また房総半島周辺では、秋の行楽シーズンなのにお客さんが激減してしまい、観光収入に頼る人々が厳しい状況に。1995年の阪神淡路大震災後の神戸と、同じような事になってるんですね。
その15号の経路をなぞるように、中心気圧915hPa、最大瞬間風速が秒速75メートル(フィリピン標準時刻、2019年10月10日 午後15時現在)という、エゲつない台風19号が首都圏に接近中です。さらに特筆すべきはそのサイズ。秒速15メートル以上の強風圏に本州全部が入ってしまうぐらいのデカさ。
ネットの日本語環境では、大手の新聞や放送局だけでなく、専門家や、過去の大型台風を実際に経験した個人のブログに至るまで、厳重な警戒を呼びかける投稿が、たくさんアップされています。
そのいくつかに目を通してみると、2013年にフィリピン中部のビサヤ諸島に襲来した、史上最悪のスーパー台風「ヨランダ」を彷彿とさせる内容が。当時は、私たち家族がネグロス島(中央ビサヤ地方)に移住して、まだ半年の頃。
在マニラ日本大使館からのメールの文面というのが、今ネットに溢れている台風情報にそっくり。「60メートルを超える風速」「過去に例を見ない甚大な被害が予想され」「食料、飲料水の確保に万全を」...。
秒速60メートルを超える強風なんて、日本では、そうは経験するものではありません。その上、移住して間も無く、イマイチ土地勘のない私は、震え上がりました。
実際には、自宅のあるネグロス島シライ市の被害は、それほどでもなく、我が家の停電も3日目には解消。被害が大きかったのは、ネグロスよりずっと東で、ヨランダの上陸地点に位置するレイテやサマールの島々。特にレイテの州都タクロバンは、高潮のために市街地が壊滅するほどの被害。ここだけで6,000名以上の死者を出しました。
この時に問題となったのが「高潮」という表現。どうもそれに該当する適当なフィリピノ語やワライ語、ビサヤ語がなかったらしく、英語の Storm Surge 使って警告したところ、多くの人が深刻に受け取らず(と言うか意味が分からず)、結果として避難が遅れました。家や家族を失った被災者が、「津波」Tsunami と言ってくれたらすぐに逃げたのにと、悔やんだそうです。
不吉な事に、今回の19号台風に関する記事で、高潮発生の可能性を指摘する投稿を目にしました。それでなくても、ここ数年、それこそ過去に例を見ない風水害が頻発している日本。気象庁を始めとする関係機関も、以前では考えられないような強い表現(「接近とともに世界が変わる」台風15号)を用いて、何とか早めの避難を呼びかけています。
ヨランダ辺りまでは、台風接近が多く被害も大きくなりがちなフィリピンを、日本は他人事のように遠くで見ている感じでした。またフィリピンに襲来するのは、生まれたての強い台風だと、私も根拠なく思っていたのが、実は進路上の海水温度の関係で、日本に接近してからの方が勢力が強まることだってある。
真夏の異常な暑さと同様、台風に関する常識も、昔とはまったく変わってしまったようです。移住してからというもの、フィリピンに住んでいて、自然災害で日本の心配をすることが本当に多い。どうか日本の皆さま、台風の威力を過小評価することなく、くれぐれもご無事で。
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