ほんの半月ほど前のハロウィンの頃に、19号台風ローリー(フィリピン名)が、ルソン島に接近中との投稿をしたばかりなのに、今度は22号台風ユリシーズが、マニラ首都圏を直撃。猛烈な強さでスーパー台風にカテゴライズされたローリーに比べて、勢力は小ぶりだったとは言え、「破滅的」(Catastrophic フィリピンの放送局、ABS-CBNのネット報道での表現)な洪水をもたらしました。
ローリーの時にもその進路が、2009年に首都圏のマリキナ市を中心に、大きな洪水被害をもたらした台風オンドイと似ていることから、同様の惨事が懸念されたばかり。不幸中の幸いで、ローリーによる被害は、その強さに比例することはなかった。
ところが今回、またもやオンドイの進路をなぞるように、ルソン島の一番くびれた部分を、東西に横断したユリシーズによって、オンドイの悪夢を再現したような状況。テレビのニュースでも、オンドイの再来だと繰り返し報道されるほど。
ネット上に投稿された写真を見ると、確かにこれはひどい。膝ぐらいまでの冠水ならば、ここネグロスでも時々ありますが、平屋の屋根に達する水位は、さすがに未経験。
オンドイの時は、私はまだ移住前ながら、私の10年先輩で、50歳で勤め先を早期退職し、フィリピン人の奥さんやハーフのお子さんたちと、マリキナに住んでおられた日本人の友人が被災。たまたまその翌年に、この方の自宅に泊めていただき、当時の被害について、ご本人から直接お話しいただく機会がありました。
洪水の当日がたいへんだったのは言うまでありませんが、泥水に浸かってしまった家屋や家財道具の片付けや掃除には、本当に苦労されたとのこと。具体的な被害金額までは語られませんでしたが、日本から引っ越して、まだそれほどの年数が経っていない時期だったことを思えば、経済的ダメージは相当に痛かっただったろうと推察。
実はその経験談によって、ネグロス島での我が家の新築計画をかなり変更。元々のプランでも2階建だったのですが、2階部分の面積を大幅に増やして、いざという時に、数日から一週間ぐらいは、そこで生活できるようにした経緯があります。
さて、今回のユリシーズ。まだ、被害の全貌はまったく掴めていないようで、死傷者の数もまだ確定的ではない。そして、これまた少し前の投稿で書いた通り、洪水による感染症の蔓延が指摘されています。
ABS-CBNによると、問題になっているのはレプトスピラ症。日本ではあまり知られていないこの感染症は、犬や牛、豚、山羊など、フィリピンで最もよく飼われている家畜の間で流行し、そこから人間へも感染し、(ヒトからヒトへは感染しない)オンドイの時には、89名もの死者が出たとのこと。
ところで、フィリピンに接近・上陸する台風の日本語でのニュース。結構いつも大雑把なんですよね。まぁ外国のことなので仕方ないんでしょうけど、「フィリピンを直撃」とだけ書いて、フィリピンのどこなのかは、かなり被害が出てからしか報道しません。
この国に住んでいる人には今更説明不要ながら、フィリピンって日本と比べて、面積も人口もそんなに変わらない規模なんですよ。例えば九州に上陸した台風が、関東や東北には影響が出ないことがあるように、マニラが大洪水になっても、ここネグロスでは少し雨が降った程度。せめて、直撃するのがルソンなのか、ビサヤなのか、はたまたミンダナオなのかぐらいは伝えてほしいものです。
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