前回のアンドロイド「人造人間キカイダー」に続き、今日はサイボーグ美女です。
1995年に映画化されて以来、日本だけでなく世界中から注目を集め続けている「攻殻機動隊/ゴースト・イン・ザ・シェル」の最強にして美しきヒロイン、草薙素子(くさなぎもとこ)に挑戦してみました。
知ってる人には、今更説明されてもなぁ、という感じでしょうね。攻殻機動隊のストーリー・コンセプトやビジュアル・イメージが、以降の映画監督や脚本家、特殊映像のクリエーターに与えたインパクトの大きさは、ほんとうに大きかった。
特に、ハリウッドの映像シーンに、一大センセーションを巻き起こした、ウォシャウスキー兄弟の監督作品「マトリックス」シリーズなんて、全体の世界観から、銃撃戦、主人公が羊水の浸かるイメージ、首筋にプラグを差し込んで、バーチャル空間とコンタクトするアイデアに至るまで、ほぼ「まんま」な影響の受け方。
しかし何と言っても、攻殻機動隊の魅力は、主人公の素子でしょう。子供の時に飛行機事故に遭い、両親を失っただけでなく、自身も重傷を負い、全身を義体(サイボーグ)化するしか生きる道がなかった。
映画の後に作られたテレビシリーズでは、子供が全身義体化すると、成長に応じて身体を交換する必要があり、その度につらいリハビリに耐えるという、ずいぶんとシリアスな過程が描かれています。
1960〜70年代の、キカイダーやサイボーグ009でも、善と悪の葛藤や、戦争の悲惨さをベースにしたストーリー展開だったり、決して単純に「悪い奴をやっつける」だけではありません。009の原作コミックでは、当時、戦火の真っ只中だったベトナムを舞台にしたエピソードがあったぐらい。キカイダー・ジローも、009・ジョーも、必然的に複雑な性格の、悩めるヒーローにならざるを得ない。
それでも今にして思えば、素子の複雑さは、それを遥かに凌駕。少女時代の重い体験だけでなく、過酷な戦場を知る兵士であり、超一流のハッカー。でも孤独な一匹狼にはならず、公安9課では、部下から絶大な信頼を勝ち得ているリーダーで、時折、母性的な優しさも垣間見せる。そして同性愛者。こんな複雑な主人公って、ちょっと他にいないんじゃないですか?
そもそも士郎正宗さんの原作自体が、すごくディープで情報量が多い作品。アニメではそれに輪が掛かった印象。セリフの量が半端ではない。脳以外が全部機械に置き換わり、さらに意識がネットに直接繋がると、どうなるのか? 個人を識別するアイデンティティとは、記憶とは何なのか? もう哲学レベルの深い問いかけに満ち溢れている。
加えて私が惹きつけられるのは、造語センスの素晴らしさ。前出の「義体」や、脳を格納するケースが「脳郭」。その他にも「電脳化」「光学迷彩」「攻性防壁」「招慰難民」などなど。タイトルの「攻殻」もそうですね。
とまぁ、このネタは語り出すとキリがないのですが、イラストは至ってシンプル。超ナイスボディのスカーレット・ヨハンソン嬢が、実写版素子を演じたぐらいなので、美女図鑑の路線にはピッタリ。髪の色を青紫にして、後頭部に「有線」用のソケットを付ければ、フィリピナ素子の出来上がり。
敢えてオリジナルのイメージから逸脱させたのが、ロングヘアーと少し褐色の肌。今回は背中からヒップラインにかけて、かなり時間をかけて描き込んでみました。
それにしても、攻殻機動隊で描かれる近未来のメカの中で、唯一違和感があるのが、携帯電話。アップルのiPhoneが登場する10年以上も前の作品なので仕方ないけれど、全員が10キーの付いた携帯を使ってるんですよね。
過去の「私的フィリピン美女図鑑」は、こちら。
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