて大したことない人ばかりと思ってたので、実に意外な展開。

二日後に来てくれたこの兄ちゃん、名前はフリオ君。「商品を売るには、設置の知識も必要ですから」と、至極真っ当な発言。メーカーで配管の訓練を受けたんだそうです。フリオ君の偉いところは、言うだけでなく、仕事もキチンとしていたこと。


フィルター取り付けに加えて、加圧用に設置した水タンクの水抜きも実施。作業完了後、ずっと気になってた錆臭さはほとんどなくなり、水の透明度もぐんと上がりました。(代わりに少し薬臭いのは、フィルターのせい?)


タンクから抜いた水
これで毎日、歯磨きしてたのか

ということで、蛇口を捻るときれいな水が出るという、日本なら当たり前のクオリティ・オブ・ライフを実現するのに、結構な手間を要したというお話でした。ところで母家の方は、竣工以来水質トラブルがないのは、なぜなんでしょうね?



2021年7月19日月曜日

一時帰国でワクチン接種


出典:NHK
 在マニラの日本大使館ホームページによると、本日(7月19日)から、「一時帰国時の新型コロナ・ワクチン接種事業」のインターネット予約受付が始まったそうです。試しにアクセスしてみたら、開始後数分しか経ってないのに、「現在順番待ち」との表示。う〜ん、やっぱりそうなるか。

このワクチン接種事業、往復フライト手配や費用は全部受益者負担で、場所も成田と羽田限定。しかも2回接種前提なので、このためだけに2往復なのか、空港の宿泊施設で3週間も待って2回目を受けるのか?

さらに私のように、成田・羽田への直行便がない地方都市在住の場合、費用も手間もさらにたいへん。しかも家族連れとなったら、大抵の世帯には無理でしょうね。それなら、中国製でもいいから、フィリピン国内で接種の順番が回ってくるのを待つ方が、よっぽど現実的。

案の定、発表当初から日本人コミュニティからは「非現実的」との声。ワクチンが潤沢な欧米諸国は別として、フィリピン以外の接種が困難な国でも同様の措置なので、どの程度の在留邦人が利用するんでしょう? 少なくとも、私がSNS経由で知り合ったフィリピン在住の方から、積極的に参加するという意見は聞かれません。

こう書くと、日本を捨てた奴らが、何を贅沢な事をほざいとる、なんて罵詈雑言が飛んできそうです。しかしながら、フランスの在ベトナム大使館では、母国からワクチン(モデルナ製)を空輸して、ベトナム政府認可の元、自国民にワクチン接種をするそうです。やって出来ない話ではない。

まぁ、何もせず放置するよりはマシと思ってるんでしょうけど、対費用効果を考えたら、このやり方って疑問符がつきます。そもそもフライトはコロナ前よりずいぶん高くつくし、ただでさえ遅延・欠航も心配のタネ。地方からマニラへの国内便が当日キャンセルで、帰国便に間に合わないなんて、目も当てられません。

これって、現地の事情が分かっている大使館の職員さんも、同じように感じてるはず。このところのコロナ関連政策では、発表直後に撤回したり、責任の所在を明確にしないなどの醜態が目立つ日本政府。お得意の「やってる感」を醸し出すために、現場が混乱するというパターンになりそう。

いずれにせよ私には、どこをどう叩いても無理な話。マスク着用と手洗い、うがいを励行しながら、気長に順番を待つしかありません。



2021年7月17日土曜日

私的フィリピン美女図鑑 悲劇のヒロイン ララァ・スン

 ここ最近、機動戦士ガンダムのシリーズ最新作「閃光のハサウェイ」や、それに先立って配信が始まった、ファースト・ガンダム三部作と「逆襲のシャア」を観たりで、すっかりネットフリックスの思惑にハマっております。

ハサウェイがよく出来た映画なのは、しばらく前に投稿した通りなのですが、改めて驚いたのがファースト・ガンダム物語の完成度の高さ。これは、ほぼ同時期に制作された「宇宙戦艦ヤマト」にも言えること。最初の設定が堅牢だったので、その後何年も続編が作られたんでしょうね。

