2023年2月26日日曜日

私的フィリピン美女図鑑 裸婦素描

 このブログでの最後に新作イラスト投稿したのが、何と昨年(2022年)の7月。もう半年以上も放置してたんですねぇ。(ごく一部の)美女イラストをお待ちの読者の皆さま、たいへんお待たせしました。

長く描画が滞ってたのは、特に理由があったわけではないんですが、何となく次作に取り掛かる意欲が薄れてしまい、プロでもないのに「スランプ」状態。実は、少し描きかけたこともあったものの、数日で挫折。

こうなると仕事ではないので、気長に自分の機嫌を取るしかない。それ以外の活動はというと、ボイストレーニングに筋トレ、自転車漕ぎにこのブログ、イロンゴ語学習と、時々サボることはあっても何とか続けていたので、メンタル・ヘルスが影響しているのでもありません。

まぁ私の場合、描画対象が美しくセクシーな女性がメインなので、インスタグラムなどのSNSで、好みの女優やモデルを追いかける日々。おそらくこれは、人物画を手がける人なら同様だと思うのですが、結局のところ創作意欲を掻き立てるモデルさんとの、出会い如何にかかっているでしょう。

そんなこんなで、ようやく「描いてみようかな?」と思ったのが、インスタでフォロアー約140万人を誇るアメリカ人インフルエンサー、エマ・コトス嬢(Emma Kotos)。1998年生まれの24歳で、ランジェリーや水着のモデルで人気を博し、最近はオンラインに移行したPLAYBOY誌で、プレイメイトにも抜擢されたそうです。

このエマ嬢、モデルさんにしては小柄な身長153センチながら、ベビーフェイスでグラマー。時々アップされるショートビデオでは愛嬌たっぷりで、そりゃ人気が出て当然でしょう。ハッシュタグ #emmakotos で検索したら、私と同じこと考えてる人がいるようで、彼女の似顔絵もちらほら。

ただ今回はファンアートというより、私のイラスト再開のリハビリ。40年前の美大生に戻った気分で、ヌードデッサンとして描いてみようと思った次第。ググれば、ずいぶんと大胆なポーズもあります。とは言え、あまり露出の多いものだと、フェイスブックやインスタに投稿できないので、セミヌードの裸婦素描っぽいスタイルにトライ。

それにしても、描画対象の人体ってやっぱり難しいものです。特に着衣もアクセサリーもなしで、誤魔化しがまったく効かないのは大変でした。ということで、お楽しみいただけましたでしょうか?


過去の「私的フィリピン美女図鑑」は、こちら。

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2023年2月20日月曜日

追悼・松本零士さん

 本日、2023年2月20日。漫画家の松本零士さんの訃報に接しました。享年85歳で、しばらく前から体調不良の報道などもあり、そう遠くない時期にこうなることは理解していたものの、本当にお亡くなりになると、どうしようもない寂しさを感じます。

1960年代生まれの私と同世代なら、松本さんのコミックなりアニメをまったく知らずに育った人ののほうが珍しいんじゃないかと思うぐらい。言うまでもなく「宇宙戦艦ヤマト」と「銀河鉄道999」が、その後の映像メディアに残した功績は計り知れません。

最近キンドルで読んだ豊田有恒さんの著作「『宇宙戦艦ヤマト』の真実」によると、基本設定は豊田さんで、旧日本海軍の戦艦大和のスタイリング踏襲のアイデアや、各種のメカニックなど、詳細を作り上げたのが松本さん。大雑把に言うと、宇宙戦艦ヤマトの全体イメージは、プロデュサーの西崎義展氏の企画の元、豊田・松本の合作で誕生したそうです。

ただ、ヤマトが大ヒットした後、西崎氏がすべて自分の創作物だと訴えて勝訴。新作の「宇宙戦艦ヤマト2199」などのテロップで、原作・西崎義展のみとなっているのは、昔からヤマトと松本零士さんのファンだった私としては、かなり抵抗があります。

それはともかく、ヤマトの第一話「SOS地球!!甦れ宇宙戦艦ヤマト」が放送されたのが、1974年(昭和49年)で、私が小学6年生。「侍ジャイアンツ」と同じ放送枠での後継番組という流れで偶然見たのですが、松本タッチ満載のメーターだらけのメカニックや、冥王星沖海戦の地球とガミラスの戦艦、戦闘機などの格好良さに驚愕。

