2021年9月28日火曜日

騒音を気にしないのは特殊能力?

もうすぐ9年が経とうという フィリピン・ネグロス島暮らし。日本にいた頃に比べたら、心の平安は取り戻せたし、毎日の筋トレ・サイクリング、そして歌の練習のおかげで、身体も健康。概ね満足度は高いものの、やっぱりストレスに感じることも多少はあります。

その代表格が各種騒音。もう何度このブログで、取り上げたことやら。

野犬・飼い犬問わず、昼夜ワンワンやるし、夜中でも雄鶏は時を告げる。発情期の猫に牛の遠吠え。深夜、雷鳴と豪雨が屋根を叩く音で目が覚めることもしばしば。それに加えて、人間の出す騒音がすごい。

音楽好きなのは分かるし、私だってブログ書いたり、イラスト作業中はBGMかけます。ところが、フィリピンの一般ピープルは、自分が聴くだけでは飽き足らず、周囲にも聴かせたくて仕方がないらしい。

ラジオでもテレビでも、ボリューム最大がディフォルトで、わざわざバイクや自転車にどデカいスピーカー積んで、重低音を撒き散らしたり。ウォーキングやジョギングの人は、ヘッドホンじゃなくて小型ブルーツゥーススピーカー。聴かせる人も強制的に聴かされる人も、それが迷惑と思ってないのがすごいところ。

音楽に比べると数は少ないけれど、バイクや車のエンジン空ぶかしも時々あります。何ブロックも離れた家の、駐車スペースでやってるのがとんでもない轟音で、何時間もやるから、風向きによっては結構聴こえちゃうんですよね。

とまぁ、今まではもっぱら被害者意識満載で「フィリピンの悪しき慣習」っぽく書き連ねたわけですが、彼らの側に立って考えてみたら、当たり前のこと。どうして日本人は、この程度の音が不快なのか、理解に苦しむと思ってるでしょう。

実際、半年ほど前、近所の宅地で畑仕事してるオっさんのラジオがうるさいと文句言ったら、「居候の日本人が、フィリピンの文化にケチをつけるな」とばかりに、バランガイに訴えられてしまいましたから。(バランガイからの召喚状

以下、私の推測。

生まれた時から、犬・猫・牛・ヤギ...の家畜に囲まれているし、隣からは爆音でカラオケ。赤ちゃんって、最初から大人と同じ感覚が備わっているのではなく、見るのも聴くのも、少しずつ獲得していくもの。なので、こういう環境が聴覚に影響を与えないわけがない。

言わば、環境音として順化していくので、それがないものとして普通に生活できるようにもなるでしょう。ものすごい騒音のジプニー車内で、ちゃんと相手の言葉を聞き分けて会話したり、隣家の騒音なんかまったく気にせずグゥグゥ眠れたり。ここまで来ると、一種の特殊能力と呼べるかも。

だからと言って、難聴なわけでもなさそうで、ギターなどの楽器を器用に弾きこなす人が多いことからしても、耳は悪くないんですよね。うっかり聞き逃しで、仕事を指示通りにしてくれない人はいるけど。(苦笑)

乳幼児期から培われる音への感性って、意外なところで気付いたりします。鈴虫やコオロギの声は、一般的な日本人にはリラクゼーション・サウンドですが、これが耳について眠れない人もいる。フィリピン人の家内に尋ねたら、虫の音はいいけど蛙の鳴き声はダメ。オバケが出そうで怖いとのこと。ふ〜ん、そうなのか。



2021年9月24日金曜日

「家政婦は見た!」フィリピン・西ネグロス編

 今は亡き、名優・市原悦子さんが1983年から2008年まで、四半世紀も主演を続けたテレビドラマ「家政婦は見た!」。上流階級の家庭に雇われた家政婦が、その乱れた私生活を目撃するという、お馴染みのストーリー。

ドラマとしては面白いけれど、日本だとかなり特殊な状況。最近でこそ家政婦サービスが徐々に一般化はしているけど、住み込みのメイドさんがいる家はごく少数。

ところがここフィリピンでは、大金持ちの地主階級だけでなく、中流レベルならメイドさんを雇うのが当たり前。そこそこ収入があるのにメイドさんがいないと「あの家はケチだ」と陰口を叩かれることもあるぐらい。

