2020年10月31日土曜日

台風オンドイの悪夢

これを書いている2020年10月31日、ハロウィンの午後。マニラ首都圏のあるルソン島に19号台風ローリー(フィリピン名 Rolly)が接近中です。中心気圧915hPa、中心付近の最大風速が秒速60メートル、瞬間最大風速が秒速85メートルの「猛烈な」強さ。

観測史上初めて、7月の台風発生がなかった今年。その後8月にはその帳尻合わせのように、10個の台風が発生して、日本にも大きな被害が出ましたが、不思議なことにフィリピンにはほとんど影響がなかった。

ところが10月の後半、立て続けにフィリピンに上陸する台風が続いたと思ったら、ハロウィンから万聖節(All Saints Day)という、この国では、死者のために祈る祭日を狙って、今シーズン最強の暴風雨が。

フィリピン中部ビサヤ地方のネグロス島に住む私としては、猛烈な台風というと、移住した2013年にビサヤを横断した、スーパー台風ヨランダを思い出さずにはいられません。あの時は、レイテ島東岸の州都タクロバンが、高潮のために壊滅的な被害を受け、死者6,300名、行方不明者1,062名、負傷者28,688名という、フィリピン史上最悪の台風被害。

私の住むシライでは、比較的被害は軽かったとは言え、土地の低い場所に住む貧困層の人々の多くが、強風や洪水で家財を失いました。我が家のメイド、ライラとその家族も被災者。なんと、今年になってようやく被災者救済のために作られた公共住宅が、やっと完成したそうです。復興に丸7年もかかったんですね。今はそこに、ライラの80代のお母さんが暮らしているんだとか。

それ以外にも、この時の洪水で、写真やアルバムが全部流されてしまい、2013年以前の子供時代や家族の思い出がなくなったという人の話も聞きました。つらいことです。

今回の台風ローリーは、風速や気圧の点でヨランダほどではないけれど、その進路が、2009年に首都圏を中心に甚大な被害をもたらした、台風オンドイ(Ondoy)に酷似。まだ私は移住する前でしたが、私の10年先輩で、早期退職してフィリピン人の奥さま、ハーフのお子さんたちとマニラ近郊のマリキナに住んでおられた日本人の方が、被災されました。

マリキナ川の氾濫などで、首都圏全体の交通網が麻痺状態となり、一時は空港も閉鎖。フィリピン全体で、464人もの犠牲者が。

ちなみに、秒速85メートルの強風って、どんなものか。陸上でこれほどの風が吹くことって滅多にないし、ヨランダの時も、シライではそこまでひどくはありませんでした。そこでYouTubeで検索したら、実験で80メートルの風を再現した動画がありました。


いやもう、恐ろしいとしか言いようがありません。大人でも風に押されて転がってしまうほど。子供だったら、本当に吹き飛ばされてしまうでしょうね。80メートルまでいかなくても、60メートルで木造家屋が倒壊し、鉄塔が変形すると言われています。フィリピンで家を新築すると、デフォルトが鉄筋コンクリートなのは当然ですね。


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