さらには、地球人類が放射能汚染で絶滅寸前で、いきなり地球防衛軍が沖田艦長指揮の旗艦一隻を残して全滅するし、それまでの子供向けアニメの常識からすると、異様なまでの悲壮感。何より、唯一の希望であるイスカンダルの女王スターシャの、美しさと艶かしさ。この「松本・美女」に惚れ込んだ西崎氏からのオファーが、「松本零士のヤマト」誕生の発端だったらしい。

すっかりヤマトに心酔して、翌日クラスメートに熱っぽく語ったのに、誰も見てない。何しろ裏番組が、宮崎駿さんの「アルプスの少女ハイジ」と、小松左京さんと豊田有恒さん(何と豊田さん、ヤマトと両方手掛けてたんですよ)原作の「猿の軍団」。そりゃあ、そうなりますね。

私は、孤独を感じつつも、それからせっせと松本零士美女の模写。スターシャなんて何回描いたか分からないぐらい。後になって考えてみると、ビジュアルとしてのセクシーな美女と宇宙空間の組み合わせを、最初にメジャーにしたのは、松本零士さんのスターシャでしょうねぇ。

ちなみに、ヤマト初放送から30年後に生まれた私の息子。アニメ「宇宙戦艦ヤマト2199」と、私がフィリピンにまで持ってきたコミック「銀河鉄道999」にハマっております。親子2代、ひょっとすると3代に渡っての松本零士ファンって多いと思いますよ。

ということで、松本作品に関して書き出したら際限がないので、偉大なる漫画家へのオマージュとして数年前に描いた、「999」のメーテルと「ヤマト」の森雪のファン・アートを再掲して、松本零士さんのご冥福をお祈りします。




2023年2月19日日曜日

バレンタインデーに合同結婚式

 先週火曜日の聖バレンタイン・デー。ここフィリピン・ネグロス島では、生憎、終日の雨。昨年末以来の天候不順がなかなか回復せず、乾季が戻ったかと思ったら数日の雨模様といった感じです。

ただ今年は、コロナ禍が一段落してから初めてということで、各地でいろんなイベントが行なわれたようです。そもそもフィリピン人は大のバレンタイン・デー好き。というか、一般的な日本人に比べると、人生における恋愛の比重がとっても大きいので、こんな恰好の恋愛アイテムを使わない手はない。

そして、日本以外の多くの国と同様、女性から男性への一方通行の告白にチョコレートを贈るなんて、制約がありまくりの習慣ではありません。もう何度かこのブログでも書いたように、家族や教師と教え子、友達、親戚などなど、広義の愛情を表現する日。学校では、小学生たちが先生に感謝の手紙を手渡したりもします。

我が家でも、家内からのチョコレートではなく、私が若干気合を入れた夕食を用意しました。

ご存知の通り聖バレンタイン・デーは、キリスト教由来の祝い事。メインストリームのクリスマスやイースター、万聖節などに比べると、傍流の感は否めないものの、フィリピンでの盛り上がり方は相当なもの。11月が「死者の月」であるのに対して、2月は「愛の月」と呼ばれます。

なので本来ならば、クリスマス・イブじゃなくて、バレンタイン・デーにカップルがホテルでお泊まりするのが正しい姿。とにかくフィリピンでは、ガチ恋愛のための日でもあるんですよね。この日に真剣なプロポーズをするカップルも多い。実際、婚約指輪を嬉しそうに見せびらかす女性のセルフィが、バレンタインデーのフェイスブックに並んだり。

そして極め付けが、シライの市営体育館で行われた合同結婚式。

「合同結婚式」と言っても、例の危ない宗教とは関係ありません。まぁ私と同世代の方なら、どうしても桜田淳子さんの件を思い出してしまいますけどね。

それはさて置き、この合同結婚式。十分なお金がなくて、入籍はしたのにパーティはできないカップルを救済するための行事。フィリピンの結婚式は、日本同様あるいはそれ以上に、相当な物入りで、ここぞとばかりの見栄の張り合い。ウェディングドレスさえレンタルではなく、わざわざ誂えたりしますから。ちなみに家内も作りましたよ。もうウェストがキツくて、着れないでしょうけど。

さて、当日は約100組が集まったそうです。もちろんメインイベントはガレゴ市長と並んでの記念撮影。大量の結婚写真がシライ市のフェイスブックのオフィシャルページに投稿されていました。

