2019年7月7日日曜日

南国映画館「ブレードランナー 2049」


ごくたま〜に、シアターやDVDで観た映画について「南国映画館」と題して投稿しております。前回の「ハン・ソロ/スターウォーズ・ストーリー」を書いてから、もう1年以上も経ってしまいました。

今日、ご紹介するのは2年前(2017年)に劇場公開された「ブレードランナー 2049」。別にフィリピンで人気だとか、そういうことは全然なくて、先日の一時帰国の時に日本語字幕付きのDVDを買って、それをたまたま昨夜観たからです。

何を隠そう私は、1982年の第1作「ブレードランナー」を大学生の時に映画館で観て、まともに影響を受けた世代。ストーリーもさる事ながら、映像自体の強烈なインパクト。これは監督のリドリー・スコットの手腕にも増して、「ビジュアル・フューチャリスト」を自認する、デザイナーのシド・ミードの才能によるところが、大きいと思われます。

当初シド・ミードは、劇中に登場する空飛ぶパトカー「スピナー」や、ハリソン・フォード演じる刑事、デッカードが持つ拳銃など、メカニックのデザインだけの担当。ところが、提案したスケッチに描かれた背景が、あまりに素晴らしく、最終的には、映画全体のコンセプト・アーティストとなりました。




つまり、この映画を観たことで、その後私は、工業デザイナーの道を歩んだとも言えるほど。

当然のように、ビデオテープ、レーザーディスク、DVDと、映像フォーマットが新しくなる度に購入し、繰り返し鑑賞。フィリピンにもDVD版の「ファイナル・カット」を持って来ております。

そんな傾倒ぶりなので、35年目にしてようやく実現した続編を観ないわけがありません。ただ、フィリピンの映画館では、オリジナル音声しかないので、家族向けのSFやファンタジーならともかく、複雑なストーリー展開になること間違いなしのブレードランナー。字幕付き鑑賞が叶う機会を、2年間待っていたわけです。

さて、肝心のストーリはと言いますと、第1作の時代設定が何と2019年。最近、他の映画やドラマでもこういうケースが多いですね。「2001年宇宙の旅」とか「バック・トゥ・ザ・フーチャー」。鉄腕アトムの誕生日が2003年4月7日というのもあったし。現実には残念ながら、レプリカント(人造人間)も、飛行自動車も実現はしておりません。

第二作は、そのタイトルから分かるように、さらに30年後の2049年。前作で既に、自然環境は破壊され、ロサンゼルスは異常気象で年中雨。ほとんどの動植物が絶滅したディストピア。画面には緑や水のある風景は皆無で、超巨大な高層ビル群と、スラム化した街並みの陰鬱なイメージばかり。その流れは2049でも、ほぼそのまま受け継がれています。

ネタバレ防止のため、詳細は全部端折りますが、突き詰めて言えば、前作とその続編は、そんな絶望的な異世界で起こった、美しくも悲しい純愛。「許されざる恋」というやつですね。

前作で、レプリカント美女のレイチェルと、自由を求めて脱走したレプリカント抹殺が仕事であるブレードランナー、デッカードが恋に落ちたことから始まった物語。


「奇跡の美女」レイチェル

今回は、そのデッカードの後継者とも言うべき、30年後のブレードランナー、主人公ジョーの報われぬ恋が、物語の背景に描かれます。その恋人役、アナ・デ・アルマス演じるジョイ(Joi)が、何とも切ないほどに可憐で美しい。


そして、最後に明らかになる、デッカードとレイチェルの愛の逃避行の結末。前作同様、決してハッピーエンドとは言えないラストシーンには、目頭が熱くなりました。

ここまで書いて気付いたのは、今日が七夕。織姫と牽牛が、年に一度だけの逢瀬を遂げる夜。やっぱり人間って、洋の東西を問わず大昔から、幸せに成就した恋愛よりも、悲恋や失恋の物語に憧れるものなんですねぇ。


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