出典:Inquirer.net |
ぼやぼやしてる間にフィリピンでは万聖節・万霊節のお墓参りシーズンが終わり、スーパーやショッピングモールの店員さんが、サンタキャップをかぶり、我が家ではツリーを引っ張り出す季節(と言っても相変わらずの常夏)となりました。普通の日本人なら11月初旬に?と訝しむところですが、9月からクリスマスシーズンだと言い張るフィリピンの人々。どちらかと言うと順当、あるいは、やっと出したか、ぐらいの感覚です。
季節の挨拶はさておき、アメリカではトランプのオッさんがまた大統領に決まっちゃいましたねぇ。前評判では大接戦だ、ハリスが若干有利だなどと、日本のマスコミも煽り大会に加担してましたが、蓋を開ければトランプ圧勝。公然と不倫はするは、あちこちで裁判を起こされるは、移民に対しては事実無根のデッチ上げ発言するは、大統領候補どころか、人間として共感もできなければ、尊敬するべき点が全然ないトンデモない人物だと思うんですが、実際にアメリカに住んでいる人たち、特にお金に余裕のない人たちには、そんなことはどうでも良かったらしい。
実際バイデン氏の民主党政権下の4年間で起こったのが、エゲつないインフレ。円安も相まって、日本からの旅行者がファーストフード食べるだけで、何千円かかったとか、ホテルが高すぎて無理とかの悲鳴。まぁ観光客向けには何でも割高になるのは仕方ないにしても、日本に比べると経済的なセーフティネットが貧弱な、自己責任大国アメリカなので、中間層以下の生活の厳しさは容易に想像できます。
もちろんバイデンさんも指をくわえて傍観していたわけではなく、インフレ削減法を施行するなどして、ある程度の効果はあったようなんですが、食品やガソリンの価格が高止まったまま。平均以下の所得層にすれば「これではトランプ政権の方が、はるかにマシだった」と思うのも仕方ないでしょう。
要するに民衆が最重要視したのが「経済」。平たく言うと「ワシらの生活を楽にしてくれるのはどっちだ?」なわけです。この点、高学歴で弁護士のハリスさんは、イメージでかなり損をしたでしょう。「あんたのような金持ちに、ワシらの苦しさが分かるか?お高くとまりやがって」と反発して層も多かったんでしょうね。女性だから、あるいはインド系だからというのは、大きな問題ではなかったと思います。
と、ここまで書いて、ハタと思い当たったのが、つい先日の日本の衆議院選。マスコミは「裏金議員」をお題目のように唱えてましたが、有権者の心の琴線により強く触れたのが「103万円の壁打破」つまり経済政策を一番に掲げた国民民主党。代表の玉木氏や幹事長の榛葉氏の分かりやすい口調と際立ったキャラクターもあって、まだまだマイナー政党ながら議席は3倍増。与党過半数割れで、おそらく狙い通りの絶妙のポジションと、当初からブレない政策実現一本の姿勢に、私はとても期待しております。
かたや本来なら、もっと脚光を浴びてもよさそうな野党第一党の立憲民主。こちらはイマイチ人気のない野田代表。しかも与党の失点による消極的な選択の側面が大なので、ネットニュースでの注目度は低い。政策もはっきりしないし過去に政権取って大失敗してるし。
つまり、日本でもアメリカでも「国民の暮らし向を良くします」という政策を、分かりやすく伝えた方が、結局は強いということなんでしょう。日本の場合は、この10年以上、与党がやりたい放題だったけど、他に頼れる野党が見当たらなかった。ここへ来てやっと少しはマトモなこと言う人が出て来たという感じ。
そして最後に我がフィリピンではどうかと言うと、やっぱり引き合いに出したいのは2022年の大統領選。なんとなく今回のアメリカと構図が似ていて、かつて20年に及ぶ独裁政治でフィリピンの経済も国家倫理もぶち壊したマルコスの息子のBBM(ボンボン・マルコス)と、才色兼備の女性弁護士レニ・ロブレドの、事実上の一騎打ち。トランプほどのダーティさはないにしても、巨額の脱税疑惑もあって、そもそも大統領候補になること自体が常識外れと思いきや、副大統領候補に据えたサラ・ドゥテルテ女史の圧倒的な人気も相まってか、こちらも圧勝。
アメリカや日本の場合のポイントが「経済」だったのに対して、フィリピンの場合は切り口が全く異なるけれど、やっぱり「フェイスブック」がキーワードだったように思います。これは以前にも書きましたが、ちょっと信じられないことに、父マルコスの治世はフィリピンの黄金時代だったという、フェイスブックに連日投稿された、誰が考えてもバレバレの嘘に、当時を知らない若い世代がコロっと騙されて、雪崩を打ってBBMに投票。もちろんソーシャル・メディアを使うこと自体は違法ではなく、日本の国民民主党など、実に巧みに活用して、玉木氏や榛葉氏の知名度を上げました。
ところがBBMの場合は、明らかに「悪用」。さらにそれを信じてしまう国民にも失望しました。これは対立候補のロブレドの敗北に留まらず、エドサ革命後40年近い、フィリピン教育の敗北じゃないでしょうか。まぁ日本も歴史教育に関しては、お世辞にも成功しているとは言えませんが、例えば戦前〜戦中の軍国主義の時代が素晴らしかったと本気で信じている人は、かなりの少数派でしょう。
ということで、政治向きの話を延々と書いてしまったので「もう二度とこんなブログ読むか!」とブチ切れた方もおられるかも知れませんが、フィリピンにとって、日本とアメリカの政治が大きく変わると、結構大きな影響が出るもの。今後も引き続き、この3国の政局と政策は、注視していこうと思います。
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