2020年4月16日木曜日
関西弁訳で知るドゥテルテ大統領の真髄
今、フィリピン関係邦人の間で話題になっているのが、先週4月6日に行われた、フィリピン大統領ドゥテルテさんの演説。ルソン島に発令中の封鎖を、当初の予定より延長して、4月30日とする事を告げたもの。
ただそれだけに止まらず、例によって「ドゥテルテ節」を炸裂させて、歯に衣着せず、直球ど真ん中で、現在の窮状をぶっちゃけて国民に訴える内容。何とそれを「全文」日本語、しかも関西弁に訳されたものがネットに投稿され、日本人の心まで鷲掴みにしています。(ドゥテルテ大統領演説完全版 関西弁訳)
翻訳者は、デセンブラーナ悦子さんという、日本人の方。大阪外国語大学のフィリピン語学科卒業後、1992年にフィリピン男性と結婚して以来のマニラ住まい。日本語、英語、タガログ語の通訳として活躍。フィリピン在住の関西人としては、目に痛いほど輝く経歴をお持ちです。
彼女が、演説の関西弁訳を思い立ったのが、決して流暢とは言えない、ドゥテルテさんのビサヤ訛りのタガログ語と、立板に水からは程遠い語り口から。マニラ首都圏どころかルソン島から遠く離れた、ミンダナオ島のダバオで育った大統領。つまり、大阪生まれの叩き上げから総理大臣になり、関西訛り丸出しで演説しているようなもの。
また、話の筋が脱線しまくるところなど、きれいに標準日本語に訳してしまうと、本来のニュアンスがまったく失われてしまうのを、日頃から残念に思われてたんでしょうね。
フィリピンの言葉は、公用語も方言も片言レベルの私ですが、以前から、タガログ=東京弁、イロンゴ=京都弁、セブアーノ(ビサヤ)=大阪弁の説を唱えていただけに、彼女の素晴らしい思いつきを全面的に支援したい気持ち。(関西訛りのイロンゴ語)
そしてこの関西弁訳、一読して「我が意を得たり」の分かり易さ。やっぱりなぁ、ドゥテルテさんは、そんな感じで喋ってたんや。言いかけた事を、「忘れてもたから、思い出したら言うわ」。「夜中に小便で起きて、考え事してたら朝になってまうんや」。
果ては、「家に入って鍵閉めて、パンデミック終わるまで出てくるな」と脅したり、「なんでこんな戦争よりひどいことが、ワシのときに当たんねん」とボヤいたり。およそ、一国の指導者が、公式の場で語る内容とは思えない、真っ正直さ。
かなりの長文ながら、私の雑な引用より、まず読んでいただきたい。
最初はゲラゲラ笑いながら読んでいた私ですが、たとえ乱暴な口調でも、フィリピンという国とその国民を、どうやったら守れるのかという、ドゥテルテさんの熱意が生々しくて、泣きそうになってしまいました。
今回のコロナ禍は、とんでもない厄災には違いないけれど、ドゥテルテさんの任期中に起こったことだけは、ラッキーだったと言えるでしょう。彼ほど非常時に力を発揮するリーダーは、世界中を見回しても珍しい。
ニューヨーク州知事のクオモさんや、ドイツのメルケル首相など、新型コロナ対策での目覚ましい活躍が注目されていますが、そんな人たちと比べてもまったく遜色がない。言いたくはありませんが、日本は、もうちょっと何とかならないものかと、溜息が出てしまいます。
ということで、封鎖がもうすぐ3週間になろうというネグロス島。ストレスで息切れしてきたところですが、大統領の演説のお陰で、頑張って我慢しようという気になりました。
場所:
フィリピン マニラ首都圏
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