2023年12月2日土曜日

お試し介護移住 その1

 もう1ヶ月以上もブランクを空けてしまいました。ざっと40日なので、まるで日本の夏休みですね。申し訳ない。結局11月は完全スルーで、気が付いたらもう12月。まぁフィリピンにいると、寒くなるわけでもなく、クリスマスの飾り付けは下手すると9月からやってるので、まったく師走という感じはないですけど。

なぜこんなに長くブログを書かなかったかと言うと、実は日本から高齢の両親が来て、しばらく滞在していたんですよ。執筆の時間を捻出できなかったわけではないけれど、やっぱりいろいろ疲れてしまって、なかなかブログを開けないまま、ズルズルと。

さて、父は87歳で母は86歳。後期高齢者もいいところ。最近の日本では元気な爺さん婆さんが多く、人によっては元気過ぎて「老害」「迷惑老人」なんて呼ばれても、さすがに90が迫った両親は、見た目も振る舞いも正真正銘の老人。

この両親をフィリピンの我が家に受け入れて面倒を見ようという計画は、ずいぶん前から練っておりました。そのための2LDK、通称ゲストハウスを自宅敷地内に建てたのが、もう4年前。ご丁寧にも、両親が新婚当時の60年以上前に住んでいた家の間取りを再現し、少々ボケても大丈夫なように配慮した一軒家。

ところが、皆さまご存じのコロナ禍の襲来。飛行機は飛ばなくなり、移住どころか、日本でもフィリピンでも、高齢者は外に出ることすら御法度。まるでそれにタイミングを合わせたかのように、それまでうるさいぐらい元気で、父と一緒にゴルフを楽しんでいた母が、急激に弱ってしまいました。とうとう歩行さえままならぬ状況になって、介護施設に入所したのが、2年前の冬。

この間、私もフィリピンから出られなかったので、身の回りの世話は、文字通り老老介護で父が行い、その他の段取りはすべて弟に任せっきり。もちろんLINEなどで頻繁に連絡は取り合っていたとは言え、この隔靴掻痒感は並大抵ではありませんでした。だから、足腰の立つ間に、早くフィリピンに来てと頼んでたのに。

このまま寝たきりになって、結局、母のために用意したゲストハウスにも住めないままかと、半ば諦めていた昨年(2022年)、ちょっとした奇跡が起こりました。

何と、要介護3(着替えや入浴、トイレに助けが必要な状態)から、施設を退所しても大丈夫なレベルまで回復したというのです。聞くところによると、ゆっくりながら歩くこともできて、食事の量が足りないと文句を言うほど。これにはケアーマネージャーさんも「こんな人は初めて見ました」とのこと。

その年末、つまりちょうど1年前に、ようやく私は久々の一時帰国を果たし、退所直前の母と面会。まだコロナが予断を許さない時期だったので、ガラス扉越しの再会となりましたが、思った以上の回復ぶり。私の冗談に笑顔を見せる余裕もあって、カップ麺やスナック菓子を差し入れて来ました。

その後、弟の尽力もあって、段差を無くしたり手摺りを設置するなど、自宅のバリアフリー工事を経て、めでたく帰宅した母。食事や洗濯は父が引き受けているものの、これで何とかフィリピン渡航の目処が立ちました。いきなり完全移住は無理でも、まずは「お試し」として11月後半の2週間強、両親にフィリピン・ネグロス島での生活を体験してもらおうという運びになったわけです。

ということで、前振りだけで長くなってしまいましたので、以降何回かに分けて、15日間に渡ったお試し移住について、投稿しようと思います。



2023年10月19日木曜日

味の素と陰謀論

 何かと槍玉に上げられる味の素。私が子供の頃、つまり60年ぐらい前には、もう普通に日本の食卓に普及していて、私の父など、卵かけご飯にも味付け海苔をひたす醤油にさえ一振り。その影響で、私もいろんな料理に使ってます。

