前回の投稿から、ちょっと間が空いてしまいました。ここ数日、美女イラストの次作が仕上げの佳境に入っておりまして、根が不器用な私ゆえ、どうしてもあっち立てればこっちが立たず。気がつくと、一週間近くもブログを放置してました。
出典:日本経済新聞 |
それはさて置き、今日は、日本からのワクチン供与の話題。先週金曜日(2021年7月9日)到着したワクチンをドゥテルテ大統領が出迎えたと、フィリピン国内でも大きく報道されました。
こちらも一週間前の旧聞ながら、私はまだ喜びの余韻に浸っております。この感覚って、海外在留邦人、特にフィリピンのような発展途上国に住む日本人じゃないと分かりにくいかも知れません。
ただでさえ、国外の同胞への態度が冷たい日本政府。今に始まったことではなく、古くは太平洋戦争前のブラジル移民など、移民ではなく「棄民」と揶揄されたそうです。どうも、海外へ出ることは、国を捨てる、あるいは逃げ出すと捉えがちな国民性。
つい昨年も、コロナ禍の被害救済策で国民に10万円の支給があった際、一部の議員さんから、海外在住日本人にも同様の手当をとの働きかけがあったものの、いつのまにやら沙汰止み。この件は少し特殊にしても、困窮して在マニラの大使館に助けを求めても、災害や犯罪に巻き込まれでもしない限り、何の助けもないらしい。「勝手に国を捨てたんだから、自己責任」というわけ。
考えてみたら、国内でも生活保護を出し渋るような体質なので、日本国憲法第11条に謳われた「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない」は、無視とまでは言わないけど、かなり軽んじられてる気がします。「自己責任」って、つくづく嫌な言葉ですね。少なくとも一国の政府が、自国民に対して使う言葉ではないと思います。
そんな、日頃やや僻んだ気持ちでいるもんだから、政府としてタイミング良くワクチン供与するとなると、嬉しくもなります。
もちろん、フィリピン在留法人が優先して接種できることはないし、分量も100万回強で、接種が遅々として進まない現状を、一挙に改善するレベルでもない。それでも、少なくとも、フィリピン及び、フィリピンに住む日本人のことは忘れてませんよとの、明確なメッセージ。
台湾にも同様にワクチン供与がありましたが、これには、総統の蔡英文さん自ら感謝の言葉をツィート。私の台湾人の友人からも、まるで私が日本政府代表のごとく、お礼のコメントがあったり。今では彼らの気持ちが、よ〜く分かります。
ところが、ツィッターでシェアされたNHKニュースに対するリプライがひどい。「海外にバラ巻きやってる場合か?」「日本で使わないアストラゼネカで人体実験」「ワクチンの政治利用」などなど。本当は、もっと口汚い言葉も使われてました。
確かに、国内でのワクチンが不足気味との報道はあっても、これは、ワクチン接種のスピードが驚異的に速くなったから。当初は目標が100万回だったのが、あっと言う間に140万回。河野担当大臣から「120万回程度に抑えてください」との要請がでるほど。日本の超絶的現場力が理由なので、それと別枠のアストラゼネカ供与の話を、ごっちゃにしてはいけない。
そして、アストラゼネカ製がまるで得体の知れないワクチンで、日本人が使わないものを外国に押し付けたのような発言は、まったくのデマ。驚くことに野党議員まで、その尻馬に乗ってる。現にイギリスでは、これで感染をかなり押さえ込んでいる実績はあるし、懸念された血栓などの副反応については、今年3月、WHOから正式に「因果関係に証拠はない」として、接種継続を呼びかけてます。
そもそも今回のアストラゼネカ・ワクチンは、日本で生産されたもの。政策として、ファイザー、モデルナ以外にも有望なメーカーと先行契約していたのは、当然のリスクヘッジ。余剰分を有効活用のどこがダメなんでしょう。
最後に政治利用するなって言うなら、まず中国とロシアにその矛先を向けるべき。特にワクチンを盾にした中国の台湾いじめは醜態のレベル。海外メーカーに台湾にワクチンを売らないよう圧力をかけて、台湾の中国帰属を認めることを条件に、自国ワクチンを提供するって、もう無茶苦茶。
つい最近も日本を含むG7で、人権と台湾の問題に関して、従来にない強い態度の共同声明が採択されたばかり。領土問題で中国と係争を抱えるフィリピンに、手厚い対応をすることは、回り回って日本の国益になる行い。
ということで、例によってまた少々熱くなってしまいました。
いずれにしても、近隣諸国に人道的見地での日本ファンを作っておけば、私のような在留邦人が、住みやすくなるだけではありません。差し当たっては、超高齢化時代に入った日本にとって、フィリピンは人材の宝庫。マジで助けてもらうことになる可能性は、かなり高いですよ。
0 件のコメント:
コメントを投稿