早いもので、三年毎に行われるフィリピンの総選挙が終わって1週間。実はその間、私は日本語教師の仕事が始まって、何かとバタバタしておりました。それ以外にも、いろんな出来事が重なって大忙し。そっちはそっちで傍目には面白いネタなので、次回・次々回に投稿するとして、今回は選挙結果のお話。
さて前回、殺人事件にまでなってしまった、ここネグロス島シライの市長選。地主階級の金持ちで前職のゴレツ氏と、貧困層に生まれ、砂糖工場の警備員から身を起こし、市会議員を経て当選した叩き上げの現職ガレゴ氏。この二人の一騎打ちとなりました。対立の構図が実に鮮明で、それぞれの支援者も行動が過激になった結果なんでしょうね。投票当日の朝、ゴレツ氏の選挙事務所前で、買票行為を監視していたガレゴ氏側のスタッフ数名が銃撃を受け、2名が死亡。犯人として逮捕されたのが、ゴレツ陣営に与していた、市内のバランガイ・キャプテン(町内会長)でした。
このような、一触即発の状況下での投票なので、下手に僅差だったりしたら、さらに流血の惨事が拡大しないかと、たいへん不安でした。私自身には投票権はなくても、家内と息子が、事件現場近くの投票所へ投票に行きますからね。小学校の先生で義妹のジーナも、とても怖かったとのこと。
ちなみに、シライ市の場合、投票所は市内各所の小学校が利用されます。投票所には、両陣営から、不正を監視するスタッフが配置され、我が家のメイドのグレイスおばさんと、私の家庭教師でグレイスの妹バンビが、ボランティアで参加。この二人名字がゴレツ。つまり候補者の親戚なんですよ。
当日は月曜ですが、ほとんどの会社やオフィスはお休み。早朝はシニア専用で、その後一般有権者を受付。昼食後に投票した家内によると、多くの人々が午前中に済ませてしまって、家内と息子が行った頃には、もうガラガラだったそうです。いずれにしても、混乱がなくて良かった。
投票用紙は、日本と違って候補者名を書くのではなく、印刷された候補者の横の丸印を塗りつぶすマークシート方式。間違いがないように、ちゃんと説明員も傍に待機。そして最近では、専用の読み取り機が各投票所に設置されているので、日本並みとまでいかなくても、ひと昔まえに比べれば、結果判明までの時間は画期的に早まってます。
ところで、数日前から投票所で準備していたバンビによると、この100万ペソもする読み取り機が、毎年新品になっていて「税金の無駄遣いだ」と憤慨してました。フィリピンのことなので、毎回多額の賄賂が、動いているんでしょうね。
ということで当日の深夜には、公式結果が発表されて、前評判通り、ガレゴ氏が大差で当選となりました。圧勝と言うほどではないですが、4万6千対3万だったので、さすがに負けたゴレツ陣営も、騒ぎ出すことはなかった模様。フィリピンでは大統領選と同じく、副市長への投票もありますが、こちらもガレゴ側の勝利。
こうして2連敗となったゴレツ氏。すっかり気落ちしたらしく、アメリカで看護師として働く奥さんを頼って、渡米するんだそうです。それにしても元市長でも、奥さんが出稼ぎするんですね。
一方、フィリピン全土の注目が集まる、ドゥテルテ一族。現大統領ボンボン・マルコスと深刻な対立中で、上院の過半数を抑えなければ、弾劾の憂き目を見る副大統領サラ・ドゥテルテ。投票結果はボンボンが優勢となりましたが、旗色を明確にしていないボンボン側の議員がいて、結局まだ、どうなるかは分からない。
それより驚いたのが、現在オランダ・ハーグの国際刑事裁判所に身柄を拘束されている、サラの父ドゥテルテ前大統領が、なんとダバオ市長に当選。有罪の確定前ならば立候補できるし、副市長に次男のセバスチャン・ドゥテルテが選ばれたので、市長不在でも代理として職務を行えるとのこと。こっちは、新たな争いの火種が撒かれたような状況になっています。
さて、めでたく二度目の当選が決まったシライ市のガレゴさん。副市長も市会議員も全部総取りになって嬉しくてしょうがない。毎晩花火は上がるは、大音量の音楽が響き渡るはの、祝勝会が続いてます。選挙運動は夜10時までの制限があったのに、祝勝会は無制限デスマッチ。うるさいこと、この上なし。おかげで、このところ寝不足なんですよね。
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