注目すべきは、熟年カップルの多さ。これは私の想像ですが、奥さんたちに若い頃夢に見た花嫁衣装を着せてあげるのが、一番の目的なんでしょうね。子供たちや、中には孫と一緒に...なんてご夫婦もいて、ちょっと胸が熱くなりました。



2023年2月15日水曜日

ソドムとゴモラ

 

クリスチャンじゃなくても、名前ぐらいは、聞いたことがある人は多いと思う「ソドムとゴモラ」。旧約聖書の創世記に登場する古代都市の名前で、市民の罪深さが神の怒りに触れて、硫黄と火によって滅ぼされたとされています。その罪というのが淫らさ。新約聖書の「ユダの手紙」には、「不自然な肉の欲」とも記されています。

後世の解釈では、男色や獣姦だと言われ、英語の「Sodomy」は、主に男性同士の性行為を指す単語にまでなっている。ところが、少なくとも新旧聖書の日本語訳を読む限りは、その内容がはっきり書かれているわけではありません。ひょっとすると原書の言葉であるヘブライ語やギリシャ語では、明記しなくても当時は常識的にその意味だったのかも知れませんが、今となっては必ずしも断定はできない。

なぜ、急にこんな話を持ち出したかと言いますと、実は先週のイロンゴ語(西ネグロスの方言)のレッスンで、日本で同性婚が政治的な話題になっている、というトピックをイロンゴで書いたから。ちなみに同性婚はイロンゴに直接該当する単語がなく、英語で Same-Sex Marriage としてます。

フィリピンでは同性婚を認めた法律はないけれど、日本に比べるとLGBTの人たちが、ごく自然に社会に受け入れられていると、このブログでも取り上げたばかり。ところが、超真面目なプロテスタント信徒である、家庭教師のバンビ。これには真顔でソドムとゴモラの逸話を持ち出して、同性愛は罪だと断言しました。

もちろんその後に「...と私は思うけど、違う意見も尊重します。」と付け加えるだけの冷静さは保ってましたけど。

フィリピン在住の日本人でも、同性愛と宗教について語り合うことは稀でしょう。私も実は初めて。何となく一般的なフィリピン人は、あんまり気にしてないと思ってました。ただ、バンビの反応を見ると、やっぱりクリスチャンとしては本当は良くないけど、ゲイだからと言って差別するのも間違いだ...という感じなのかも知れません。

いずれにせよたいへんデリケートな内容なので、フィリピン人相手に軽々しく訊ねることはお勧めしません。また人によっては、反応が極端になることも十分に考えられるので、その辺りは、ご注意くださいませ。

ところで、このソドムとゴモラ逸話。原型になった何らかの出来事があって、それを誇張したり脚色して、宗教的な教訓譚になったのかと思ってたら、最近の研究によると、ほぼ丸ごと事実だった可能性が出てきました。

アメリカとヨルダンの共同研究チームが、死海の北側、ヨルダン渓谷南部の高台に位置する「トール・エル・ハマム」と呼ばれる都市があったとされる地域で発掘調査を行い、2021年にその結果が論文で発表されました。

驚くべきことに遺跡からは、衝撃石英やダイアモノイドと言った、隕石の衝突による高温によって作られたと思われる物質が出土。このことから3,600年前この地に存在した15の都市と100を超える村落が壊滅。その破壊力は、広島型原子爆弾の1,000倍に相当したそうです。

詳しくは、こちらの Gigazine の記事をお読みいただくとして、この論文の通りの大事件が起こったとすると「硫黄と火によって滅ぼされた」という表現は至極真っ当。むしろサラっと書き過ぎなぐらい。

創世記のソドムとゴモラの逸話だけでなく、ハリウッドの映画「十戒」でも有名な、紅海が割れて、モーセ率いるユダヤの民の避難を助けたと言う「出エジプト記」。これも当時、地中海にあるサントリーニ島が大噴火して発生した、巨大津波の描写だとする説があります。

こうなると、聖書の記述を元に現代社会の問題を判断しようとする人々を、そう簡単に「作り話だ」と笑うことはできない。

ということで、キリスト教に根ざす倫理観・道徳観が根強いフィリピンで、同性婚の話題を持ち出すのは、なかなか難しいと感じている最近です。



2023年2月13日月曜日

他人事じゃないトルコ・シリア大地震

 この投稿を執筆している時点で、すでに発生から1週間が経過した、トルコ・シリア地震。フィリピンでも連日テレビ報道があって、一般の人々の注目度はとても高く、イロンゴ語レッスンでもその話題が出るほど。

