22号台風フィリピン名ユリシーズの続報が入る度に、気分がどんどん落ち込んでいくここ数日。マリキナ市を始めとするマニラ首都圏だけでも、2009年の台風オンドイに匹敵する大惨事だと言うのに、今回は、ルソン島北部のカガヤン州やイザベラ州で、前例のない壊滅的な被害が。
ネットの写真やテレビのニュースで見るだけながら、街が丸ごと水没したような惨状には、言葉を失ってしまいます。どうやらこの被害は、ユリシーズの雨だけが原因ではなく、先月(2020年10月)、立て続けにこの付近を通過した、17号ペピート、18号キンタ、19号ローリーによる豪雨での累積雨量によるもの。
8月頃までは少雨で、来年乾季の水不足が心配されていた状況が一転、イザベラ州にあるフィリピン最大のマガット・ダム(Magat Dam)が危険水位に達して、ユリシーズ襲来の数日前から放水をしていたそうです。これはルールに従った措置であり、放水前には下流住民に、テレビ、ラジオ、インターネット、サイレンなどで警告を出していたとのこと。
ダムの放水で河川の水嵩が上がっていたところへ、ユリシーズの大雨がとどめを刺したような格好になったのか、洪水には無縁だったとされるこの地域で、ここまでひどいことになるとは、警告したダム関係者にも、住民にも、まったく予想外だったでしょう。
少し前の私なら、これは治水がまともに行われていない、発展途上国のフィリピンだからこその災害で、日本だったらこうはならないと思ったでしょうけど、ここ数年の日本での水害報道を見聞きする限り、まったく他人事ではありません。
私が特にそう思うのは、いろんな意味でやり直しが効かない年齢になったことが大きい。実際今回の水害で、私と同年代かもっと上の在留邦人の方の中にも、自宅に浸水するなどして、生活基盤を失った人もいるだろうと推察します。
もし私が同様の被害にあったと仮定したら、これは相当に厳しい。7年前に念願の自宅を建てて、昨年は増築も完了。子供はもうすぐ高校生だし、我が家で唯一の働き手である家内は、残り5年で定年退職。あとは日本の年金がもらえるまで数年頑張ったら、というタイミング。
正直言って、もう一度家を建てる貯蓄も気力も全然足りません。これで家族の誰かが命を落としたり、私自身が大怪我でもしたら、ちょっと立ち直れないんじゃないか?(自分が死んでしまえば、そんな心配をすることもできませんが。)
今回の報道写真で一番身につまされたは、腰まで水に浸かりながら、何かを訴えるようにカメラを見上げる初老の男性。おそらく私より少し年配ぐらいでしょう。この歳になって、一から生活を立て直さなくてはならない彼の心情は、察するに余りあります。
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