ガンダムに出会った時、私は中学生。テレビシリーズの終盤に登場した、インド出身の美少女キャラ「ララァ・スン」は、思春期真っ只中の私に、強烈な印象を残しました。

ニュータイプ(一種の超能力者)としての素養を、地球連邦と敵対するジオン公国のシャア・アズナブル大佐に見出され、軍隊経験もなく、パイロットの訓練も受けないまま、モビル・アーマー(単座の戦闘機みたいなもの)を操縦して、初陣で大戦果を上げたララァ。

人物設定が、1970年代の子供向けアニメとは思えない凝りようで、戦争で両親を失い、幼い弟たちを養うため、高級娼婦として働いていた時にシャアと出会ったのが、ジオンのパイロットなるきっかけ。

もちろん中学生をターゲットにした番組なので、これは後に、製作者の富野由悠季さんが、ガンダムをノベライズした際のストーリー。それにしても当初から、「私のような女を拾ってくださって...。」と、自虐的に語るセリフがあり、大まかには富野さんの頭の中にララァ像が固まってたんでしょうね。

後付けで恐縮ですが、これっていかにもフィリピンでありそうな話。大勢の弟妹を養うために、長姉が外国へ出稼ぎに行ったり、エルミタ近辺のクラブやカラオケ・バーに、売春前提で勤めたり。単にロマンチックで神秘的なだけの美少女ララァが、これを聞いて以降の私には、血の通った身近な存在に感じられるようになりました。

まぁ、女性を天使と娼婦の両極端でしか見られない、馬鹿な男にありがちなメンタリティで恥ずかしながら、そういう複雑さが、キャラクターの魅力だと思えるのも、私がある程度の年齢になったからかも知れません。

ということで、モデルに選んだインド女優のアマラ・ポール嬢(Amala Paul)。アニメのララァと比べると、美少女というより完璧に大人の美女。1991年生まれで、今年(2021年)30歳なんですね。私には、若くして人生の裏街道を知ってしまったララァに、相応しく見えました。実際アマラは、かなりスキャンダラスな役柄も演じているそうです。

フィリピン美女図鑑なのに、生粋のインド女性を描くって反則のような気もしますが、フィリピンにはインド系住民もいるし、そこは平にご容赦を。



過去の「私的フィリピン美女図鑑」は、こちら。

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2021年7月15日木曜日

日本からのワクチン供与

 前回の投稿から、ちょっと間が空いてしまいました。ここ数日、美女イラストの次作が仕上げの佳境に入っておりまして、根が不器用な私ゆえ、どうしてもあっち立てればこっちが立たず。気がつくと、一週間近くもブログを放置してました。


出典:日本経済新聞

それはさて置き、今日は、日本からのワクチン供与の話題。先週金曜日(2021年7月9日)到着したワクチンをドゥテルテ大統領が出迎えたと、フィリピン国内でも大きく報道されました。

こちらも一週間前の旧聞ながら、私はまだ喜びの余韻に浸っております。この感覚って、海外在留邦人、特にフィリピンのような発展途上国に住む日本人じゃないと分かりにくいかも知れません。

ただでさえ、国外の同胞への態度が冷たい日本政府。今に始まったことではなく、古くは太平洋戦争前のブラジル移民など、移民ではなく「棄民」と揶揄されたそうです。どうも、海外へ出ることは、国を捨てる、あるいは逃げ出すと捉えがちな国民性。

つい昨年も、コロナ禍の被害救済策で国民に10万円の支給があった際、一部の議員さんから、海外在住日本人にも同様の手当をとの働きかけがあったものの、いつのまにやら沙汰止み。この件は少し特殊にしても、困窮して在マニラの大使館に助けを求めても、災害や犯罪に巻き込まれでもしない限り、何の助けもないらしい。「勝手に国を捨てたんだから、自己責任」というわけ。