その後、AGF(味の素ゼネラルフーズ)の企業努力の結果、日本だけでなく世界中で味の素は広まって、ここフィリピンでもどんな田舎のスーパーや市場でも当たり前に売っているぐらい。日夜、ネグロス島で日本の家庭料理の味の再現に邁進する私としては、キッコーマンの醤油とキューピーマヨネーズと並んで、台所の必須アイテムとなっております。

それにしても、ここ最近のツイッターなどでの味の素に対する謂れ無き誹謗中傷は止まるところを知りません。マトモなサイトや医師、学者によって、味の素が健康被害を与えたという言説は、ことごとく否定されているし、少なくとも私の知る限り、味の素が原因で病気になったなんて事例は見たことも聞いたこともない。

昔から味の素を摂取し続けている60過ぎの私も、後期高齢者の両親も、とっても元気にしておりますよ。

ちなみにネット上でマトモかどうかを判断するのは簡単で、やたら断言口調だったり、煽り立てるような書き方はまず信頼できない。そして論拠となる調査や統計、論文がないものは、文字通りの論外。

商品名を使えないNHKの料理番組で「化学調味料」なんて紹介の仕方をされたり(現在は「うま味調味料」に変更)、見た目が白い粉末というのも、ずいぶんイメージとして損をしている側面はあるものの、成分自体は、グルタミン酸を始めとする自然の昆布に含まれる物質。砂糖や塩と同じく、よほどの過剰摂取(大量に水に溶かしてドンブリに何倍も飲むとか)でもしない限り、害はありません。

でも最近は、「何となく見た目が体に悪そう」という印象があると、それにつけ込んでYouTubeやいろんなSNSで、まことしやかな「味の素・悪玉論」を展開。なんでそんなことをするかと言うと、アクセス数がたくさんあれば儲かるから。おかげで、味の素を使った料理を紹介した料理研究家が、ひどい誹謗中傷を受けたりする。果ては「悪魔崇拝者」とまで呼ばれて、なんで味の素使ったぐらいで、そこまで言われんねん。

まぁ個人として「何となく嫌いで、私は口にしません」なら理解できるし、それは各自の自由。かと言って、他人さんにそれを押し付けるのは、明らかにやり過ぎ。ただ味の素を目の敵にする人って、それだけでは収まらない怖さを感じます。

というのは、以前から味の素が健康に悪いと決めつけてた人物が、今回のコロナ禍でガッチガチの反ワクチン論者になったのを見てるから。どうも、味の素をどう扱うかと、陰謀論にハマりやすいかどうかって、相関性があるんじゃないかとい気がします。単なる見た目からの感覚を、それらしく説明されると、どんなに胡散臭い情報元でも飛びついちゃうんという点では似ているかも。

特定の食材についてのことなら兎も角、それなりに影響力のある政治家や医師免許を持っている人が「対コロナ・ウィルスのmRNAワクチンが免疫力を弱める」なんて妄言を広めるから、本来ならワクチン接種して無事に生き延びるはずの人が亡くなったり、死なないまでも長くツラい後遺症に悩まされたり。そういう悲劇が実際に起こってますからね。これは日本だけでなく、フィリピンでもコロナ禍は陰謀で、実在しないと頑なに信じてる人が、一定の割合で存在します。実に困ったことです。



2023年10月18日水曜日

フィリピンの梅雨明け宣言


梅雨明けだけど秋のような青空

 またまた前回から間が開いてしまいした。自分の誕生日パーティがあったり、来月に控えた高齢の両親の、2週間に渡るネグロス島滞在に備えてリノベをやったりで、何となくバタバタしておりました。

さて、今日のお題。日本の梅雨明けとはかなり様子は違うんですが、先日パガサ(PAGASA / 日本の気象庁に相当する部門)が、南西季節風の時期が終わったとの発表がありました。つまり、インド洋からの湿ったモンスーンによって、大量の雨雲がフィリピン上空に運ばれる季節が過ぎて、今年の雨季は終了というわけです。

