2022年10月29日土曜日

相変わらずの台風被害


出典:ABS-CBN

 万聖節(フィリピン版のお盆)を、11月1日に控えた帰省の時期を狙いすますように、22号台風パエン(Paeng)が襲来しました。

フィリピン中部ビサヤ諸島に属するネグロス島には、10月28日の深夜から今日の早朝にかけてが最接近。いわゆるスーパー台風と呼ばれるような、猛烈な風雨はなかったものの、ほぼ三日間に渡った大雨。私たちの住むシライでは、市内各所で道路や住宅地の冠水、河川の氾濫が相次ぎました。

トドメを刺すように、昨夜には、州都を含む西ネグロス州の主要地域で広域停電。約14時間停まっていた送電が、先ほど午後2時頃にやっと復旧したばかり。朝から回している発電機の燃料が、そろそろ心細くなってきたので、土砂降りの中ガソリンスタンドに走って帰宅したら、電気が戻っていたというお約束のタイミング。

幸いにも、シライ市内では死者が出たという報告はありませんが、相変わらず貧困層の多い川沿いや沿岸部などの低地で、大人の腰ぐらいまでの浸水。多くの市民が市営体育館やバランガイ・ホール(日本の公民館みたいな施設)に避難したそうです。

昨年、市長に選ばれたガレゴさんは、本人が貧困層の出身ということもあり、こうした災害時には、自ら現場に出向いて支援物資を配ったり、避難した市民を励ましたり。その様子がフェイスブックに頻繁に投稿されます。


そうした取り組み自体は良いけれど、もう何年も何十年も同じ場所で繰り返される洪水の被害で、決まって酷い目に遭うのは貧困層ばかり。私が住んでいるビレッジと呼ばれる住宅地など、たまたま水捌けの悪い我が家の前の道路はよく冠水するけど、それも、せいぜいくるぶしまで。床上浸水にはまずならないし、宅地全体を見れば、暴風は別にして、少なくとも洪水で大被害が出たというのは、聞いたことがありません。

災害救助に尽力する市長さんを演出して、「やってる感」を醸し出すより、堤防を作るとか、下水道を整備して冠水を防ぐとか、もっと根本的な対策をなぜしないんでしょう。金がないとは言わせませんよ。ネグロスを横断する自動車道や、すごく豪華な新市庁舎建てる予算は調達できている。

相変わらずと言えば、毎回同じように繰り返される、広域の長時間停電もそうです。原因は嫌というほど分かってるんだから、対策のやりようはいくらでもあるはず。しかも電気代がすごく安いとかならともかく、普通に生活してても月1万円近い金額になることもあるし。

それにしても今回の台風。お墓参りのために帰省を予定していた人には、本当に無慈悲な巡り合わせとなってしまいました。折角の大統領令で、土曜日から万聖節の火曜日まで四連休となったのに、マニラやセブからの国内便は軒並みのキャンセル。空港で大荷物とたくさんの子供を抱えた夫婦が、疲れ切った顔してるのをニュースで見ると、こっちまで絶望的な気持ちになります。

この投稿を書いている、フィリピン時間の10月29日の午後4時現在、台風はマニラ首都圏を直撃しているようです。地方のネグロスに比べて停電が少ないマニラでも、長時間停電に見舞われているとのこと。皆さまのご無事をお祈りします。



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