2022年2月8日火曜日

フィリピン学校再開への道


息子が在籍するシライ市内の小中高一貫校
聖テレシタ学院

コロナ禍を受けて、フィリピンの学校が閉鎖されたのが一昨年(2020年)の3月。この国で、学校での対面授業が行えなくなって、もうすぐ丸2年となります。

大規模な災害や戦災で、長期間に渡って教育がストップするというのは、どの国でもあり得るし、現実にあったでしょうが、丸々2年間、しかも1億もの人口を有する国全体で学校が閉鎖状態というのは、ちょっと聞いたことがありません。

日本でも2020年の春休みが前倒しになり、6月までは一斉休校の措置が取られたものの、せいぜい3ヶ月余りのこと。未成年〜若年層は重症化のリスクが低いなどの、データに基づいた科学的な判断がされた結果。

2022年2月の現在でも、感染者が出たとなったら、学校閉鎖となるのは仕方ないしにしても、フィリピンに比べれば、必要最小の限定的な対応でしょう。全世界の教育現場を全部把握しているわけではないですが、少なくともアメリカや西ヨーロッパの国では、ここまで極端に学校を閉ざしてはいないように思います。

もちろん学校へは行けなくても、閉鎖の約半年後には、モジュールと呼ばれる紙に印刷した宿題だったり、オンラインでの授業は再開していて、フィリピンの子供たちが、この2年間、何の教育も受けていないわけではありません。

しかしながら、ただでさえ多言語による授業で、落ちこぼれが生じやすいフィリピン。先生にすれば、モジュールとオンラインだけで、学習に付いていけない子供を見極めることさえ難しいでしょうし、何よりも当の子供が強いストレスを感じるのは、想像に難くありません。

幸運にも、現在高校生の息子は、ネット環境は問題ないし、親が言うのも何ですが、元々成績は学年トップクラスだったせいか、今の状況には順応できているようです。別にコロナ禍ではなくても、部屋にこもって読書したり、ネットゲームをするようなタイプだったことも大きい。

それでも育ち盛りのこの時期に、ずっと屋内に閉じ込められているは、どう考えても良いわけはないので、宅地内限定で犬の散歩をさせたり、ワクチン接種後には、できるだけ一緒に出かけるようにはしています。

つい最近では、たまたまオンライン授業のない日がモジュール配布だったので、久しぶりに息子を登校させました。人によって対応がまちまちなフィリピンなので、門前払いに備えてメイドのライラおばさんが同行しましたが、すんなり中に入れたそうです。

対応した先生や、顔馴染みの警備員のオっちゃんたちは、息子が大きくなっていることに驚いたとのこと。そりゃそうでしょうね。14歳から16歳まで、一度も面と向かって会ってなければ、大きくもなるでしょう。もう背丈は母親を追い抜いたぐらいですから。

さて、オミクロン株の感染爆発がようやくピークアウトしそうな気配となり、2月10日には、条件付きながら海外からの観光客の受け入れを表明したフィリピン政府。ドゥテルテ大統領からは、警戒レベルが2以下になったら、学校を再開するようにとの指示が出されました。

ちなみにここネグロス島のシライでは、すでに昨年後半から、山間部の小さな学校1校限定ながら、実験的に対面授業が再開しています。現在はレベル3の西ネグロスも、新規感染者数は減少中なので、おそらく遅くとも6月の夏休み明けには、市内のすべての学校で同様の流れになりそうな情勢。

それにしても、フィリピンの子供への過保護ぶりが象徴されるような、2年間の学校閉鎖。二言目には「子供が可哀想」となるフィリピン。もし今すぐ全国で対面授業が再開されたとしても、この「失われた2年」の影響は、長くフィリピンにのし掛かるのは間違いないと思います。



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