ネットでざっと調べたところ、被害のあった地域には248名のOFW(フィリピン出稼ぎ労働者)がいるそうで、少なくとも2名の死亡が確認されたとのこと。そのうちの1名である女性の、フィリピンへの遺体送還に関する記事が出ています。母国にいる家族の気持ちを察するに、何とも痛ましい限り。

大規模な地震が起こる度に、私が唯一経験した大地震、1995年の阪神淡路大震災のことを思い出してしまいます。今回と同じく、真冬の未明に発生したあの地震では、暗闇の中での強烈な揺れが、どれだけ恐ろしいものかを思い知らされました。幸い私の実家は倒壊を免れて、壁に亀裂が入った程度でしたが、それでも食器棚や洋服ダンスは見事に引っくり返り、もしその下敷きになっていたらと、後になって肝を冷やした次第。

それにしても、写真や動画で見るトルコでの建物の壊れ方って、ちょっとひど過ぎる。神戸でも多くの鉄筋コンクリートの建築物に被害は出て、1階が押し潰されたり、ビルや高速道路の高架ごと倒れ込んだりっていうのはありましたが、それでも多くは、原型は留めていました。

それに比べてトルコ。もう元の姿を想像することもできないぐらい、ペシャンコの瓦礫の山。こういう壊れ方を「パンケーキ・クラッシュ」と呼ぶらしい。当初は数千人だった犠牲者の数が、すでに5万人を超える見込みなんだとか。そりゃぁ、そうなるのも分かります。

日本人なら誰でも訝しむのが、地震国であるトルコで、建築の安全基準ってどうなってたんだろうか、ということ。1万7千名もの死者を出したイズミット地震は1999年ですから、まだ四半世紀も経っていません。

BBCの日本語記事によると、古いマンションだけでなく、2019年竣工の最新の耐震工法を売りにしていた物件も倒壊。安全基準はあったものの、一定の金額を政府に支払えば「行政処分免除」される、合法的な抜け道があったそうです。被災地で免除を受けていた建物が、7万5千棟もあったと言うから驚き。この記事内容が事実だったとすれば、これは人災の誹りは免れない。

そして恐ろしいのがフィリピン。ここ4〜5年ほどは、西ネグロスの州都バコロドでもコンドミニアムの新築ラッシュ。雨後の筍とはこのことかと思うぐらい、10階建て以上のビルがにょきにょき。昔からフィリピンの高層ビルの建築中の姿を見ると、柱は細いし壁はブロック積んでるだけ。ダンパーなどが入ってるのって、見たことない。

その上、日本ほどではないにせよ、フィリピンも結構な地震国なんですよね。ウィッキペディアで調べただけでも、近世以降でマグニチュード7以上の地震って、17世紀のルソン地震、1976年のミンダナオ地震、1990年のバギオ大地震、そして私が移住したその年、2013年に発生したボホール地震。これはネグロスでも揺れを感じたし、隣島のセブで大きな被害が出ました。


ボホール地震で倒壊した教会

こうして並べるとフィリピン全土、どこで大地震があっても不思議じゃない。いやもう、これは本当に、他人事じゃないですよ。



2023年2月9日木曜日

ルフィがいたフィリピンの刑務所

 もうインターネットの日本語ニュースでは「ルフィ」の話題ばっかり。フィリピンが日本で騒がれるのは、ほぼ災害か犯罪関係のみ。たまに静かな口調で取り上げられても、だいたい貧困とか困窮邦人絡み。私の家内など「ネガティブ・キャンペーンばっかりや」とボヤいております。

このブログを読んで頂いている方なら、ルフィ事件を知らない人は、まずいないと思いますが、もし「なんじゃそりゃ?」という人は、「ルフィ」「フィリピン」でググってくださいまし。

それにしても改めて注目されているのが、フィリピンの刑務所のひどさ。実はフィリピン国内では、前々政権であるノイノイ・アキノ大統領時代に、時の司法長官(日本の法務大臣に相当)だったレイラ・デ・リマ女史によって、マニラ近郊にあるビリビッド刑務所で、麻薬で捕まった大物、所謂「麻薬王」たちが、大富豪のような監獄暮らしをしていると暴露して大騒ぎに。

