2019年4月27日土曜日

狂犬病の「戸別訪問」予防接種

今を去る事かれこれ24年前の1995年。生まれて初めての東南〜南アジア業務出張。当時勤めていた会社が置いていた、マレーシア・クアラルンプールの拠点を中心に、シンガポール、バンコク、ジャカルタ、そしてマニラ。さらにインドのデリーとムンバイを回って1ヶ月。日本を出たのが金木犀の季節で、帰ったらもう師走というタイミングでした。

これが忘れもしない、私のフィリピン初渡航。インドと並ぶニノイ・アキノ国際空港の暗さ、汚さや、交差点で車が信号待ちをする度に集まってくる子供の物乞い、現地駐在社員に連れて行かれた、夜の街の猥雑さ...。思い返せば悪い印象の方が断然多かった。

中でも、どこにでもいる野犬の数には、かなり驚きました。もっともこれはマニラだけの話ではありませんが。都市部の野良犬って、どこの国に行っても痩せて、生活に疲れたような顔つきばかり。皮膚病を患っている個体も目立ったし。

それから四半世紀近くが経ち、いろんな成り行きが重なって、私はフィリピンに住んでいます。景気が上向き、大統領が代わって、昔に比べればずいぶんと暮し向きが改善。場所によっては、かつてのスラムが、小綺麗な住宅地に変わったり。それは田舎のネグロスも同様。

ところが野良犬に関しては、ほとんど状況に変化はなさそう。私がいるサブディビジョンは、生活に余裕があって、野犬に餌をやるような人もいるので、あんまりガリガリだったり、皮膚がボロボロというワンさんは少ないけれど、相変わらず、小さな子供ばかり外で遊ばせることはできません。

言うまでもなく、これは狂犬病を恐れてのこと。

私は犬が苦手ではなく、自宅でも「ゴマ」と名付けた雑種を一頭飼ってます。でもさすがに、いくらおとなしそうでも、飼い主がいない犬に近づいたり、触ったりする気にはなりません。


我が家のゴマ

JICAのレポートによると、フィリピンでは今でも年間200〜300名もの死者を出している狂犬病。WHO(世界保健機関)が「顧みられない熱帯病(Neglcted Tropical Disease)」に指定しているそうで、マラリアやデング熱などに比べると、対策が遅れている熱帯性の感染症ということらしい。発症すれば、死亡率ほぼ100パーセントという恐ろしい病気です。

そのJICAの協力もあってか、最近は、このネグロス島でも狂犬病撲滅に向けての取り組みが活発化しています。

飼い犬を連れていけば、予約なしで予防接種をしてくれるサービスというのが、その一つ。もちろん無料。「近所でこんなのやってるよ」と家内に教えてもらい、それなら今度メイドのライラにゴマを連れて行ってもらおうと思って、何となく忘れてたら、先週「訪問」予防接種が来ました。

アポなしのいきなり訪問だったので、タイミングが悪く私はトイレ中(しかも大)。子供に「ゴマの予防接種に来たよ」と扉越しに言われても動けません。まぁ、そのうちまた来るだろうと、急ぐこともなく用を足し終わったら、予防接種は済んでました。

メイドのライラに聞いたら、やって来たのは一人で徒歩。カバンに注射器を忍ばせての往診(?)だったみたい。「今日、シャワーはだめね。」と言い残したそうです。日本で戸別訪問はあっても、呼ばなけれ来ないでしょう。

でも考えてみたら、こうでもしない限り、フィリピンで自発的に飼い犬を予防接種に連れてくる飼い主は少数派(特に貧困層)。いつまで経っても、狂犬病撲滅は実現しないんでしょう。

ちなみに野良犬の捕獲もたまに実施されているらしく、シライ市内で、捕まえた野良と思われる犬を、荷台の檻にたくさん積んだ、軽トラックを見たことがあります。やっぱりみんな殺処分されちゃったのかなぁ。


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