特に夫婦共働きでは、ナニー(ベビーシッターか乳母みたいな存在)兼務のメイドさんも珍しくありません。中には何十年も同じ家で働いて、自分が面倒を見た子供の、さらにその子供のお母さん役を務める人も。家内の友達で、メイドを奥さんにしちゃった人がいるらしい。

こうなると「家政婦は見た!」に近い話も出てきます。

そのターゲットが、以前にも何回かこのブログで取り上げたことのある、豪邸を構えるご近所さん。家庭環境が、いかにもフィリピン的に複雑。つい数ヶ月前に、オーナーだった70代の女主人がコロナに感染して亡くなったばかり。

このお婆さんの亡夫がアメリカ人男性。フィリピンあるあるで、外国人夫は高齢で、故国には亡くなったか別れたかの先妻がいて、子供や孫がいる。妻になったフィリピン女性も結婚してたかどうかはともかく、連れ子がいるというパターン。

つまり旦那さんが先立つ数年前には、共に年老いたアメリカ夫とフィリピン妻、連れ子である息子(と言っても、もう40代後半か50代)が同居していて、その息子には中学生になる娘もいました。

その娘さんの母親が、お婆さんの大反対で入籍できず家にも住めない。仕方がないので、朝来て夕方、実家に帰るという「通い妻」状態。

なぜ、こんなに立ち入った事を、私が知っているかというと、その家の住み込みメイドさんが、見たこと聞いたことを向かいの隣人ナンシーに全部喋っちゃうから。そのナンシーは、家内の高校の同級生で、我が家のメイド、ライラおばさんとも仲良し。

犬の散歩に出かけたライラが、毎度1時間近くも帰ってこないと思ったら、どうやらナンシーの家に上がりこんで「情報収集」をしているらしい。こちらでは、その手の噂話を「ティスミス」と呼びます。

さらにライラが、ボスの家内に「ご注進」して、家内が私に話してくれるという経路。間に4人も入ってるから、多分、かなり尾鰭がついているんでしょうねぇ。

その、やや不確かな情報によると、お婆さんが財産を相続したのが、仲の悪い息子ではなく、旦那さんの生前、どこかの貧しい家から迎えた養子の女の子。まるで「犬神家の一族」。

ところが予定よりだいぶ早く、お婆さんは天国に召されてしまい、未成年である養女の後見人になったのが、実の息子。これで、息子は、事実上豪邸も遺産も手に入れて、この頃は、やたら親戚を呼び集めて、明るいうちからどんちゃん騒ぎ。

そして今週の月曜日、早朝から大音量カラオケが近隣に響き渡り、夕方になっても静まらない。例によって犬の散歩ついでに「偵察」したライラの報告では、なんと息子の結婚パーティなんだそうです。何年も連れ添って、子供まで成した女性と、晴れて正式な夫婦になったという次第。

まぁ、大喜びなのは分からないでもないけど、このウェディング・カラオケパーティが、深夜になっても終わらない。さすがに真夜中はしばらく休憩したらしいけれど、翌朝の6時過ぎには再開して、何と終わったのが約36時間後の翌日夕刻。

う〜ん、この異常なテンションは、覚醒剤常用者の疲れ知らずかも知れませんよ。いくらフィリピン人がお祭り騒ぎが大好きでも、これは常軌を逸してます。さすがのライラも呆れ顔。

ということで、今日も情報収集に余念のない、ティクトッカーならぬティスミサー家政婦のライラおばさんなのでした。



2021年9月20日月曜日

私的フィリピン美女図鑑 5人姉妹のアップデート

前回「ララァ・スン」のイラストから、2ヶ月も経ってしまいました。その間、営々と描いてたんですよ、美女イラスト。なぜこんなに時間がかかったというと、単純に5人分の作業量だったから。実は4年前に投稿した、家内の従妹にして美人揃いの5人姉妹のイラスト。それを再描画していた次第。

4年前の2017年というと、現在の手法でイラストを描き始めて間のない頃。今見るとテクニックはまだまだ拙いし、手抜きが目立って仕方がない。去年ぐらいから、描き直したい気持ちでした。