もう10年も住んでる割には、この梅雨明けを意識したのは初めて。そう言われれば、年末頃って比較的涼しい晴天が多い気がしてましたが、こういう理屈だったんですね。とは言え、4〜5月の一番暑い真夏から、急転直下、ある日突然大雨になる梅雨入りに比べると、そこまでのコントラストはありません。10月から11月は、台風も来るし夕立も多い。まぁ、終日の雨がないだけ過ごしやすいし、良い季節ではあるんですけどね。

南西季節風は、フィリピンの言葉でハバガット(Habagat)というそうで、それに対して、これからは北東季節風アミハン(Amihan)が、吹く乾季。要するに方向が違うだけで、年中モンスーンが吹き荒れている。ほぼ毎日、広大なサブディビジョン(宅地)を、健康維持のために自転車漕いでいるので、風向きには敏感になります。確かにここ数日で風が変わり、帰路が向かい風に。トータルの疲れ方は同じでも、帰りがキツい方が余計に体力を使ったような気になります。

遠く離れた日本とフィリピン。季節の変化は無関係なように思えますが、地図で見ると、海を挟んでいるだけの隣国のようなもの。日本でもだいたい時を同じくして、長かった酷暑から、急に冷え込み出したとの話題が。「地球の風」というアプリで見ると一目瞭然で、元々アミハンは、日本に秋をもたらす大陸からの風が、巡り巡ってフィリピンに届いています。なるほど、だからネグロスでも晴れて乾燥した気候になる。

おかげで、サトウキビの焼畑の時期と相まって、時ならぬ花粉症に悩まされているのは、前回の投稿した通り。こっちで入手できる風邪薬で症状は抑えられるし、本物の花粉症の激しい症状に比べれば、全然大したことはありません。

それにしても最近の日本。もはや四季ではなく二季の国になったようです。ネットからの情報だけなので、実感は伴わないとは言え、SNSなどでの友達の投稿を見ると、数日前まで30度越えの真夏日だったのが、いきなり朝晩は長袖のシャツがないと寒いとのこと。こりゃ、風邪も引き易くなるだろうし、メンタルにもあまり良い影響は出ないでしょう。寒暖や気圧が短時間で極端に変わるのが、一番堪えますから。

ということで、年間の温度差があんまりないという点では、日本よりも格段に穏やかで過ごしやすいフィリピンの気候。ごく僅かながらの季節感がある10月です。その10月も半ばを過ぎ、そろそろハロウィンも近づいてまいりました。今年はハロウィン前日がバランガイ(最小行政単位で、町内会みたいなもの)の選挙。18歳になった息子が、投票デビューとなります。



2023年10月9日月曜日

雨季なのに熱波・フィリピンなのに花粉症

 10月に入った頃から、ここネグロス島では妙に暑い日が続いてます。大雑把にフィリピンでは、4〜5月が乾季で真夏で6〜10月が雨季。そしてそれ以外は、比較的過ごしやすい涼しい乾季ということになってます。5月末か6月の初め、乾季から雨季への切り替わりは明確で、うだるような暑さ(最近の日本の酷暑よりはだいぶマシですが)から一転、連日の土砂降りというパターンが多い。これに対して、雨季から涼しい乾季は、これといった線引きはありません。

今年の場合、まるで5〜6月の梅雨入りの逆の如く、10月に突然暑くなってしまいました。唯一の救いは、本本格的な乾季と違って、夕刻や夜間にまとまった雨が降ること。そのお陰で、就寝時には気温が下がり、寝苦しいというほどでもない。ただ、毎日必ず降る保証はなくて、雨のなかった昨夜など、久しぶりにスリープ・タイマーでエアコンを使いました。ちょうど今、体育の日の日本では、ダラダラと続いた残暑から急に冷え込んで、体調崩したりメンタル不調を訴える人が多いとのことですが、気温は逆でも、やっぱり体には良くないパターン。