考えてみたら、国内でも生活保護を出し渋るような体質なので、日本国憲法第11条に謳われた「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない」は、無視とまでは言わないけど、かなり軽んじられてる気がします。「自己責任」って、つくづく嫌な言葉ですね。少なくとも一国の政府が、自国民に対して使う言葉ではないと思います。

そんな、日頃やや僻んだ気持ちでいるもんだから、政府としてタイミング良くワクチン供与するとなると、嬉しくもなります。

もちろん、フィリピン在留法人が優先して接種できることはないし、分量も100万回強で、接種が遅々として進まない現状を、一挙に改善するレベルでもない。それでも、少なくとも、フィリピン及び、フィリピンに住む日本人のことは忘れてませんよとの、明確なメッセージ。

台湾にも同様にワクチン供与がありましたが、これには、総統の蔡英文さん自ら感謝の言葉をツィート。私の台湾人の友人からも、まるで私が日本政府代表のごとく、お礼のコメントがあったり。今では彼らの気持ちが、よ〜く分かります。

ところが、ツィッターでシェアされたNHKニュースに対するリプライがひどい。「海外にバラ巻きやってる場合か?」「日本で使わないアストラゼネカで人体実験」「ワクチンの政治利用」などなど。本当は、もっと口汚い言葉も使われてました。

確かに、国内でのワクチンが不足気味との報道はあっても、これは、ワクチン接種のスピードが驚異的に速くなったから。当初は目標が100万回だったのが、あっと言う間に140万回。河野担当大臣から「120万回程度に抑えてください」との要請がでるほど。日本の超絶的現場力が理由なので、それと別枠のアストラゼネカ供与の話を、ごっちゃにしてはいけない。

そして、アストラゼネカ製がまるで得体の知れないワクチンで、日本人が使わないものを外国に押し付けたのような発言は、まったくのデマ。驚くことに野党議員まで、その尻馬に乗ってる。現にイギリスでは、これで感染をかなり押さえ込んでいる実績はあるし、懸念された血栓などの副反応については、今年3月、WHOから正式に「因果関係に証拠はない」として、接種継続を呼びかけてます。

そもそも今回のアストラゼネカ・ワクチンは、日本で生産されたもの。政策として、ファイザー、モデルナ以外にも有望なメーカーと先行契約していたのは、当然のリスクヘッジ。余剰分を有効活用のどこがダメなんでしょう。

最後に政治利用するなって言うなら、まず中国とロシアにその矛先を向けるべき。特にワクチンを盾にした中国の台湾いじめは醜態のレベル。海外メーカーに台湾にワクチンを売らないよう圧力をかけて、台湾の中国帰属を認めることを条件に、自国ワクチンを提供するって、もう無茶苦茶。

つい最近も日本を含むG7で、人権と台湾の問題に関して、従来にない強い態度の共同声明が採択されたばかり。領土問題で中国と係争を抱えるフィリピンに、手厚い対応をすることは、回り回って日本の国益になる行い。

ということで、例によってまた少々熱くなってしまいました。

いずれにしても、近隣諸国に人道的見地での日本ファンを作っておけば、私のような在留邦人が、住みやすくなるだけではありません。差し当たっては、超高齢化時代に入った日本にとって、フィリピンは人材の宝庫。マジで助けてもらうことになる可能性は、かなり高いですよ。



2021年7月10日土曜日

南国映画館「閃光のハサウェイ」

コロナ禍のために、当初の公開日が1年近く延期され、さらに直前になっての緊急事態宣言により再延期。今年(2021年)6月11日に、やっと日本の映画館で観られるようになった、ガンダム・シリーズの新作アニメ映画「閃光のハサウェイ」。それから1ヶ月もしない7月1日に、日本以外の全世界で、ネットフリックスから配信が始まりました。

それに合わせた訳ではないけれど、ここネグロス島シライへの光ケーブル敷設に伴い、遅まきながら100Mbpsの正真正銘ブロードバンドになった我が家のネット環境。まるで万全を期したようなタイミングで、配信日を迎えました。(本当に観たのは一週間後ですが。)