着手のきっかけは、年初からスタートさせた、家内を始めとして、義妹、家内の友達、叔母と続いた身内の和装似顔絵。最初は5人姉妹も浴衣姿で...と思いましたが、最初のイラストに心残りがいっぱいだったので、ほぼ全面的にリドローすることに。

似顔絵本体以外の構成やデコレーションは、デジタル画の強みで、再利用の腹積り。1ヶ月も見ておけば大丈夫かな?と踏んだのが甘かった。長女のダヤンをずいぶん手間をかけて描いたので、次女のドリセル以降、同じレベルに揃えないと、後で絶対にひがまれるに違いない。

最後まで描き溜めて一気に大公開では、途中で集中力が萎えそうだったので、一人づつ小出しにインスタグラムやツイッターにアップというスタイル。特にインスタは、5人ともアカウントがあるので「いいね」やお礼のコメント貰ったりして、ずいぶんと励みになりました。やっぱり褒められるって、いくつになっても嬉しいものです。

さて、三女ダリア、四女ハルメニアは、4年前にもう高校〜大学生。前回のタッチから微調整ぐらいで済んだものの、末っ子ダリルは小学生から高校生。いくらなんでもそのままでは怒られそうで、ダリルのみ完全新作となりました。この子はほんとにきれいになってて、美少女感が半端ない。

というわけで、カラーコンセプトは、相変わらずの赤・青・緑・黄・桃のゴレンジャーで、イメージは若草物語。オっさんが描くには少々の気恥ずかしさはあっても、モデルさんがみな喜んでくれてるようなので、最後まで描き切ることができました。

そして最後に、5人が一枚に収まった完成版を、フェイスブックにアップしたのが昨夜遅く。さっそく今朝、三女ダリアから、プリントアウトして額装するので、jpgの元データを送ってと可愛い催促。やっぱり大変でも、描いてよかったですね。



過去の「私的フィリピン美女図鑑」は、こちら。

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2021年9月18日土曜日

ワクチン接種は、突然ゼネカ!

 このタイトルで元ネタ分かる人は、間違いなく関西出身(またはかつて在住)で、私と同世代でしょうねぇ。分からんけど知りたい場合は「突然ガバチョ!」でググってみてください。

それはさておきゼネカ、つまりアストラゼネカ。驚くほど幸運なことに、フィリピンの地方、ネグロス島のさらに田舎のシライ市、しかも外国人にして微妙にシニアでもない私が、昨日アストラゼネカ製の新型コロナ予防接種を受けることができました。

たまたま本日(2021年9月18日)は、日本人商工会議所が世話役で、フィリピン政府の協力で実現した、日本人向けワクチン接種事業の第一回目。このブログを書いている時間に、マニラで行われているそうですが、それとは無関係でまったくの偶然。

ひょっとすると、裏で金をつかませたとか、日本人だけの隠しルートで...なんて邪推されるかも? もしそんなことができるぐらいなら、ずっと前に接種を済ませてますって。

現在ここシライでは、医療従事者、高齢者、持病のある人、エッセンシャルワーカーの順番で、各バランガイ(フィリピンの最小行政区画)が作成したリストに沿って接種が行われています。それに加えて、キャンセルやワクチン忌避が出た場合にワクチンを無駄にしないため、ウォーク・イン・ヴァクシネーションと称して、当日に会場に来た人に対して、予約なしの接種も。

前日に家内が教えてくれたのが、このウォーク・イン枠。ワクチンの種類がアストラゼネカだと言うので、ダメ元で行ってみることにしました。

こういう時にありがたいのが、地元出身の家内。業務時間中にもかかわらず、朝から会場の市営体育館に出かけて様子見をしてくれました。その家内によると、まずはリストアップしてる人が優先で、駆け込みは午後からとのこと。

これはどっちにしても長期戦になりそうだと、キンドル本を仕込んだ携帯と、電池切れに備えて紙の本も用意して、昼食後トライシクル(オート輪タク)に飛び乗って体育館へ。ちょっと拍子抜けしたのは、もっと大勢が「密」状態で待ってるのかと思ったら、意外にも人は少ない。それでも20〜30人ぐらいはいたでしょうか?