さて、10月の3日に61歳の誕生日を迎えた私。当日は火曜日だったので、親戚が集まってのパーティは、土曜日のランチタイム。もう還暦祝いでもないし、別にしてくれと頼んだわけではないんですが、そこはパーティ大好きなフィリピンの人々。しかも私が作る「日本っぽい」料理は人気があるので、こんな機会を見逃すはずがありません。

我が家のメイド、グレイスおばさんの勤務日は週三回の月・水・金。本来は休みの土曜日ながら、パーティではいつも大量の料理と、食後の洗い物が大仕事。なので、特別に休日出勤してもらいました。朝から熱帯の日差しが照り付けて前日同様の暑さの中、何と、選りに選って料理が佳境に入った午前11時前に停電。すぐに発電機を起動させて、炊飯器で定番メニューのピラフ(炊き込みご飯)の調理開始。ところが先日の修理以来、イマイチ電圧が安定しません。

困ったことに、まだ米が固い状態で、炊飯器の電源が切れたり入ったり。仕方がないので、生煮えのご飯を鍋に移し替えて調理続行したんですが、そこは慣れない鍋炊飯。炊き上がったら底に焦げついた米がごっそり。何とかピラフは食卓に出せたので、まぁいいか。ちなみに扇風機や冷蔵庫は、問題なく稼働。


発電機の音はちょっと耳障りながら、家族と親戚が揃ってのランチ・パーティは無事に終了。3時頃には電気も戻り、夕刻にはお客さんたちに、満腹・満足で帰っていただきました。やれやれと思ったら、今度は私の体調に異変。ネグロスにいるのに、なぜか花粉症のように、くしゃみと洟水が止まらなくない。

スギ花粉はない代わりに、島全体を覆うように栽培されるサトウキビ。年に2〜3回の収穫後に焼畑をやるんですよ。焼畑の時期になると約一週間ほどは、近くで焚き火をするように、焦げ臭い空気が充満。日本ではほとんど花粉症には悩まされたことがなかった私なんですが、どうもサトウキビの煙とは相性が良くないらしく、数年に一度は、鼻が大洪水。

実は、ちょうど今がその焼畑シーズンで、数日前にも発症。特に今回は、暑くて乾燥しているので、煙の拡散がいつもより激しいのかも知れず、日本から持って来たコンタック600を使い切ったところ。

さてどうしようかと考えて、ダメ元で家内が常備しているフィリピンの薬局で買った風邪薬を服用してみたら、これが意外にも効果抜群。デコルゲン(Decolgen)という、一般的な市販薬。効きめは、コンタックをマイルドにしたような感じ。眠気はそんなに強くなく、1回1錠で1日3回だそうですが、1錠で約24時間は効くようです。薬の効果や副作用は個人差が大きいので、飽くまで私の場合ですが。

翌日の日曜日は、いつものように私のイロンゴ語レッスン。今週はエイプリル嬢が来る予定が、突然の変更で叔母のバンビが。前日の暑さと停電で扇風機が使えず、エイプリルの小一の息子さんが、発熱しちゃったそうです。我が家の周辺では午後3時だったのが、エイプリルの家では、電力復旧が夜までかかったらしく、つい先週、12時間もメンテナンスで電気止めた上に、台風でもないのに長時間停電。エイプリルもバンビも、電力会社への怒りが収まらない。

ということで、予想外の気温の変化は、フィリピン人にも日本人にも、いろいろとトラブルの元になるようです。


2023年10月2日月曜日

日本が動き始める予感

 外国に住んでいる方が日本のことが客観的に見られる、なんて言われますが、国内にいる人のほとんどが感じてるんじゃないかと思うのが、日本の行き詰まり。「失われた10年」だったはずが気がつくともう30年。私やその上の世代なら、失われる前の「行け行けドンドン」の時代を知っているけれど、今の30代前半ぐらいまでの人たちって、物心ついた時から失われっぱなし。この閉塞感が当たり前なんですよね。