いつもなら寝室のテレビで一人で観るんですが、せっかくなので、ジブリを始めとして日本のアニメが好きな、中学生の息子と親子で鑑賞。

40年前のファースト・ガンダム三部作と続編の「逆襲のシャア」まではリアルタイムで熱心に観ていた私ですが、その後は世界規模のファン拡大に背を向けていたのは、少し前に投稿した通り。(イロンゴで語るガンダム

そんな、忘れていた関心に火を付けたのは、新作がフィリピン・ダバオが舞台となるから。知ってる人には当たり前ながら、実は「閃光のハサウェイ」は、ずいぶん前に、ガンダム・シリーズの生みの親である富野由悠季さんが執筆した、小説が原作なんだそうです。

昨今話題のドゥテルテ大統領任期に便乗してわけではなく、おそらく元々ダバオが取り上げられていたんでしょうね。

さて、フィリピンとは無関係のファンの方々には、かなり邪道な動機でも、やっぱり本編ではダバオの描写が一番の注目点。結論から言うと「すごい」の一言。

オープニングから意表を突く、モバイル・スーツではない生身の人間同士の息詰まるようなアクションで、ぐっと物語に引き込んでおいて、満を辞してのダバオのシーン。背景の空や山並みを一瞥しただけで「これはフィリピンだ!」という仕上がり。

この手のご当地ロケ映画で私が覚えているのが、日本で撮影されたジェームス・ボンド映画の「007は二度死ぬ」。昭和42年(1967年)公開で、劇場ではなくテレビで観たのですが、確かに日本人俳優の丹波哲郎さんや若林映子さん、浜美枝さんが準主役級で登場し、当時の東京の風景が、絵葉書っぽく出てきます。

ところが、ボンドを支援する日本の特殊部隊が忍者だったり、ずいぶん無理矢理な設定で、和服姿のボンドと文金高島田の浜美枝さん演ずるキッシー鈴木(すごい名前)が偽装結婚したり。もう突っ込み所満載の、大・勘違い作品。

それに比べると、少なくともフィリピンに8年以上住んでいる私の目から見て、フィリピンの街並みは、綺麗な場所も貧民街も、そして食事シーンのジョリビーと、制服の店員さんに至るまで、再現度が極めて高い。無理に見せてる感じもしない。単に丁寧なロケハンをしただけでなく、フィリピン人スタッフが参加してるんじゃないかと思うぐらい。

主人公のハサウェイが滞在するホテルの豪華さぶりが、かつて私が業務出張で初めてマニラで泊まったホテル、ザ・ペニンシュラを思い出させました。あまりにリアルなので、何百年か先の未来でも、やっぱり貧富の差は今と変わらないのかと溜息が。

さらにマニアックなのは、他の島への移動手段がフェリーなんですよね。これって、住んでないとなかなか気付かない描写。多島国家フィリピンの一般庶民にとっては、飛行機よりもフェリーの方がずっと身近な交通手段。もちろん未来の話なので、乗り場もフェリーもきれいにアップグレードしてはいても、フィリピンの生活実感がこもってます。

トドメが、連邦軍の制服が半袖なこと。それだけでなく登場人物のすべてが、ちゃんと暑そうな演技をしてる。

とまぁ、本筋とは違うところで盛り上がってしまいましたが、全体としても満足できる映画でした。ちょっと残念なのは、これ一本で完結じゃなくて、三部作の第一エピソードだったこと。伏線を張るだけ張って、どうやって回収するのかと思ったら、そのまま放置でエンドロール。

これでは、続きを観ないわけにはいきません。ということで、ガンダム・ファンにもフィリピン・オタクにも、一押しのお勧め作品です。

2021年7月8日木曜日

メイドのワクチン接種


 我が家のメイド、ライラおばさんが、本日(2021年7月8日)新型コロナのワクチン接種をしました。まだ一回目とはいえ、ようやく身近な人たちまで順番が回ってきたと、喜んでおります。

日本や諸外国同様、最優先は医療関係者。次いでエッセンシャル・ワーカー。この区分には、教師を始めとして教育関連業務に従事する人も含まれていて、教育省勤務の家内もこの枠。それよりも、心臓病、糖尿病などの基礎疾患がある人が早いようです。

