2013年11月6日水曜日

要のフォアマン

台風30号「海燕(ハイエン)」フィリピン名「ヨランダ」が、私たちの住むネグロス島がある、フィリピン中部に接近中です。 そのせいか朝から天候が不安定で、日が射しているのに土砂降りだったり、また止んだり。工事現場も作業が滞りがち。

順調だった工事ですが、三週間目に入って、フォアマン(現場監督)の父が一時作業を停めました。聞くと、今までフィリピンのやり方を尊重して大工に任せていたが、このままでは、柱が腐るとのこと。
基礎工事をするのに、まずコンクリートを打つ穴を掘ったのですが、そこに立てる柱の中の組んだ鉄筋のサイズぎりぎりの大きさしかない。 これでは、コンクートで固めても、鉄筋の先端が土に触れてしまうので、そこから水が入って腐食してしまうというのです。 鉄は錆びると太くなって、柱や壁を割ってしまいます。日本の基準では、最低6センチの間隔を空けないといけません。


言われてみると、こっちの鉄筋コンクリートの建物は、ヒビが入っているのをよく見かけます。フィリピンでは普通でも、終の住処を建ててるのですから、数年で雨漏りしたりするのは困ります。
その他にも、細かいことですが、そのままにすると柱がまっすぐにならなかったり、無駄に材料を使うことになったりと、目に余ることがいろいろ出てきたのでした。

専門的なことは、父は片言の英語で伝えられますし、意味さえ分かれば家内が現地語で通訳できますが、工事の進め方全般についての大事な話ですので、今回初めて、私が英語で「朝のミーティング」をすることになりました。

あなた達、フィリピンの大工さんの経験とやり方は尊重しますが、20年30年の間、住める家を作っていただきたいので、ベストな工法をお願いします。 私の父は50年以上日本で建築の仕事をしてその工法を知っています。 フィリピンのやり方とは違っても、父を信用して、従ってください。

相手が箸にも棒にもかからないような人なら話は違いますが、今までの仕事ぶりを見て、それ相応の経験とやる気があると思われる大工さん。 ここで頭ごなしに怒鳴りつけたりすると、大変なことになります。 移住前に勤めていた会社で、東南アジアの業務経験があり皮膚感覚で分かります。 それは父も同じで、ドバイの現場では、インドやパキスタン、フィリピンからの出稼ぎ労働者相手に散々苦労したそうです。

気のせいか、このスピーチの後、大工さん達の父を見る目が少し敬意を増したように感じます。 それにしても、日本人フォアマンがいなくて、現地の人に任せきりにしてたら、どうなったかと思うと、ちょっと恐ろしいですね。
日本人でフィリピンに移住し、家を建てて失敗したという話をよく聞きますが、良きフォアマンに恵まれなければ、施主がフィリピン人でも危ないと思います。


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