2022年7月26日火曜日

シライのガレゴ市長と明石の泉市長


 日本では元首相暗殺に端を発して、カルト教団と政治家の癒着ぶりが、改めて注目を集めているようです。この件に関しては、言いたいことは多々あれど、フィリピン・ネグロス島の話題から離れ過ぎるのはよろしくないので、同じ政治でも、もう少し身近な市政のお話。

実は私が日本とフィリピンの両方で注目している政治家が三人。偶然にも皆さん、私とほとんど歳が違わないアラ還(アラウンド還暦)の方ばかり。5月のフィリピン総選挙で現職を破って初当選した、私の住むネグロス島シライの新市長、ジョディス・ガレゴさん(62歳)、日本で今もっとも注目を集めている明石市長の泉房穂さん(58歳)、そして私が次期首相と期待している河野太郎さん(59歳)。

今日は、このお三方のうち二人の市長、ガレゴさんと泉さんについて。

まずは、ガレゴさん。
少し前の投稿で紹介した通り、シライの憲政史上、初めての金持ちではない市長。ぶっちゃけ貧乏人の子供だったガレゴさん。貧困層の多く住むバランガイ、イーロペスの出身で、若い頃にはシライ市内の砂糖精製工場の守衛さん。ガードマンが市長になったと、シライ市民の間では、すごいサクセスストーリー扱い。

当然ながら支持者の多くが、同じ境遇の人たちなので、早速、隣市タリサイの大学への無料通学バス運営を始めたり、貧民街の道路や住宅の補修に乗り出したり。ここまでは上々の滑り出しかと思ったら、どうもそうではないらしい。

ややこしいのは、ガレゴさんが選挙で戦った市長の先代、オティ元市長の時の副市長だった経歴。元々資産家でもなく、フィリピンの政治家には珍しく「少ししか盗んでいない」と評される、比較的クリーンな活動な活動が売り。選挙に使える私財など、ほとんどないんでしょうね。そこでオティさんの全面的な支援が必要でした。

めでたく当選したのはいいけれど、オティさんと、もう一人のスポンサーがいて、この両名が犬猿の仲。可哀想なガレゴ市長は両方の顔色伺いで、矛盾する施策を連発して、市役所内は大混乱になってるんだそうです。

また、陳情に来た貧乏人の家を修理して上げるのはいいけれど、行き当たりばったりなやり方が災いして、市民には不公平感が渦巻く事態に。私のイロンゴ語の家庭教師、エイプリル嬢によると、市長就任後2ヶ月もしないのに、ガレゴさんのライバル、ゴレツ前市長が3年後の選挙で再選するだろうとの噂で持ちきり。

それに比べると、ガレゴさん同様に、貧しい漁師の息子だったという泉さんは、逆境を跳ね除け、東大に進学してNHKに勤務、さらには弁護士となるなど、輝かしい経歴。頭脳明晰なだけでなく、強力なリーダーシップの持ち主のようです。およそ、周囲の顔色伺いなどとは無縁なタイプ。

そうでなければ、泉さんを一躍有名にした、所得制限なしの子供の医療や学校給食の無償化、高齢者・障害者・犯罪被害者・性的マイノリティーの方々の救済措置は、実現できなかったでしょう。時には強引とも言える牽引力が暴走して、部下へのパワハラ発言で一旦市長を辞任なんてこともあったそうですが、市民の圧倒的な支持によって再選。

情熱が溢れすぎて、やや脇の甘い感じは否めないけれど、とにかく泉さんの政策、発言は分かりやすい。本気で少子化を止めたいなら、それしかないやろ!というポイントを、ただただシンプルに実行。できない理由を数え上げる小利口な愚か者を蹴散らして、どうやったら実現できるかのみにフォーカス。

最近ツイッターを始められて、そのおかげで私も彼の考え方を知ることができました。そこだけは、フェイスブックで日々活動を広報しているガレゴさんと似ています。

こうなると、元衆議院議員だった泉さんに、国政に復帰してほしいと願う声が上がるのは、当然の成り行き。それだけでなく、私が思うに、泉さんのような出自や資質の政治家が必要なのは、ここフィリピンも同じ。

ちなみに、前マニラ市長のモレノさんは、極貧のトンド地区から身を起こし、俳優業を経て首都のリーダーになった人。今年の総選挙では大統領を目指したんですが、大変残念なことに、ボンボン・マルコスが大差でリードする中、支持率2位のロブレド候補の足を引っ張る行動で、多くの支持者をガッカリさせてしまいました。

というわけで、いろんな意味で日本に絶望してネグロス島に生活の場を移したとは言え、母国日本の現状を伝え聞くと、暗ぁ〜くドヨヨ〜ンな気分になりがちな私。そんな私にとっての泉市長は、暗闇に差し込んだ一条の光のようです。


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