ライラは、家内がバランガイ事務所に高血圧と申告していたので、当の家内より先に接種のタイミングとなりました。

この辺りまでは、日本とだいたい同じような感じながら、接種のお知らせは、当日いきなり携帯に連絡が来るらしい。朝は普通に出勤してたのが急に「ワクチン打ちま〜す。」と慌てだしたライラ。

話を聞いてみると、もう高齢のお母さんや親戚が接種しているので、ワクチンそのものに対する忌避はなくても、どうやら注射が怖い様子。何時間も前から、側から見ても分かるぐらいの緊張ぶりで、ライラには悪いけど、笑いが込み上げてきました。もう四十代も半ばなのに子供みたい。

午後1時から、シライ市内の体育館で集団接種だったので、ランチを済ませてすぐに出かけたライラ。体がダルかったり、腕が痛いようなら、そのまま帰っていいよと伝えましたが、律儀にも2時過ぎには戻ってきました。ファイザーかアストラゼネカだったら良かったんですけど、残念ながらのシノバック。まぁ、何もしないよりずっとマシですけど。

副反応は大したことはないけれど、接種前に緊張し過ぎてクタクタに疲れたと、洗濯物の取り込みだけ済ませて、早々に引き上げました。取り敢えずはひと安心。

さて、ライラおばさん。実は先週末で勤続が丸三年。我が家の歴代メイド五人の中でも最長記録を更新中です。三人目のネルジーが2年3ヶ月働いてくれた以外は、最初の二人が半年しか保たず、四人目のジャジャに至っては四日目に辞めちゃったし。

たまたまなのかも知れませんが、ライラ以外は全員未婚で、ティーンエージャーから二十代の前半。やっぱり遊びたい盛りの女の子であったり、実家に戻れば居場所と食い扶持があると、つい里心がついちゃうようです。

それほど厳しい仕事をさせた覚えもないけれど、生まれた時から大家族や隣近所の人々と、身を寄せ合うように暮らしているので、だだっ広い家に、親子三人しかいないのは、はなはだ心許なく感じるんでしょうね。

そう考えると、クウェートでの海外出稼ぎ経験者で、旦那さんとは別居して中学生の子供を一人で育てているライラ。加えて、高齢のお母さんの面倒までみているので、今までの四人とは背負っている重荷が違います。

年齢的に更年期障害の症状が出たり、膝が痛いとかアレルギーで咳がでるとか。冒頭に書いたように高血圧も心配。数ヶ月に一回は、急に数日から一週間ぐらい欠勤することもありますが、何をやらせても大失敗がないのは、さすがの安定感。

ということで、雇い主より先にワクチン接種もしたし、この頃は体調もそこそこ。細く長くでいいので、この先も私たち家族の移住生活を、支えていってほしいものです。


2021年7月4日日曜日

埋め難き感覚の溝

 これはフィリピンと日本の間に限ったことではないけれど、生まれ育った国が違うと、根本的な価値観や常識の感覚に、どうにも相互理解が難しい溝があるもの。

昨日(2021年7月3日)のイロンゴ語レッスンでのこと。たまたま私がフィリピン・ネグロス島に建てた家の竣工7周年で、いつものように宿題で「大きな家に住むのが、私の昔からの夢で、子供の頃は、このゲストハウスと同じ大きさの家に、家族5人で狭かった。」みたいなイロンゴ作文を用意。

今はお客さんが来ないので、離れとして使っているゲストハウスは、昔の実家の間取りを再現したもの。2LDKで、夫婦と一人っ子ぐらいなら楽に暮らせても、三人兄弟だった私には、中学生以降ぐらいから、狭く感じて仕方がなかった。

ジョークのつもりではなく、素直に思った通り書いたのですが、家庭教師のアンはちょっとシラけた表情で「私が子供の時は、同じぐらいの家に9人住んでましたよ〜。」とのこと。狭過ぎて、リビングルームが夜は寝室になって、そこにも子供たちを寝かせてたらしい。

