ここ最近ツイッターで、立て続けに目に付いたフィリピンの悪口。人を雇っても全然ダメで、特に男はバカしかいないとか、フィリピンで英語留学しても時間と金の無駄だとか。極め付けは、観光地も名所旧跡もないし治安が悪いから、友達を誘うこともできないというツイート。
これらが、ロクに現地の事を知らない日本人のやっかみじゃなくて、何ヶ月か、あるいは何年もフィリピンに住んでると思われる在留邦人からの発信。いちいち反論するのも面倒なので、直接リプライなんてしませんが、まず人材の件に関して言えば、探し方が悪いんだろうと思います。
どうせ安い給料を提示して、フェイスブック内の求人グループででも募集したんでしょうね。そんな雑なやり方でも、そこそこ仕事ができる人が見つかると思うのは、おそらく日本でしか通用しない考え方。世界でも珍しいほど、従順で平均的な能力を育成する教育システムのお陰で、黙っていても時間は厳守するし、細かい指示がなくても、だいたいは自分の判断で動けるのが一般的な日本人。今では逆にそれが災いして、給料が下がってるのに劣悪な業務環境で使われてしまってます。
フィリピンで、というか日本以外のほとんどの国で、本気で使い物になる人材に来てもらいたいなら、まず高給を提示するのは大前提として、信頼できる人物から一本釣りで紹介を依頼しないと無理。一見効率の悪いやり方に見えても、玉石混交の中から血眼になって数少ない玉を探す労力を思えば、最初から石は無視するのが良策というもの。
実例で言うと、近所にオープンした、私が住む田舎街シライ市内には珍しい高級レストラン。そこの受付やウェイター、ウェイトレスの人たちが、日本で働いても十分通用するレベル。むしろ日本のコンビニやファミリーレストランのバイトに比べれば、はるかに優秀と言えるかも。
メッセンジャーのチャットで予約する時から、ぶっきら棒な紋切りスタイルではなく、ちゃんとした会話で予約を受けてくれるし、全文がきれいな英語。レストランに着いたら着いたで、出迎えの人もテーブル周りで接客する人も、全員が同じく笑顔で対応。呼んだらすぐ来てくれて、頼んだこと以外にも「〇〇はいかがでしょう」と痒いところに手が届く受け答え。
昔、「人間の証明」で大ブレークした推理小説作家の森村誠一さんが、エッセイに書いていたところによると、作家になる前はホテルマンだった森村さん。良いホテルのサービスとは、誰か特定の担当者が良い印象を残すのではなく、全体的に何となく良かったと思わせるのが一番なんだとか。シライのレストランが、まさにそんな感じでした。
とても感銘を受けたので、家内に「どうやってスタッフをリクルートしてるんだろ?」って訊いたら、まずオーナーが超金持ち。このレストランは、スペイン統治時代の大邸宅を改装したもので、そもそも上流階級に人脈があるから、親戚や知り合いに人の紹介を頼んでも、高学歴で評判の良い人が候補に上がるのは当然。あるいは、職業学校や大学の教授に伝手もあるらしい。
これを、ぽっと出の日本人が真似しようとしたら、まずは然るべき投資をして金持ち階級と人脈を作るところから始めないとダメということ。頭からフィリピン人を見下して、どうせダメな奴ばかりだろうと端金で人を選んでたら、そりゃ優秀でやる気のある人材なんて集まりっこありません。よく考えたら、これは日本でも同じかも知れませんね。
さらに英語留学が無駄なんて、その経験がないとしか思えない。実際、私の知ってる範囲にたくさん元留学生がいます。それがきっかけでフィリピンで起業したり就職したり、中にはフィリピン人配偶者を見つけて、人生の新たな境地を切り拓いた人がいくらでもおられる。もちろん無駄にしちゃった人もいるでしょうけど、それは本人が貴重な経験を活かせなかっただけの話。
フィリピンに友達を呼べる場所がない、に至っては、せっかくフィリピンに住んでるのに、ずいぶん狭い範囲でしか生活してないだろうと、気の毒になるぐらい。こっちの方がよっぽど人生の無駄遣いのように聞こえます。よく言われる、マニラ首都圏には観光地がないという話。ちょっとでもフィリピンの歴史を知ってれば、興味深く見て回れる場所はいくらでもあるはず。食べ物だって日本では有名じゃなくても、美味しいものはたくさんあるし。何より地元の人と接するのが楽しい。
ということで、フィリピンに「住まわせて」もらってるんだから、気に入らないことや好きになれないことがあっても、最低限のフィリピンとフィリピン人への敬意を忘れちゃいけません。相手を見下してると、それは確実に見抜かれてます。いずれ手痛いしっぺ返しを喰らいますよ。
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