日本への一時帰国の二週間、歌い倒してた私ですが、フィリピン・ネグロス島に戻ってからも、コロナ禍以降にすっかり習慣化した、毎日のボイストレーニングを続けております。冷たくて乾燥した日本の空気から一変、生暖かく湿った気候がどれだけ喉に優しいかが、よ〜く分かりますねぇ。
そして数ヶ月も前から予定していたのが、高校生が集まるクリスマスパーティでの歌唱。実は私から、イロンゴ語(西ネグロスの方言)の家庭教師のバンビにお願いしていたこと。とにかく歌うのが好きなので、日々孤独に練習するのも悪くはないものの、やっぱりある程度声が出るようになったら、人前で歌いたくなるというもの。
コロナ前は毎週日曜日に教会でのミサがあったので、曲がりなりにもこの欲求は満たされていたのですが、ようやく規制が緩んだ最近でも、まだまだマスクなしでミサっていうのはリスクが高い。特に不特定多数の信徒さんが全員で歌えるようになるのは、もう1年ぐらいはかかるかも知れません。
そこで、現役の学校教師で楽器を教えてもいるバンビに、何かの機会で歌える場所はないかと尋ねたら、高校の生徒たちを集めてクリスマスパーティをするので、歌ってください、となった次第。
ただ、バンビの教え子たちというのが訳ありで、家が貧し過ぎて通学の交通費もないとか、就学中に妊娠してしまい、通常の授業には出られないとか...。そういう児童や学生のために、フィリピンではALS(Alternative Learning System / 代替学習制度)というしくみがあります。
つまり通常の学校ではなく、各生徒の自宅やバランガイホール(公民館のような場所)図書館などに教師が出向いて勉強を教えるというもの。何を隠そうバンビは、このALS専任の教師なのです。
教えているのは高校生向けのカリキュラムですが、上記のような状況なので、年齢はバラバラ。中にはもう仕事をしていて煙草吸ったりする「オっちゃん」もいたり。
当初、生徒のパーティというので、日本のアニメソングなんてどうかなと思ったけれど、自宅でネットフリックスのような動画配信を視聴できる子は、まずいない。結局、フィリピン人なら誰でも知ってるようなポップスと、クリスマスソングの合計6曲準備しました。
パーティ会場は、バンビの知り合いの家。20〜30人程度は何とか飲み食いできるスペースではあるものの、お世辞にもきれいとは言えない建屋と庭。正直なところ、最初は引いてしまいました。本当は別のパーティスペースを借りるつもりが、高過ぎて予定変更したんだとか。日本円で5,000円ぐらいなんですけどね。
とは言え、こちらから頼み込んだ話なので、不平を言える立場ではありません。ちゃんと襟のあるシャツを着て革靴履いて、いつもと同じように歌いました。
会場となったお宅の飼い犬。 なぜかいきなり懐かれた。 |
曲目は、フィリピンでカバーされた日本発の歌、「Bawat Bata」として知られるゴダイゴの「ビューティフル・ネーム」に、サザンの名曲「いとしのエリー」。クリスマス曲は「もろびとこぞりて」と「O Holy Night」。世界中でヒットしたエド・シーランの「Perfect」。最後に映画「アナと雪の女王」から「Lot it go」。ビューティフル・ネーム以外は、すべて英語で歌唱。
さて気になる歌への反応ですが、もっとドンチャン盛り上がるかと思いきや、超真剣に聴き込む一級品のオーディエンス。特に前の方に座っていた数人の女の子たちに、熱い眼差しで見つめられたのは、まったくの想定外。歌い終わってから「あなたの声は天使のようだ」って真顔で言われてしまいました。どっひぇ〜。
ということで、なかなか楽しく過ごすことができた約2時間。ちなみにバンビ先生は、こういう催し物には慣れきっているようで、ゲームやプレゼント交換など見事な司会ぶり。呼んでいただいて、ありがとうございました。
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