金をつかまされた看守たちによって、大理石を敷き詰めたエアコンやジェットバス完備の部屋が用意され、驚くべきことに、刑務所内に麻薬や酒、さらには娼婦までも持ち込み放題。週末には外出さえ黙認されていたと言います。無茶苦茶ですな。

金さえあれば、ここまでできるんですから、ルフィが携帯電話で日本に犯罪指示をするなんて、可愛く見えてしまいます。

そして、私のイロンゴ語(西ネグロスの方言)家庭教師のバンビによると、これはマニラなどの大都市に限ったことではないらしい。人口12万人の地方の小都市、オラが街シライの刑務所でも、殺人で有罪となり収監されている人物が、刑務所内でカラオケやダンスに興じているとのこと。それだけでなく、同じように携帯電話で外部に指示を出して、逮捕前からやっている高利貸しを続けているんだとか。

マニラ首都圏の麻薬王に比べれば、ずいぶんと小粒ながら、やっぱり刑務所の職員は賄賂で転ぶのが当たり前。

結局のところ、刑務所に限らず、国際空港に入国管理局、陸運局も教育省も、およそ法治国家とは思えぬ汚職が蔓延するのは、給料が安過ぎるから。ドゥテルテさんは、警官と兵士の報酬を倍増させて、かなりの成果を上げたものの、刑務所まで手を回す前に任期が切れてしまいました。

ちなみに、刑務所の腐敗を暴いたデ・リマさんは、ドゥテルテの麻薬戦争での人権侵害を猛批判した結果、違法薬物取引に関与したとされ逮捕、投獄。う〜ん、ドゥテルテ贔屓の私が見ても、これはちょっと喧嘩する相手を間違ってるんじゃないかと思います。

ところで、ルフィ事件の3年前の2019年、コミックの海賊版サイト「漫画村」を運営していたとして、フィリピンに潜伏していた星野ロミ氏が、現地の警察に勾留されました。その後、フィリピンから強制退去となって、帰国後に日本の警察によって逮捕。詐欺、強盗、殺人にまで及んだルフィの容疑ほどではなく、当時もそんなに大騒ぎになった記憶はないけれど、逮捕に至る経緯がそっくり。

ちょうど数ヶ月前に仮出所していた星野氏に、フィリピンの刑務所に関する取材が殺到してるんだとか。

いずれにしても、フィリピン・日本の双方が、お互いの国のイメージを悪くするばかり。この報道の過熱ぶりって、何となく既視感があると思ったら、1986年にフィリピンで起こった、三井物産マニラ支店長の若王子さん誘拐事件。

当時はホームビデオ全盛時代。事件報道で番組予定がぐちゃぐちゃになり、録画予約していた映画が全部ダメになったりしました。なので「録画予約の敵、若王子さん」と、不謹慎なジョークを飛ばしたものです。

ということで、ルフィも逮捕されたようだし、もうそろそろこの不毛な報道合戦も、下火になってくれませんかね? 戦争や大地震など、他に事件はいくらでもあるでしょうに。


2023年2月8日水曜日

LGBTが普通に暮らせる国


出典:「自分らしく生きる

 このところ日本は、急にLGBTの方々や、性差別に関する話題で騒がしくなってきました。

それまでも政権側にいる人からの、同性婚に関して「生産性がない」、「女性が会議に参加すると時間がかかる」、10年以上前になりますが「女性は産む機械」などなどの発言。その度に「誤解を招いたなら申し訳ない」という、紋切り型の謝罪が繰り返されたわけですが、私には、どう考えたって誤解のしようがない、本音をそのまんま口に出しちゃったとしか思えません。

そして決定的ダメ押しとなったのが、首相の「社会が変わってしまう」発言に続く、首相秘書官の「見るのも嫌だ」。さすがに政権中枢にいる人物が、ここまで差別意識剥き出しにしたらアカんでしょう。

はっきり言って、同性愛者が嫌いだとか、女性が高い地位に就くのが気に食わないと思う人も、中にはいるでしょう。好き嫌いや個々の感情は、他人に変えられるものではありません。だからと言って、それを、いくらオフレコ前提でも、記者の前でぶち撒けるのは、社会性が乏し過ぎるとしか思えない。

さらに「国を捨てる人が出てきてしまう」に至っては、事実誤認というか、ほぼ被害妄想。私を含めて、海外移住をした日本人全員に対する、強烈な皮肉にさえ聞こえてしまいました。例のNHKクローズアップ現代の「安いニッポンから海外出稼ぎへ」が評判になってるタイミングですからねぇ。