収入が増える見込みはないのに、税金と保険や年金の重圧だけはのしかかる。しかも40代以上の、声だけはデカくて異様に元気なオっさん供が、社会全体を牛耳っていて、どっちを見ても良い方向に変わる気配すらない。政治にも期待できない。そりゃ頑張って家庭を持って、子供を産み育てようと思わなくなるのも、無理はありません。少子化は必然。

なので私は、定年を迎える10年前に精神的な限界を迎えてしまい、トットと国外逃亡を図って、家族と一緒にフィリピンに住んでいるわけです。とは言え、母国が没落してゆく様を見て嬉しいはずもなく、移住してからもずっと心の端っこに、魚の骨でも引っかかったような嫌な感じは続いてました。数年後の年金支給も当てにしてますし。

ところがここ数年ほどで、それまで微動だにしなかった状況が、俄かに動き始めました。代表的な例を上げると、まずはただいま大騒ぎ中のジャニーズ事務所の性加害スキャンダル。典型的な「黒船案件」で、イギリスBBCが制作した告発ドキュメンタリーが発端。あっと言うまに火が燃え広がって、遂にNHKやその他の放送局でも番組にジャニーズのタレントを使わない方針を発表。

この件は、大手新聞社や放送局の衰退が背景にあるのは間違いないでしょう。購読者数は激減し、テレビの視聴率も上がらず。企業広告は新聞・テレビの旧態依然たるメディアからネットへ大幅にシフト。

さらに驚いたのが、昨年の元首相暗殺に始まる、統一教会の政治からの影響力排除の流れ。当初は「統一教会」の名称すら報道を躊躇っていたNHKも、さすがに黙殺できなくなったほどで、当の政治家にしても教団との関係を断たないと選挙で負ける、という所まで追い詰められたんでしょうね。とうとう教団に対する解散命令が出そうな情勢。

決定的なのが、元明石市長の泉房穂氏の登場。登場と言っても、明石市政を担って12年で、すでに政治家は引退と表明済みなんですが、退任後の半年ほどで、各地の知事・市長選の応援で、連戦連勝の勢い。そのどれもが、既製政党や業界団体の支持に頼らず、というか敵に回してなお圧勝。従来の、組織票なしでは選挙に勝てないという常識を打ち破って、正真正銘の市民派首長を次々に誕生させています。

それぞれの事象は別々に起こっていても、私の目からすると30年間も押さえつけられ、期待を裏切られ続けた人々の情念が、火山のマグマが地殻を突き破って噴火しているように見えます。正確には、まだ大噴火には至らない、活発な火山性微動の段階かも知れませんが。

ここまで延々と書いた事に共通するのは、無理だ不可能だ、変わるわけがないと考えられていた状況が、実はきっかけさえあれば、意外なほど容易く変化してしまうということ。明治維新もこんな具合に進行したのかと思うほどです。戊辰戦争が起こる直前に、当時の市井の人々に「江戸幕府は無くなると思いますか?」と聞いたら「そんなアホな」と一笑に付されたであろうと同様に、一昨年頃、これらの変化を予測した人は、まずいなかったでしょう。

ついでに言うと、実に時流に敏感な日本人。西郷隆盛さんは、大政奉還の後も何年も戦火が続き、日本が焦土となるだろうと思ってたのが、案に相違して幕府と共に最後まで戦ったのは、会津藩などの少数派のみ。関ヶ原然り、第二次大戦の集結後然り、大勢が決まったとなった瞬間に、コロっと態度が変わる。ディスっているのではなく、犠牲を最小限に抑えつつ社会の大変革が可能な、世界でも稀有な国民性だと言いたいのです。

そして私には、その流れの延長線上にあると感じられるのが、フィリピンを始めとする海外への英語留学者のと海外で働く若者の増加。日本からの転職組だけでなく、大卒から国内就労を経験せずにいきなりフィリピン、という人も結構おられます。もちろん全員が大成功してるわけではないし、やむを得ず帰国するケースもありますが、多くの人が「苦労をしても、日本で働くよりはずっと楽しい」と感じているらしい。すごくよく分かります。

