私が中学・高校生の頃と言えば、1970年代の後半。スマホもパソコンも、もちろんインターネットなんて影も形もない時代。レンタルビデオも微妙に普及前だったので、映画は映画館に行くか、テレビ放送を待ってリアルタイム視聴。塾通いのために、気になるドラマやバラエティが見られないこともよくある話でした。
音楽も、まだLPや、ドーナツ盤と呼ばれたEPレコード全盛。針を回転するディスクに接触させて再生するスタイルなので、好きな曲だからとあまり頻繁に聴くと、レコードが擦り減って音質劣化。なので、大事な1枚はカセットテープにダビングして聴くのが常識だった時代。
そして何と言っても、学校の友達と共有できる情報源と言えばラジオ。それもお行儀の良い選曲で、真面目なおしゃべりが中心のFMではなく、AMの深夜ラジオでした。
その頃、関西での人気番組というと、毎晩10時から日付が変わった1時まで放送されてた、MBS(毎日放送)ヤングタウン。出演者がやたら豪華で、噺家だと、笑福亭鶴光さん、笑福亭鶴瓶さん、お笑いの明石家さんまさんに、島田紳助さん。歌手では「アリス」の谷村新司さん、「あのねのね」の原田伸郎さん。
ネットがあれば、芸能人のゴシップでも怪しげな噂話も、さらには、まったく制限なしに性的なコンテンツを見たい放題。ところが当時は、学生の分際で入手できるその類の情報は微々たるもの。リビドー満載の男子中高生が、深夜放送の際どい話題に飛びつくのも、ごく自然なことでしょう。
かくして翌朝、関西各地の教室では「昨日のヤンタン、面白ろかったなぁ。」から始まる会話に花が咲くわけです。その時は「大人の秘密を知ってしまった」的な感覚でワクワクしたものですが、今にして思えば他愛のないレベル。
さて、それから40年もの年月が経って、流れ流れてフィリピン・ネグロス島まで来てしまった私。そんなオっさんが、最近になってまたもや、ラジオの深夜放送を聴いてた、高校生に戻った気分になっております。
もちろんラジオではなくYouTube。毎週日曜日の、奇しくもヤングタウンと同じく日本時間午後10時に配信される「毎週キングコング」という番組にハマり中。
キングコングと言えば、マルチタレントなクリエーターとして超有名になった西野亮廣さんと、登録数が何とチャンネル200万を超えるユーチューバー、カジサックこと梶原雄太さんの二人による漫才コンビ。
この二人が毎週30分程度、台本も何もなしに、身近な出来事をウダウダと喋ってるだけなんですが、もう50代も終わりに差し掛かろうという私なのに、深夜にバカ笑いを連発するほど面白い。
ヤンタン木曜日の、鶴光師匠と角淳一アナウンサーの掛け合いを彷彿とさせます。それも単に関西弁のやりとりだからというだけでなく、西野さんの映画制作の裏話とか、梶原さんのユーチューブ制作チームの身内話など、今どきなネタが満載。そして時々、ベタベタの下ネタも。
これって、私が枕元のラジオを聴いていたように、今の若い人たちも、寝転がってスマホで視聴してるんでしょうねぇ。ちなみに、ただ二人が喋っているだけの毎週キングコングがチャンネル登録数46万。すごいなぁ。