2025年10月20日月曜日

自然災害大国フィリピン

 前回は...と言っても三週間ぐらい経っちゃいましたが、私が住んでいるネグロス島の東隣りのセブであった地震の話を投稿しました。マグニチュード6.9で、震源近くのボゴ市では震度6弱の揺れがあったそうです。日本に比べると貧弱な建築施工が一般的なフィリピンなので、あちこちで建物が倒壊し、70名を超える死者が出てしまいました。大規模な地震では付き物の余震も頻発。ここネグロスでもベッドに横になって時など、僅かながら揺れを感じたりしました。

そして翌週の10月10日の朝。またセブの余震かなと思ったら、今度はミンダナオ島西の海底を震源とした、マグニチュード7.4の大地震。しかも同じ日の夜に、本震と同じぐらいの規模の余震が発生しました。ただでさえ地震慣れしてないフィリピンの人々なので、さぞや恐ろしかったでしょうね。その後、ネットに大量投稿された地震発生時の防犯カメラ映像などを見ると、日本人でもパニックになりそうな揺れ。おそらくこちらも、震度6ぐらいはありそうでした。

日本ほど地震情報が頻繁に出ないフィリピンですが、唯一速報に近いレベルで発信しているのが、PHIVOLCS(フィリピン火山地震研究所)。実は以前、ツイッターでフォローしたら、沖合が震源で陸地では無感の地震まで投稿するので、タイムラインが地震情報だらけ。鬱陶しくなってフォローをやめてたのを、セブの地震の後は、余震チェックのために再開。つまり、日本ほど毎年のように大きな被害は出なくても、フィリピンは決して侮れない地震頻発国なんですよね。

さて、それ以降は、ネット上での日本語情報としてはほぼ発信がないけれど、今月に入ってからネグロスの西隣にあるギマラス島で、最大マグニチュード4程度の地震が頻発。さらに、昨年(2024年)6月に大規模噴火した、ネグロスの主峰カンラオン火山の活動が、再び激しくなっています。先週の深夜にも火山性の地震があって、夜中に目が覚めてしまいました。

これはまったくの素人の想像なんですが、ビサヤ諸島からミンダナオにかけての、比較的狭い範囲で地震や火山噴火が頻発しているのは、やっぱり何らかの関係があるんでしょうか。

ところがそれだけに止まらないのが、日本と同様の自然災害大国フィリピン。まるで地震とタイミングを合わせたように、9月から10月にかけて、ナンド(Nando)、オポン(Opong)、パオロ(Paolo)、ラミル(Ramil)と立て続けに台風が襲来。そのすべてがビサヤ諸島の西を通ってルソンに向かうパターンで、ネグロス島を直撃はしないものの、毎回、大雨に見舞われています。

特にラミル(台風24号)は、まだネグロスからかなり離れている時期から、ここ西ネグロスに豪雨をもたらし、州都バコロドでは主要な道路が冠水。息子が通うバコロド市内のラサール大学も、ほぼ1週間のオンライン授業となったほど。毎年10月にバコロドで行われるマスカラ・フェスティバルのパレード当日も朝から大雨でした。(それでも延期や中止にならないのが、お祭り命のフィリピン人。)

ちなみに最近、フィリピンの政治家による1兆ペソ(約2兆6千億円)もの洪水対策予算の横領という、信じられないような汚職事件が明るみに出て、下手するとまた革命が起こるんじゃないかというぐらい不穏な情勢になってます。その直後の洪水なので、税金をマトモに使っていれば、もう少し被害もマシになってたんじゃないかとの話も。

とは言え地震と火山噴火に関しては、本格的にキツいのが起こったら、ちょっとやそっとの対策を打っても、どうしようもありません。日本同様の自然災害大国に住んでいる者の宿命ですね。



2025年10月5日日曜日

年度末のセブ北部大地震

 今年度(2025年)もまさに最終日、あと数時間で日付が変わるという9月30日の夜、セブ島最北端に近い海底を震源に、マグニチュード6.9の大地震が発生しました。この6.9という数字、2011年の東日本大震災の9.0という、史上最強レベルの強さに比べれば、大したことないと思われるかも知れませんが、1995年の阪神淡路大震災の本震がマグニチュード7.3でしたから、決して侮れない規模。

地震があった時間は、私は2階の書斎でパソコンに向かっていて「お、久しぶりにちょっと強いのが来た。」という受け止め。震度3かひょっとしたら4ぐらいはありそう...。これ以上強くなったら、デスクの下に隠れようかと考えているうちに、揺れは収まりました。ドーンという揺れではなく、比較的周期の長いユッサユッサという感じだったので、震源はネグロス島内ではなく、ちょっと遠くでかなり強い地震があったか?

ちなみに私は阪神淡路大震災の時、比較的震源に近い兵庫県尼崎市の実家にいました。おそらく震度6以上はあったろうと思われる揺れ。まさしく「ドーン」と来ました。家具はほぼすべて倒れ、ガラスや陶器の食器類は大半が割れる被害。ただ新築直後の鉄骨3階建ての自宅は倒壊を免れ、火災もなく、私も家族もかすり傷程度で済んだのは本当に幸運でした。

そういう経験があるおかげで、今回の地震もパニックになることなく、そこそこ冷静に対処できましたが、地震慣れしていないフィリピン人の家内はそうはいきません。完全に動転して家から飛び出し、私が呼びに行った時は、停電の暗闇の中、庭の隅っこで震えていました。

すぐに発電機を始動して、ネットで情報収集したところ、震源は私たちが住むネグロス島シライ市からは、ざっと100キロ以上はなれた隣島セブの北部。震源に近いボゴという街では相当な被害が出たようで、後になって流れてきたニュースによると70名以上の犠牲者が出たとのこと。

ここまでの震災は、私たちが移住した年、2013年のセブ島の隣、ボホールで発生したマグニチュード7.2の地震以来。この時シライ市内では、今回よりやや弱めの揺れを感じましたが、当時のメイドさんは同じように真っ青になって家の外に飛んで逃げてました。

ところで、今回の地震に伴うネグロス島での停電。地震で設備が破損したりということではなく、ビサヤ地方の広域をカバーしているナショナル・グリッド(電力会社)が、緊急事態で送電を止めたのが原因。約2時間ほどの点検の後、電力が復旧しました。

さて、フェイスブックやユーチューブでは、地震発生直後から続々と被害を伝える動画が投稿。西ネグロスの州都バコロドでは、建物の倒壊を恐れて多くの人たちが路上に溢れいる姿。家内とまったく同じ行動なんですが、これは笑い事ではなく、フィリピンの建築物って、厳しい耐震基準を満たした日本のそれに比べとても脆弱。そりゃびっくりして外に飛び出すのも分かります。実際、2013年の地震でも、多くの建物が倒壊しましたから。

また今回の地震は、観光地として名前の通ったセブということで、日本でもかなり早い段階で報道されたらしく、日本の私の友人からも安否確認の連絡があったほど。ただ、大都市であるセブ市とその周辺は、シライと同じく震源から遠かったので、揺れたとはいっても被害はほぼありませんでした。しかしながら、土地勘のない海外の災害への反応の常として、あたかもセブ全島が大被害だったかのように、勘違いした人も多かったようです。「島」と言っても四国の1/3ぐらいあるんですけどね。