人生の選択肢は日本の外にだってあると、多くの人が気付けば気付くほど、逆に国内の居心地を何とか良くしようとの動きも、出てくる可能性があります。これは予想ではなく、私の願望なんですが。というのも、今は私も家族も健康で経済的にもそこそこの余裕とは言え、さすがに還暦も過ぎると、この先何があるかは分かりません。それを思うと、日本に帰国しても何とかなるという選択肢は、あった方が良いに決まってます。

ということで、久しぶりに(と言うか、このブログでは初めて?)日本の将来に悲観的ではない投稿をしてみました。



2023年9月27日水曜日

運転免許更新の顛末

 行ってきました、フィリピンでの運転免許更新。

マニラ首都圏やセブなど大都市に比べるとまだマシとは言え、身の危険を感じるレベルの運転マナー。隣街のバコロドへドライブするだけでも、すごいストレスで疲れ果ててしまいます。本当はこっちでハンドル握りたくないものの、自家用車を運転できないと、不便この上ないネグロス島。

タクシーにGrab(ライドシェア)、路線バスやジプニー(小型乗り合いバス)、トライシクル(オート輪タク)など、用途に応じた交通機関はあって、最近はジプニーが電動化してきれいになったりもしてるんですが、如何せん、深夜はほとんど運行してないし、スケジュールが至ってエエ加減。雨が降ってたりすると、どれも全然つかまらないので、急いでる時など、本当に困ってしまいます。

ちなみに私のフィリピンでの免許歴。移住直後の2013年に、日本の免許を書き換えました。これが実に面倒で、何日も待たされた挙句、やっとバコロドの陸運局(LTO / Land Transportation Office)に行ったら、最後の受け取りの段になって「日本大使館から許可証が必要」とか、まったく訳の分らない要求。つまり、免許証渡して欲しかったら賄賂を寄越せってことらしい。この時は、関西訛りの英語でまくし立てて、余分な金を払わずに免許を手にすることができました。

その後2回更新したんですが、直近のは、カードのプラスティックが入手困難になるという、これまた訳の分からないトラブル。ネグロスだけでなくフィリピン全土で同様の事態だったそうで、カードができるまでの約1年間は、紙に一部手書きの代用免許証を携帯してました。

そして来月、(2023年10月)私の誕生日で切れる免許有効期間。何と、プラスティック不足はまだ続いている上に、オンライン化して10年間有効になったのは良いけど、なぜかオンラインで適正検査みたいな試験があって、さらに不可解にも、それをプリントアウトして最寄りの陸運局に持っていくというプロセス改変。うわぁ面倒臭ぁ。

こういう時に頼りになるのが、何かとフィリピン人離れした実務家肌の家内。LTO同様に政府機関である教育省勤務のアドバンテージをフル活用して、バコロドのLTOで管理職をやってる、高校の同級生に手を回してくれました。家内だけではなく、オフィスでは常套手段なんだそうです。

その結果が、事前に免許を渡しておいて、2週間ほどで「できたよ〜」との連絡。窓口まで行って携帯メールしたら、間もなく名前を呼ばれ、その場で写真撮影して即日交付。30分ほどで10年免許ゲット。本来必要な各種書類提出やメディカル・チェックもなし。ついでに手数料の支払いもなし。


相変わらず人が多い
ショッピングモール内のLTO窓口

その同級生に直接2,000ペソは払っているので、もちろんタダではないけれど、これはどう考えたって裏取引。まともにやっても1,000ペソぐらいはかかるので、そんなにボラれたわけでもないし、下手すれば早朝から夕刻まで待たされることを思えば、安いとさえ言えるんですが、やっぱりちょっと後ろめたい。実際、よほど待たされてるのか、何人かのオっちゃんたちがブチキレて、窓口で喚いてましたから。

ということで、完全に贈賄側にまわってしまって、偉そうに非難できる立場ではないものの、やっぱりこういう部分が、どうしようもないフィリピンの後進性。特にドゥテルテさんが任期を終え、ボンボン・マルコスが大統領になってからというもの、せっかくの綱紀粛正の流れが止まって、国中が ユルみまくってる感じがします。