そして、私が今住んでいるフィリピンの状況はと言いますと...。フィリピンほど、ゲイの人たちがありのままに生きている国って、ちょっと他に想像できないぐらい、自分がゲイであることを隠していない印象です。

まず、家内の勤務先である教育省のリージョンのトップがゲイ。日本ならば文科省で近畿地方を管轄する部門の責任者、みたいな地位に相当する人。その他にも、大学や高校の教職に就いていて、同性愛者を公言する人は多いし、スーパーのレジで男性がいたら、かなりの確率でゲイ。なぜ分かるかと言うと、メイクしてたり喋り方などで一目瞭然だから。

ビューティサロンに行けば、美容師は半分以上がゲイじゃないでしょうか。私が髪を切ってもらっているのも、近所では有名な美貌の男の娘(おとこのこ)、トネット嬢。そう言えば、いつも自転車の修理をお願いしてるのが、トンボイ君(女性同性愛者)。

もちろんフィリピンでは、いまだ同性婚は法的に認められていないし、まじめなクリスチャンの中には、相当な抵抗を感じている人もいる。家内の叔母がそうで、かつては同居していた甥っ子が女装し始めたのを嫌って、家から追い出したぐらい。

なので当事者にすれば、いろんな葛藤を抱えているかも知れませんが、少なくとも社会全体の許容度は、日本など比べ物になりません。そもそもオフィスでの管理職は、一般的に女性の方が優秀だとされて、男はダメでもゲイなら大丈夫、みたいな気分すらあるぐらい。

正直なところ私も、高額な買い物をするような場合、担当者がゲイならホっとしますから。ここまで行くと、逆差別と言われそうですが。

ということで、同性婚にしても、あるいはセットで語られることが多い夫婦別姓にしても、それをしたくない人に強制するわけではないんだから、認めたらいいと思うんですけどね。単純に、幸せになる人が増えるんだし。

日本の現政権の政治家や、強硬に反対する人たちって一体何を恐れているのか、私にはよく分かりません。


2023年2月7日火曜日

やっと乾季のネグロス島

 2月以降ここネグロス島では、ようやく乾季らしく天候が安定してきました。

一口にフィリピンと言っても日本とあまり変わらない広さ。多少、地方によっては違うかも知れませんが、私たちの住む西ネグロスでは、6月から10月ぐらいまでが雨季で、11月、遅くとも12月には季節が変わって乾季になります。

一年で一番暑く、地元の人でさえ「夏」と呼ぶ4〜5月の時期に比べるとそれほど暑くもなく、その名の通りカラっとした爽やか晴天が続くはず...。なのに、この年末から1月一杯は、なぜか雨続き。たまに青空がのぞき日差しが戻っても、2日も保てばいい方で、週に4〜5日が終日雨。

スマホ・アプリの雨雲レーダーを見ると、東の海上から次々と雲が湧いてきて、それがモンスーンに乗ってビサヤ諸島やミンダナオに、引っ切りなしに来る感じ。日本で言うと、梅雨前線が停滞しているのと似ています。妬むわけではありませんが、マニラ首都圏のあるルソン島とその近辺は、それほどでもなさそうなんですよね。

こうなると、ロクに治水が為されていないフィリピンなので、あちこちで水害が多発。テレビのニュースでは、この数ヶ月というもの、ほとんど毎日のように洪水や鉄砲水の映像が。しかも薄ら寒くて、夜は長袖・長裾のジャージ上下が必須。気圧も低いせいか、どうしても気分が沈みがち。あ〜あ。

早期退職して悠々自適なのはいいけれど、裏返せば、怠けようと思えばいくらでもダラダラできてしまう毎日。一応、料理担当の主夫なので、家内と息子のためのお弁当を含めて、三度の食事の準備はしてますが、数年来続けてきたイラスト描きが、かれこれ半年ほども滞っております。ブログも更新本数が減ってるし。どうしてもスマホでSNSに逃げちゃうんですよね。

それでも、今シーズンの日本の寒波に比べると、最低気温はせいぜい22〜3度だし、肌寒いと感じるのは短パンTシャツだからで、これで愚痴ったら日本の友達に怒られそう。

そうこうしているうちに、待望の熱帯の青空が戻って来たのが、約一週間前。夏から雨季のような、ある日突然スイッチオン、とはならず、夕方や夜間に土砂降りになったりはしますが、ずっと降り続くということはなくなりました。何より、夕焼けが見られるようになったのは、私の精神衛生上、とてもありがたい。