ちょっと焦って「日本でも昔は畳の部屋が、リビング・ダイニング・ベッドルーム全部兼用だったんだよ。」と、ネット検索した和室の写真など見せて説明したら、私の家の床は竹で編んだ粗末なもので、こんなのとは違いますと、さらに墓穴を掘ってしまった。

まぁ落ち着いて考えたら、アンがこう言うのも当たり前。ネグロスならば、家の広さも子供の数も、それぐらいでまったく不思議はありません。家内の親戚や、息子が通う私立学校の生徒とその父兄などは、平均以上に経済的に恵まれていることを失念しておりました。

こういう会話が積み重なって「日本人はみんなお金持ち」なんてステレオタイプができたんでしょうね。

これは比較的分かりやすいケースで、笑って済ませられますが、本気でフィリピンに住むとなったら、深刻な対立になることもあります。典型的なのは、騒音や煙。街中のかなり建て込んだ住宅地でも、朝から深夜までガンガン音楽を流したり、庭にごみや落ち葉を集めて盛大に焚き火をしたり。

貧困層になればなるほどこの傾向が顕著で、なまじっか静かだと寂しく感じると言います。なるほど、先代のメイドさんで山育ちだったジャジャは、寂しいからと数日で辞めちゃいましたね。私たち家族の住むセント・フランシスは、シライ市内でも数少ない「閑静」が売りの住宅地。家の周囲には、騒がしいトロトロ(大衆食堂)や、店の前に者がたむろするようなサリサリストアー(雑貨屋)もない。

焚き火については、もう国民性(ネグロス島民性?)のレベルにまで染み付いた習慣。週に一度はゴミ回収車が来るんだから、それに出せばいいものを、とにかく煙を上げるのが大好き。つい先月など、やたら家の近くで煙がモウモウ。ちょっと文句言ってやろうと思ったら、犯人は我が家のメイド、ライラおばさんだったり。苦笑するしかありません。

それ以外で、こっちでビジネスをする時に困るのが、金銭感覚の深い溝。未来形で物事を考えるのが苦手な人が多く、中には前回投稿した家内やその親戚のように、きっちりしてる人もいますが、まだまだ銀行口座がなくても驚かないネグロス島民。

その日か、せいぜいその週の稼ぎで、家族を養う生活なので、計画的に貯蓄する習慣が根付かないんでしょうね。有ったら有るだけ使ってしまう。以前こっちの友達に、私の生活は、日本で働いて貯めたお金や退職金を、毎月少しづつ使うことで成り立ってますと話したら、フィリピン人には到底無理ですと、変な感心のされ方をしました。

さらに複雑なのは、同じフィリピン人でも、富裕層と貧困層の感覚の違いがすごい。私がこちらで思うのは、一般的な日本人って、裕福な華僑系のビジネスパーソンと同じなんじゃないかということ。お金を適正に貯めて使って、時間を守る。ビジネスの基本中の基本。

自宅建設中には、いろんな建材屋さんと取引をしましたが、納期や品質で信用できるのは、やっぱり華僑の商売人。特別優秀とまでは思わないにしても、日本にいるのとほぼ同じように仕事が進むし、無理なことは無理と、はっきり言ってくれる。経済が華僑に独占されてしまうのは、仕方がない。

でも困ったことに、お金や時間にシビアなことが、反感を買うタネにもなってしまうのがフィリピン。事情も知らずに「中国人は金に汚い」なんて風説を鵜呑みにする日本人もいますが、大抵の場合は、逆恨み。約束通りに集金しようとしたら「お前は金の亡者だ」と罵られてしまうお国柄。

郷に入れば郷に従えとは、よく言われる諺だし、わざわざフィリピンに移住して地元の人の感覚に異を唱えるのは無意味。そもそも「善悪」じゃなくて「違い」でしかないんですよね。ネグロスに骨を埋めるつもりの私としては、慣れるしかないことは慣れる努力をして、それがダメな場合は、何とか創意工夫で乗り越えるしかなさそうです。


