2023年2月13日月曜日

他人事じゃないトルコ・シリア大地震

 この投稿を執筆している時点で、すでに発生から1週間が経過した、トルコ・シリア地震。フィリピンでも連日テレビ報道があって、一般の人々の注目度はとても高く、イロンゴ語レッスンでもその話題が出るほど。

ネットでざっと調べたところ、被害のあった地域には248名のOFW(フィリピン出稼ぎ労働者)がいるそうで、少なくとも2名の死亡が確認されたとのこと。そのうちの1名である女性の、フィリピンへの遺体送還に関する記事が出ています。母国にいる家族の気持ちを察するに、何とも痛ましい限り。

大規模な地震が起こる度に、私が唯一経験した大地震、1995年の阪神淡路大震災のことを思い出してしまいます。今回と同じく、真冬の未明に発生したあの地震では、暗闇の中での強烈な揺れが、どれだけ恐ろしいものかを思い知らされました。幸い私の実家は倒壊を免れて、壁に亀裂が入った程度でしたが、それでも食器棚や洋服ダンスは見事に引っくり返り、もしその下敷きになっていたらと、後になって肝を冷やした次第。

それにしても、写真や動画で見るトルコでの建物の壊れ方って、ちょっとひど過ぎる。神戸でも多くの鉄筋コンクリートの建築物に被害は出て、1階が押し潰されたり、ビルや高速道路の高架ごと倒れ込んだりっていうのはありましたが、それでも多くは、原型は留めていました。

それに比べてトルコ。もう元の姿を想像することもできないぐらい、ペシャンコの瓦礫の山。こういう壊れ方を「パンケーキ・クラッシュ」と呼ぶらしい。当初は数千人だった犠牲者の数が、すでに5万人を超える見込みなんだとか。そりゃぁ、そうなるのも分かります。

日本人なら誰でも訝しむのが、地震国であるトルコで、建築の安全基準ってどうなってたんだろうか、ということ。1万7千名もの死者を出したイズミット地震は1999年ですから、まだ四半世紀も経っていません。

BBCの日本語記事によると、古いマンションだけでなく、2019年竣工の最新の耐震工法を売りにしていた物件も倒壊。安全基準はあったものの、一定の金額を政府に支払えば「行政処分免除」される、合法的な抜け道があったそうです。被災地で免除を受けていた建物が、7万5千棟もあったと言うから驚き。この記事内容が事実だったとすれば、これは人災の誹りは免れない。

そして恐ろしいのがフィリピン。ここ4〜5年ほどは、西ネグロスの州都バコロドでもコンドミニアムの新築ラッシュ。雨後の筍とはこのことかと思うぐらい、10階建て以上のビルがにょきにょき。昔からフィリピンの高層ビルの建築中の姿を見ると、柱は細いし壁はブロック積んでるだけ。ダンパーなどが入ってるのって、見たことない。

その上、日本ほどではないにせよ、フィリピンも結構な地震国なんですよね。ウィッキペディアで調べただけでも、近世以降でマグニチュード7以上の地震って、17世紀のルソン地震、1976年のミンダナオ地震、1990年のバギオ大地震、そして私が移住したその年、2013年に発生したボホール地震。これはネグロスでも揺れを感じたし、隣島のセブで大きな被害が出ました。


ボホール地震で倒壊した教会

こうして並べるとフィリピン全土、どこで大地震があっても不思議じゃない。いやもう、これは本当に、他人事じゃないですよ。



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