夕焼けさん、お久しぶりです。

ということで、毎朝の自転車漕ぎと筋トレやら、溜めまくっていたイロンゴ語(西ネグロスの方言)の自家製辞書への、新しく学んだ語彙の追加作業もボチボチ再開。

この調子ならば、一部の読者の皆様には好評の、セクシーなフィリピン美女のイラストも、そろそろ新作に取り掛かれそうですので、乞うご期待。



2023年2月2日木曜日

他国事ではない海外出稼ぎ

 多少フィリピンに関わった経験がある方なら、フィリピン=海外出稼ぎ大国というイメージを、お持ちでしょう。

子沢山のフィリピンで、家族の中の誰かがフィリピン国外で働いて、残った家族に仕送りしているなんてのは珍しくありません。こういう人たちは、総称として、OFW(Overseas Filipino Workers / 海外フィリピン人労働者)と呼ばれます。

中には、最初の一人が外地で経済的にそこそこ成功した後、その親や子供を呼び寄せて、丸々一家族が出ていってしまう例さえある。

何を隠そう、シカゴに行った家内の叔母と従兄弟姉妹がこのパターン。途中で帰国したり、亡くなった人はいるものの、叔母夫婦とその娘二人と息子、それぞれの配偶者、シカゴで生まれの一人を含めて子供が3人(つまり叔母の孫)の、累計で10人もの親類が移住。もう一人別の従弟も、渡米して看護師職に就くべく、ネグロスの総合病院に勤務して資格取得中。

ちなみにこの人たち、大人は全員が看護師。そのシカゴでの暮らし向きはと言うと、フィリピンにある実家の数倍のサイズの家に住み、自家用車を保有して、時々家族旅行も楽しんでいる。日本で同じ仕事をする人より、ずっと余裕のある生活をしていると思われます。

家内も、私と日本で暮らした15年間のうち、3年ほどは子供の英語教師として働いて実家に送金してたので、事実上のOFW。そして、我が家のメイドは、今働いているグレイスと前任のライラの二人が、中近東でのOFW経験者。もうOFWがいなくては、国の経済が成り立たないほどの盛況ぶりです。

ただ、その多くが最初から望んで海外に出たわけではなく、フィリピン国内で就職先がなかったり、給料が安過ぎて家族を養えないなどの理由で、仕方なくそうなっている。そして医師や企業の管理職などの給与の高い職業に就ける人は一握りで、ほとんどがメイドや建設現場の労働者、タクシー運転手など。それでも母国に留まるよりは、はるかに稼ぎは良いんですが。

そしてその海外出稼ぎが、とうとう日本にまで波及してきました。

ひと昔前は、海外で働くと言うと、大企業の海外赴任だったり、世界レベルの才能や技能を持つエリートと思われがちでした。ところが最近ではそれも様変わり。私がリアルに知っている、フィリピンで働く日本の若い人たちって、みなさん優秀だとは思いますが、決して常人の及ばない天才ではありません。

英語にしたところで、帰国子女で最初からペラペラという人はいなくて、みんなコツコツ努力して、現地で揉まれながら仕事ができるレベルに到達。それでもちゃんと生活できてるんですよね。

重要なのは、日本のような常態化した深夜残業や、長時間の満員電車通勤とは無縁で、理不尽な暗黙のルールもない。もちろんフィリピン特有の、時間やお金にルーズと言った労働者の質の問題はあるものの、うつ病や、自殺にまで追い詰められるようなストレスはない。

さらには転職が珍しくないので、嫌なら辞めたらいい。いろいろあってもほとんどの人は、日本で再就職する気はない、と言われますね。本気で起業して、経営者を目指すなら、かなりの苦労はあるでしょうけど、それは日本でも同じこと。

いまだに日本では、わざわざ失敗した例ばかり集めて「海外出稼ぎの落とし穴」とか「海外は甘くない」と、恐怖心を煽るような記事が多い。これは私のような、退職後の海外移住に際しても同様の脅し・煽りがつきもの。特にフィリピンは、必要以上に悪いイメージが流布されてますからねぇ。