2021年7月2日金曜日

私的フィリピン美女図鑑 72歳の叔母マミー・スモール

このところ、身内ネタが続いている美女図鑑。今回またもや身内。しかも今年72歳になるという、州都バコロド在住の叔母、「マミー・スモール」がモデル。

もちろんこれはあだ名で、本名はテレシタ・オフィレニア・バトーさんといいます。家内の母を筆頭に、6人のオフィレニア兄弟姉妹の第三子にして次女。全員あだ名があって、義母ヨランダが「ママン」。長男フルバート「パパ・ボーイ」。「マミー・スモール」のすぐ下の妹二人が「ミス・ママ」に「アンティ」。末っ子で現在シカゴで看護師をしているのが「ノノイ」。

お察しの通り、大人になってから、しかも子供や甥・姪から呼ばれた名前。どういうわけかノノイ以外は、「お母ちゃん」とか「叔母ちゃん」みたいな、個人を特定できないような呼称。既にママンとパパ・ボーイは他界していて、パパ・ボーイの葬儀の時には、友達に「パパ・ボーイが亡くなって...」と言ったら、案の定、私の義父だと思われました。

ここまでは、フィリピンあるあるなんですが、フィリピンらしくないのが、オフィレニア一族の自立心の高さ。若いフィリピーナと結婚した中高年日本男性がよく愚痴るのが、会ったこともない親戚から、金を貸してほしいと言われた云々。

私も家内と一緒になる時は、この手のトラブルを覚悟したものの、家内の両親を始め、親戚から金の無心をされたことは皆無。それどころか、義母が亡くなった時に、別の日本人の親戚が、香典として手渡そうした多額の現金を「私たちは乞食じゃない」と突っ返したぐらい。

一度だけアンティにお金を貸した時でも、老後に用意していたという宅地の権利書を担保に差し出したし、10年以上かかったとは言え、全額キャッシュで返してくれたのは、驚いたものです。(キャッシュ・バック30万ペソ!

特に4人姉妹のうち、アンティを除く3人が高校の教師。どの人も子供の躾は、フィリピン離れした厳しさ。その証拠に、家内を含めてその子供たちは全員、お金と時間に関しては、平均的な日本人並みの感覚。フィリピン在住の人には、ちょっと信じられないかも知れません。

さて、そんな自立したオフィレニア一族の代表格なのが、マミー・スモール。私のイラストのモデルとしては、最高齢を記録。美女図鑑シリーズの趣旨からすると、番外編にしてもいいぐらいながら、昔はすごい美女だったんですよ。

結婚式の写真を見せてもらってブっとんだぐらい、19歳だった彼女は、実に愛くるしい美少女。デビュー当時の加賀まりこさんを彷彿とさせる、小悪魔ぶりです。(って、若い人には、余計分からんでしょうから、「加賀まりこ」「可愛い」でググってくだされ。)

ということで、昨日(2021年7月1日)に、72歳の誕生日を迎えたマミー・スモール。数年前に夫に先立たれ、二人の娘と孫たちはアメリカ在住。今は息子のラルフ夫婦と暮らしていて、それなりに幸せな老後ながら、去年、今年とコロナ禍で誕生日パーティもできず、やっぱり少し寂しいみたい。そこで家内の発案により、バースディプレゼントに似顔絵イラストをと相成った次第。

最近は定番となった着物姿をキープしながら、色はマミー・スモールの大好きな「ド」ピンク。こうなると柄はシンプルにした方がいいでしょう。髪は少し多めでお肌はツルツル。ただしシワは隠し過ぎない。この辺りのバランスは、いつもながら気を遣うところです。


フェイスブックの友達が5千人(!)もいる、前回の義妹ジーナと違って、当日にタイムラインに投稿した時のリアクションは地味でしたが、日頃はどんな投稿にもコメントをしないマミー・スモール。わざわざ「私には、コメントする習慣はないけれど、今回は特別」と但し書きをつけて、丁寧なお礼が。

本人に喜んでもらえたようで、何よりです。



過去の「私的フィリピン美女図鑑」は、こちら。

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