結局、アストラゼネカは品切れらしく、シノバックになりますだって。まぁ、それもある程度は想定内。接種済み証明がないと、今後の行動の自由が著しく制限されるので仕方ない。

気を取り直して、さぁ何時間かかるかなと悠然と構えてたら、ものの15分ほどで市役所の係員から「はい、そこの人」と家内が指さされました。待ってる順番なら最後の方だったし、係員の顔見知りでもない。

とは言え、無理に割り込んだわけでもないし、早いに越したことはないと接種場所へ移動。ところが後から聞いたところでは、この時に呼ばれた約10人は、当日最後に残ったアストラゼネカを割り当て。何ともフィリピンらしい大雑把な采配ですが、超ラッキーだったのは間違いなし。

さて、問診を受けた後、看護師のオバちゃんが注射器を構えています。この人たちも一日中同じことやってて退屈だろうと、「優しくしてね、痛かったら泣いちゃうから」と軽口を飛ばしました。(もちろん英語で)このオヤジギャグが思いの外ウケて、オバちゃん大笑い。よかったよかった。

注射自体は、これまで多くの体験者が語ったのと同様、それほど痛くもなく、少し心配していたアナフィラキシーらしき反応も皆無。体育館に入って1時間もしないうちに、すべて完了です。早々に帰宅したら、すでにシノバック2回接種済みのメイドさんが「おめでとう!」とお出迎え。

その後、派手な副反応でも出たらブログネタになるなと待ち構えてましたが、これも拍子抜け。確かにワクチン打った場所は24時間経った今も筋肉痛のように痛むし、心なしか全身がダルくて、若干、頭もボ〜っとした感じ。でも熱はなさそうだし、寝込むほどではない。用心して、日課の筋トレとサイクリングは控えましたけど。

ということで、取り敢えずは家内のサポートへの感謝と接種祝いで、フライドチキンを買ってきてもらい、幸せな気分で一日を終えることができました。



2021年9月17日金曜日

隣のチェーンソー

 途中で数日の休みはあったものの、この約3週間、隣家からチェーンソーの騒音が鳴り響いておりました。この時ならぬ「13日の金曜日」祭り。一体何があったのかと言うと、別に殺人鬼がチェーンソーを振り回していたのではなく、庭木の伐採作業。

庭木というと、多くても2〜3本と思われるでしょうが、隣家は、敷地数千平米はあろうかという、大金持ちの大邸宅。数年前までその広大な庭で闘鶏用の雄鶏を多数飼育して、時々闘鶏大会も行っていました。

闘鶏って、試合前に大音量の音楽を聴かせて「場慣れ」させるらしく、深夜〜早朝お構いなしの騒音。本当は宅地で闘鶏やっちゃいけないルールなのに。さすがにこれは酷すぎるので、家内に頼んで苦情を入れてもらい、その後、高齢のオーナーが病気で寝たきりになるなどして、最近はすっかり静かになりました。

ところが、それとは別で何ヶ月かに一度の芝生の手入れ。手押しの芝刈り機をコロコロなんて長閑なものではありません。エンジン駆動で剥き出しの円い刃がビュンビュン回転する芝刈り機で、専門の業者が刈り取り作業。それも一日では終わらず、2〜3日は要する大仕事。何しろ広いですから。

それだけならまだしも、今回は何を思ったか、芝だけでなく、ちょっとした鎮守の森ぐらいの規模に植わった庭木を、全部伐採の暴挙に出たわけです。

もちろん道具はチェーンソー。これが芝刈り機の何倍もの騒音。それも朝8時から夕方5時まで、フィリピンらしからぬ勤勉さで、きっちり仕事をしてくれるもんだから、こっちは、窓を全部締め切って、冷房をかけないと、ブログ執筆やイラスト描きもままなりません。

さらに厄介なのは、切り倒したら終わり、ではなく、運び出せるサイズに切るのもチェーンソー。つまり隣家が突然、製材屋になったようなもの。これが延々3週間も...。


枝打ち作業中

ただ、救いなのは、5〜6人は雇われている伐採業者の態度が良いこと。壁際の樹木を伐るには、家屋の上に倒れないよう、張り出した枝を先に落とさないといけない。その際には礼儀正しく、我が家の屋根に上に登る許可を取りにきました。