それでも今後の日本の経済状況が、一気に1980年代レベルまで回復するような奇跡でも起こらない限り、海外に仕事や生活の場を求める人は増えるでしょう。だって、そっちの方がストレス少なく、楽に暮らせるし。

何もいきなり人生を賭して、失敗は許されない!なんて気張る必要もありません。ダメだったら日本に戻ればいいだけのこと。実際、コロナ禍で一旦Uターンして、またフィリピンに戻った人もいます。要するに、就職先の一つの選択肢として、日本以外の場所もあるというだけのお話。

実際この10年ほどで、長期滞在と永住を合わせて、海外在留邦人の数はざっと135万人と倍近くに増えています。コロナ禍でここ2年は減りましたが、私の勘では、大きな流れは変わりそうもないし、この数年ぐらいでさらに伸びが加速するんじゃないでしょうか。

ひょっとすると、これから日本経済を支えるのは、OFWならぬOJW / Overseas Japanease Workers なんてことになるのかも知れません。これは、出ていった働き手が、日本に送金してくれることが前提なんですが。



2023年2月1日水曜日

帰って来た白玉ねぎ

 早いもので、2023年も1ヶ月が過ぎて、今日から2月。

さて、「白玉ねぎ」なんて書き方をすると、何か特別な品種のようですが、日本で出回っている玉ねぎとだいたい同じようなもの。フィリピンでは小振りで紫色の玉ねぎの方が、安くてポピュラーなので、区別するためにこう書いてます。

さて、その白玉ねぎ。なぜか半年ほど前から、フィリピン全土で突然の価格高騰。政府も原因調査に乗り出すし、最近では連日テレビニュースで取り上げられるほど。年末年始の頃には、価格が数倍にまで跳ね上がり、なんと1キロ当たり1,000円以上。これって鶏肉より高い。

吊られて、本来は白玉ねぎより安かったはずの紫まで値上がりして品薄。遂には「これはラッキョか?」みたいなサイズしか、市場の店先に並ばなくなってしまいました。こうなると、米のような主食と違い、無理して買う人はいなくなります。家内の友達や親戚も異口同音に、もう玉ねぎ買わないとのこと。

結局、高過ぎて売れ残り。聞く所によると、あちこちの店頭や倉庫内で無駄に腐らせてしまう結果に。そりゃぁ、そうなりますわなぁ。

そして1月も終わろうかという時期になって、次の収穫の時期が近づき、やっと価格が下落。まだ高騰前の倍はしますが、政府の緊急輸入も功を奏したらしく、先週には久しぶりに白玉ねぎが市場に帰ってきました。我が家では早速、アドボやカレー、スパゲティのミートソースが玉ねぎ入りに。


先週、近所のスーパーで見かけた玉ねぎ

一時期は世界一玉ねぎの高い国になったフィリピン。結局、理由もはっきりせず、誰かが大儲けした、みたいな話も聞きません。本当に「誰得」もいいところ。マニラ在住の金融関係の方に訊いてみると、遠因はウクライナ戦争。彼の国は世界的な穀倉地帯というのは知ってましたが、小麦だけでなく各種農産物の一大輸出国だったんですね。やっぱり諸悪の根源はプーチンだったのか。

それでも、なぜフィリピンだけで、しかも玉ねぎのみ高騰なのかは、相変わらず謎ですが。

料理担当主夫としては、今回の騒動で、改めてどの料理で玉ねぎを使うのかなんてことを、考えさせられました。ほぼ毎週作ってるカレーやクリームシチュー。フィリピンの代表的な家庭料理アドボにチョプスイ。その他、日本・フィリピン・中華・洋食に関係なく、炒め物にも煮物にも、ほとんど何にでも玉ねぎ入れてますね。ものすごいオールマイティ野菜。

ところが、玉ねぎ無しだと成り立たない料理っていうのも、あんまり無かったりする。さすがにアドボは、材料が、肉・にんにく・玉ねぎと調味料だけなので、ちょっと厳しいかもですが、炒飯や焼きそばだったら、別に玉ねぎレスでも家族は気付かないぐらい。

ポジティブに見ると、それだけ他の食材が豊富ってことなんでしょうね。

ということで、変な意識せずに玉ねぎを使えるようになって、やれやれなんですが、現地の報道によると、今度はにんにくが品薄だそうです。これまた玉ねぎ同様、微妙な食材。重宝ながら、絶対ないと困るってわけではないのも似ています。