3ヶ月で壊れたポータブル・バッテリー

 前回の続きで、やたらとモノがぶっ壊れるフィリピンのお話。今日は電気周りの製品について。まずは、毎度お馴染みの停電時に使うガソリン・エンジン式の発電機。

前回投稿でも触れた通り、今使ってる発電機は2代目。最初のはディーゼルエンジンで、温水シャワーもエアコンも使えるほどの大容量だったんですが、電気式スターターを選んだのが失敗。すぐにバッテリーが上がってしまい、肝心な時に動かない。手動でワイヤーを引っ張って始動もできるはずが、なぜかこれがダメ。しかもフィリピンで(!)近所から苦情が来るほどの騒音。結局、何度も修理した挙句に、5年ほどで安くに転売してしまいました。

それに懲りて、3年前、裏庭にゲストハウスを増築した時に買ったのが、やや小ぶりのガンソリ式。これを母屋とゲストハウスに1台づつ設置しました。小ぶりとは言っても、温水シャワーとエアコン以外はカバーできる程度の電力はあって、冷蔵庫・照明・扇風機・インターネットはすべて同時使用可。音もディーゼルに比べると、静かとまでは言えないけれど、まぁまぁ許容範囲。その時の投稿がこちら。(ダブル発電機・設置完了

ところが使い始めて2年ぐらい経った頃に、まず1台が突然の異音。見に行くと盛大にガソリンが漏れ出してます。慌ててエンジンを止めて、購入したお店に修理依頼。この時は、担当のフリオ君がすぐに来てくれて、部品交換とエンジンオイルの入れ替えで解決。ちなみにフリオ君は、フィリピンではなかなか得難い、信頼できるセールス・エンジニア。専門は配管関係で、加圧ポンプの修理もフリオ君にお願いしました。

そして先月。今度は同時購入のもう一台がまったく同じ症状でダウン。ガソリン漏れって見てて心臓に悪い。ちょうど今、日本で毎日のように報道されている、京都アニメーションのガソリン放火による殺人事件が脳裏をよぎります。

今回は、前に来てくれたフリオ君の同僚で、発電機担当の人が店を辞めちゃったので、自分で車に積んでの持ち込み修理。ちょっと手間はかかりましたが、前回同様すんなり治って、費用も部品代のみの僅かな金額。

と、ホッとしたのも束の間。なぜかこの手のトラブルは続くもの。今年(2023年)5月の初めに購入したポータブル・バッテリーがトラブル。これは、短時間の停電の時、パソコンとインターネットだけ稼働させるためのもの。ソーラー発電にも対応してます。

発電機があれば不要と思われそうですが、どうしてもエンジン回すとうるさいし、雨が降ってる時など外へ出て発電機を始動させるのって、結構面倒なんですよね。さらには、何日も電気が止まるような事態への備えの意味もあります。一昨年のセブでは、台風被害で3ヶ月ぐらい停電が続き、ガソリンも入手困難になったそうで、携帯電話の充電にさえ困ったと聞きましたから。

さて、このポータブル・バッテリー。まだ購入後3ヶ月弱しか経ってないのに、フル充電して扇風機回したら、1分も持たずにストップ。ここまで分かりやすいトラブルなら、新品交換かと思って持って行ったら、交換ではなく修理とのこと。無条件に交換できるのは、30日以内なんだそうです。半年のワランティー(保証)って、メーカーが交換に応じるって意味じゃなかったのか。それでも1週間後には修理完了で、費用はタダ。一応は使えるようになったので、良しとしましょう。

ということで、発電機もバッテリーも、数万円単位の買い物。インフレが進んで諸色高くなったネグロスでも、決して安い買い物ではないのに、次から次へとぶっ壊れてしまいます。特に水回りと電気は、放っておくわけにもいきませんから、困ったものです。