また、みんな笑顔を絶やさぬフレンドリーな兄ちゃんやオッちゃんばかり。その後は、私がベランダに上がって彼らと目が合うと、挨拶をしてくれるように。相手の顔が分かって愛想良くされたら、同じ騒音でも「まぁ仕方ないか」と思えるのが不思議なところ。

本来ならばオーナー自ら、作業に先立って「ご迷惑をおかけします」と、手土産の一つも持参してくるのが日本式ながら、フィリピンの、特に地主階級の富裕層は、相手が自分より金持ちでもない限り、そういう配慮はまずしない。

ということで、やっと一昨日、伐採作業がすべて終わったようで、昨日は久しぶりに静かな朝を迎えました。直射日光を遮っていた緑のカーテンがなくなったので、我が家の裏庭はとても明るくなりました。(午後はちょっと暑いですが。)

それにしてもフィリピンに住むと、騒音ネタは尽きませんねぇ。


2021年9月13日月曜日

メイドとチューターの受難


 早いもので、ちょっとうっかりしてたら、またブログを一週間も放置してしまいました。申し訳ありません。

実は先週、メイドのライラおばさんと、私のイロンゴ語・家庭教師(チューター)アンが相次いでダウン。家事に追われたり、またもやの水漏れ事案が発生したり。それに合わせたわけではないけれど、いつも以上に手の込んだイラスト描きが佳境を迎えたりで、ブログがすっかりご無沙汰。

さて、ライラおばさん。

先々週の金曜日に、めでたくワクチン接種の二回目。一回目の時も多少の副反応があり、今回は、それに輪をかけてキツかったようで、翌月曜日は、いきなりの無断欠勤。多分副反応だろうとは思ったものの、連絡ぐらいしろよ。

そのままズルズルと、例によって1週間の計画外バカンスに突入してしまったライラ。「そろそろ米を買う金がなくなるから、来週は絶対出勤するよ」と、フィリピン的リアリティを熟知した家内の予言通り、本日月曜日、久しぶりに元気な顔を見せました。やれやれ。

一応、主夫を自認する私なので、炊事・洗濯・掃除はこなせます。ただ当然ながら、ライラがいないと家事に取られてしまって、自分の時間が細切れ状態。例えばイラストに没頭しようとしても、すぐに「あれ、もう晩ご飯の支度が...」となってしまいます。雨の多い時期なので、洗濯物もなかなか乾かなかいし。

食事の用意以外は、手抜きしまくりでこれなのですから、日夜、完璧を求められる日本の主婦の皆さまの苦労や、いかばかりか。かなり控えめに言っても「苦行」ですね。

そして、家庭教師のアン。

高校の英語教師が本業のアンは、9月からの新学期に向けて大忙しでした。本来なら6月のはずが、2年目に突入したコロナ禍で、スケジュールが大幅に変わってしまったフィリピンの学校教育。

日程がシフトしただけでなく、オンライン授業が毎日ある上に、ネット環境が整わない家庭の子供のために、紙に印刷した宿題、通称「モジュール」を毎週大量に用意して、翌週に回収・添削。単純に負担が倍増。

さらにアンは、それに加えて、学校のフェイスブックページ上での、新入生歓迎イベントを担当。どうもこれが曲者で、一緒に作業をしたメンバーとの相性が良くなかったらしい。毎回文句言われまくった挙句に、メンタルやられてダウン。

気分の落ち込みだけでなく、食欲がなくなって夜も眠れない。とうとう発熱までして、学校はもちろん、私の週一のイロンゴ・レッスンも、二週続けての休講となった次第。

そして一昨日の土曜日、こちらも久しぶりに元気な顔を見せてくれたアン嬢。レッスン中は、以前と変わらぬ笑顔だったアンですが、終わり際に「どうしてたの?」と軽く訊いてみたら、上記の理由。可哀想に、大粒の涙をぽろぽろこぼしながら、溜まってたものを吐き出したのでした。

