出典:東京書籍 |
多くの国際結婚/カップルの皆さんは、両親の母語が異なる場合、子供の言語教育には頭を悩ませるでしょう。日本人の親御さんなら、将来子供がどこに住むとしても、日本語はせめて基本だけでも身につけてほしいと思うかも知れません。
今年(2021年)に16歳になった日本・フィリピンハーフの息子。小学校1年生を日本とフィリピンで一回づつやっているので、こちらではグレード9、つまり日本の中学3年生。結果から言うと、日本語が第一言語として定着したようです。
小さい頃から言葉はずいぶん早くて、それもどういうわけか喋るよりも読む方が大好き。家電製品の取説や、商品のパッケージに書かれている原料表示など、放っておけばいつまでも飽きずに読んでいる。私が活字中毒的な読書好きなのを見て育ったせいでしょうか。
保育園の送り迎えでは、途中にある看板を漢字込みで読み上げながら歩く毎日。ママ友がずいぶん驚いていました。特に本を読むように指導した覚えはないんですけどね。この時に根付いた読書の習慣は移住後に磨きがかかり、今ではハリーポッターを原書と日本語訳で読み比べるほど。最近では上橋菜穂子さんの「精霊の守り人」シリーズを全部読んで、1冊だけある英語訳も読了。
そしてフィリピンの第二公用語でもある英語は、田舎の学校ながら、学年トップで何度も表彰されているレベル。発音はジャパニーズイングリッシュっぽいけれど、CNNのニュースやハリウッドの映画は何の問題もなく理解しているし、もう私の英語力は完全に追い越されて、息子の背中も見えないぐらい。
ただ、マニラやセブと違い、日本人密度がきわめて低いネグロス島。日本人学校なんてあるわけないので、日本語の会話相手は、私と家内のみ。家内の日本語は20年前の来日時、公文の日本語学校で学んだので、敬語もそこそこは出来ますが、やっぱりネイティブではありません。
このままでは、もし将来日本で働きたいとなった時、ちょっと難しいかなと思い始めた矢先、先日インタビュー記事を掲載いただいた、マニラで発行されている月刊誌「ナビマニラ」。自宅に送付されてた紙面に、たまたまあった「まにら新聞」のオンラインによる国語・作文教室の広告を息子が目敏く見つけて、受講したいと言い出しました。
科目は、日本の学校で使用されている教科書をベースに、国語と歴史。一回3時間を土曜日の朝の週一回。入学金が3,000ペソ(約7,000円)で、月に4回授業で6,000ペソ(約13,000円)。フィリピン・ネグロス島の物価からするとかなりの金額ながら、講師は日本に住む日本人の方々。毎月テストもあるし、むしろ良心的な価格と言えるでしょう。
またタイミング良く、数ヶ月前に待望の光ケーブルを敷設したばかりなので、ネット環境は以前に比べるとずいぶん良くなってます。相変わらずの停電はありますが、こちらは発電機で、5分程度のロスで再開。
このように日本語と英語は、親馬鹿バイアスを差し引いても、年齢からするとまぁ悪くない。ただ、フィリピンの第一公用語のフィリピノ語(タガログ)は、お世辞にも得意とは言えません。
フィリピン大学卒(日本の東大に相当)の家内はそれを気に病んで、テスト前には机の横で教育ママぶりを発揮。それでも他の科目が90点以上で、フィリピノだけが70〜80点という程度で、一度補習となったけど落第したわけでもない。私からすれば、一教科だけでも大得意があれば、他は少々悪くても問題なし。
とまぁ、延々と我が子自慢を書いてしまいましたが、今のところ息子の言語教育は、成功したと言えるでしょう。もちろん子供さんによって得手不得手もあるし、生まれ育った環境にも大きく左右されるので、誰でも同じではないにしても、「これ大事だったなぁ」と思う点は以下の通り。
まず第一言語(息子の場合は日本語)をきちんと教えて、その言語で考え、コミュニケーションできるようにすること。実はフィリピンに移住するタイミングも、小学校1年終了時の6歳。ちょっと早かったけど、それを考慮しました。
次に、第二言語(英語)が必須な状況に置くこと。これに関しては、英語で全教科を教える私立の小中高一貫校が近くにあったのが幸いでした。先生や友達とは英語でやりとりできるし、タガログやイロンゴ(地元の方言)が出来ないからと、いじめられることもなかった。どちらかと言うと日本人とのハーフなので、人気があるぐらい。
そして、家族唯一のネイティブ日本語話者の私が、早期退職でずっと家にいたことは大きいと思います。日本人の父と息子なので、ベッタリで喋るわけではないけど、共通の話題であるテレビ番組や映画、日本の書籍に関してなど、食事時には意識して会話をしました。
ということで、これからノン・ジャパニーズのパートナーと、子供を産み育てようという方々へ、少しでも参考になればと投稿しました。
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