実家のあるカディスはここシライからバスで1時間以上の場所。学校にはこの手の話をできる友達もいないし、親には心配かけられないので、週末に帰省しても相談できない。

う〜ん、これは分かるなぁ。まさに私がフィリピン移住を決めたのも、勤務先の人間関係が原因の鬱病のため。治療中は、40過ぎのオっさんがセラピストの前で号泣したこともあるし。

幸い、学校の上司は理解のある人で、今は出勤2日、オンライン業務3日にするなどの配慮をしてくれたそうです。取り敢えず、また辛くなったら、いつでもチャットの相手するよと言ったら、やっとアンは落ち着いた様子。

ということで、両者とも体調不良の近因・遠因はコロナ禍。ここまで長期化して、しかも終息の見通しが立たない状況だと、さすがに楽天的な人が多いフィリピンでも問題が多発。田舎街のシライですらこうなのですから、新規感染者が連日、数千から万単位のマニラ首都圏など、想像するのも恐ろしい状況。

とは言え、暗い顔しても仕方がないし、ライラもアンも戻ってきてくれたので、ブログ執筆やイロンゴ学習を、通常運転に戻したいと思います。



2021年9月6日月曜日

フィリピンで日本人向けワクチン接種


出典:News Medical

 もう諦めモードでほとんど忘れていた件が、突如動き出しました。すでにタイでは8月初旬から始まっていた、日本人専用の新型コロナのワクチン接種。遂にここフィリピンでも実施の見込みとなりました。

当然ながら在フィリピン日本大使館が主催だと思ってたし、お知らせメールも大使館からきましたが、実際に手を煩わしていただいているのは、フィリピン日本人商工会議所の方々らしい。名前だけは知ってましたが、こちらでビジネスをしているわけでもない、地方在住の早期退職者の私。まさかお世話になる時が来るとは、想像もしてなかった。

もちろんそれだけではなく、フィリピン政府の協力がなければ実現不可能な話だったろうことは、容易に想像できます。長年に渡る経済援助が、功を奏したんでしょうね。今更ながら、先人の努力と先見の明に感謝です。

前回、同じフィリピン在留邦人向けの、一時帰国によるワクチン接種事業の際には、オンライン申し込み開始当日にパンクしたらしく、「◯◯時間待ち」状態だったので、今回も若干の危惧があったものの、本日(9月6日)難なく登録できました。(登録はこちら

使用されるワクチンは、アストラゼネカ、ファイザー、モデルナの3種類。つまり日本で既に認可されているもの。対象は日本国籍を有するフィリピン在住者で、まだ一度もワクチン接種をしてない人のみ。

これがちょっと微妙で、私が知っているだけでも、かなりの数の日本人が中国製シノバックの一回目接種を済ませているんですよ。もう少し前に分かっていれば、接種せずに待っていたのに、という人も多いでしょうね。幸か不幸か、私はまだ、接種予定すら立っていない状況。

さらに、まだ接種場所や日時が決まっているわけではありません。今回の事前登録で、接種を希望する邦人が、フィリピン全土のどこに、どれぐらいいるかを把握して、接種会場やワクチンの量を準備しようということらしい。

これは、ネグロス在住者にすると最重要事項。邦人の数からして、マニラ首都圏は最優先になるとして、あとはセブ、ダバオ辺りは順当なところ。さてネグロスは...となるとどうでしょう。西ネグロスの州都バコロドや、東のドゥマゲテには、数百人単位の日本人がいるそうですが、全員が登録するとは限らないし、対費用効果から考えると、隣島のセブかイロイロに集約になる可能性もあります。

そうなると、飛行機かフェリーでの移動となるわけですが、この時期、それはずいぶん大変そうだ。(しかも2回)できたらバコロドで実施してほしいなぁ。

さて、それ以外のワクチン関連では、メイドのライラおばさんが、先週の金曜日にシノバック2回目の接種。

多分無事済んだと思うんですが、週明けの今日、月曜日に無断欠勤。もう接種後3日目だし、以前から月曜日の欠勤率が高いライラなので、それほど心配はしてません。それにしても、休むんだったら連絡ぐらいしろよ〜。



2021年9月2日木曜日

エヴァの関西弁がヘタ過ぎる

ここフィリピンのネグロス島にまで光ケーブルが敷設され、ブロードバンド環境を享受できる状況になって喜んでおります。何が嬉しいって、ネットフリックがストレスなく観られて、最新の映画やテレビはもちろん、かなり昔の番組も楽しめること。

私の場合、宇宙戦艦ヤマトや機動戦士ガンダムはリアルタイムで視聴していて、最初のシリーズならば、セリフを覚えているほど。ところがそれより少し遅れて、1990年代に大ヒットして、今ではヤマト・ガンダム同様の神話と化しているエヴァンゲリオンはまったく馴染みがありません。

実はその時期と言うと私は30代。インハウスの工業デザイナーとして、フィリピンを含む東南アジア諸国や中国、中近東へ業務出張の嵐。その上プライベートでは、最初の結婚生活の破綻と、それに続く国際長距離恋愛などなどで、テレビや映画を見てる暇も気持ちの余裕もありませんでした。

今にして思えばこの10年間は、映像だけでなく、音楽とかファッションなどの記憶がほぼありません。気がついたらもう20世紀は終わってた感じで、これこそ失われた10年。

なのでエヴァどころか、ジブリ作品も、「紅の豚」(1992年)から「千と千尋の神隠し」(2001年)まで一挙に飛んでしまってます。一応、アニメファンを自認している私としては、基礎が欠落してる気がして、ずっと気になってました。

その穴を埋めるように、フィリピンに来てからネットフリックスで、当時の作品を観まくっているわけです。そしてやっと初見で「新世紀エヴァンゲリオン」。まだ画面が4:3だったんですね。パソコンはブラウン管だし、携帯すらなくてまだ公衆電話が普通に出てきたり。

それでも最初の数話は、ストーリーの力にぐいぐい引っ張られて、かなり集中して鑑賞。ところが、途中から準主役級で登場した人物が、なぜか関西訛り。それも正しく訛ってくれたらいいのに、聴くに耐えない不自然なアクセントと言葉使い。

まぁこれは、エヴァンゲリオンに限らず、昔からドラマではよくある話。おそらく関西弁だけではなく、他の方言でもありがちなんでしょうね。

私が関西人じゃなければ、気にならなかったんでしょうけど、残念ながらフィリピン移住までの人生50年間、ほぼ関西に定住してきた者としては、どうにもストーリーに集中できず、敢えなくギブアップ。庵野さんともあろう方が、こんな凡ミスをやらかしてたとは。

これって、ハリウッド映画で、日本や日本人の描かれ方が、とんでもなく勘違いしているようなレベル。こちらも昔からあるし、今でも変な映画やドラマがありますよね。ちょっと前だと「ラスト・サムライ」とか、最近では「ベスト・キッド」の続編「コブラ会」。その他の部分がよくできているだけに、もったいない事この上なし。

私が知る限り、アメリカ資本で日本のシーンが完璧な大作映画は、1970年の「トラ・トラ・トラ」ぐらいかなぁ。日本サイドは、脚本から演出、俳優まで全部日本人なので、当たり前と言えば当たり前。しかも主役の一人である真珠湾攻撃の指揮官、淵田中佐を演じた田村高廣さんが、これまた完璧な関西弁。シビれましたよ。

アニメで言えば「じゃりン子チエ」。原作からして、登場人物全員がコテコテの大阪弁話者なので、そこはさすがの高畑さん。声優のほとんどを関西のお笑い芸人で固めたのは、単に話題作りだけではない秀逸のアイデア。

さて、エヴァの関西弁があまりに残念だったので、フィリピンの方言イロンゴ語ネイティブの家内に、同じようなことがフィリピンのドラマでもあるか訊いてみたところ、やっぱり多いらしい。

言ってみれば、ビサヤ地方の方言セブアノやイロンゴって、フィリピンの関西弁みたいなもの。登場人物がビサヤ出身という設定もあるでしょう。でもビサヤ訛りで喋ってるはずが、当のビサヤ出身者からすれば、何とも変なアクセントでがっかりすることも。うわ、まるっきり一緒やんか。