中央がジャスミン、両端が父母 隣にいるのが兄のアンドレと私の息子 |
かれこれ1ヶ月以上も経ってしまいましたが、実は先月(2023年4月)、私の姪っ子ジャスミンのデビュー・パーティがありました。要するにフィリピン版の成人式で、日本のように18歳になった人全員を集めて1月に式典をやるのではなく、それぞれの18歳の誕生日を人生最大レベルに派手に祝うというもの。これをデビュー・パーティと呼びます。こっちでは「Debut Party」をデブ・パーティと発音するので、最初は何のこっちゃと思いました。
法的には男女関係なく18歳で成人。ところが、こんなお祝いをするのは女の子だけ。男は、3年遅れで21歳にデビューとなるそうなんですが、よほどの富豪とか有名人でもない限り、こちらは滅多にパーティは開かないらしい。ちなみに私の息子も今年18歳。背は伸びたものの、中身はまだまだ子供。やっぱりこの年齢は、日本もフィリピンも女の子の方が早熟ですね。
おそらくデビューとは社交界への仲間入りで、かつての上流階級の習慣だったと思われます。ところが今のフィリピンは、中流層が大躍進。貧困層はなかなか這い上がれないものの、子供を大学に進学させることのできる中流層は、この10年ほどでずいぶんと厚くなりました。リッチとは呼べないまでも、決して貧乏ではない義弟夫婦。義弟のロイは市役所の管理職で、義妹ジーナは公立小学校の教師。不必要な贅沢をしなければ、生活にはかなりの余裕があるようです。ちなみにフィリピンの学校は、私立より公立の方が教師の給与は高い。
なので、その娘ジャスミンのデビュー・パーティは、結婚披露宴並みに、西ネグロスの州都バコロドの高級ホテルで開催。おそらく両親の収入の2ヶ月分ぐらいは注ぎ込んだと思われます。すごいなぁ。
私たち家族も出席の予定で、家内と息子は1ヶ月も前から貸衣装屋さんで寸法合わせ。ちょっと早過ぎないかと言ったら、家内曰く、この時期は学校の卒業式シーズン。早めにやっておかないと、借りる服がなくなっちゃうんだとか。加えて、ジーナ行きつけ(私も利用してます)のゲイの美容師も招待して、当日はホテルの一室でジャスミンも含めて身内の女性たちのヘア&メイク。いよいよウェディングパーティのノリ。
日頃、親戚が集まると、頼まれもしないのにいつも歌ってた私は、当然のように「歌うか?」との聞かれました。そりゃあ、聞かれたら歌いますよ。ただ難しいのは選曲。最初はフィリピンでも大ヒットしたディズニー映画の主題歌、レリゴーこと「Let it go」を考えていました。あれって「あるがままの私で生きるのよ」みたいな歌詞なので、成人式にはいいかなと思ったものの、家内から「ちょっと違う」との物言い。散々悩んだ挙句、同じくディズニーの超スタンダード・ナンバー「星に願いを」を歌うことに。
衣装は、昨年の還暦祝いに用意したものがあるし、これで準備万端...のはずが、パーティの一週間前のセブ旅行で引いた風邪が治らず。熱は一晩で下がったけれど、しつこい咳が続いてました。歌えないのはもちろん、峠は越えたとは言えコロナを疑われそうだし、こっちではもっと恐ろしい結核というのもある。これでは迷惑だろうと、前日になって出席を諦めました。残念至極。
さてパーティの内容は、直後からフェイスブックに大量に投稿される写真で、だいたいの雰囲気は伝わりました。期待通りの大盛会で、ジャスミンの同級生と思しき、正装した若い男性がたくさん。学校のミスコンで「クイーン」に選ばれたこともあるジャスミンなので、きっと大モテなんでしょう。
それにしてもフィリピンでは、ジェンダーを意識した催し物が頻繁なこと。何かと言うと、小学生の学校行事でさえコスプレ紛いの服着せたり化粧させたり。前述の通り学校でも、さらには町内会レベルでもミスコンは盛んだし、フェイスブックにはセクシーな水着や際どいドレスのセルフィーがずらり。それに対して「グワパ(美人)」「セクシー」とのコメントが同性からも上がります。
ミスコンやヴィクトリア・シークレットの下着ショーに風当たりが強いアメリカや、それに追従する日本では、ちょっと考えにくいぐらいの盛り上がり。かと言って、昔ながらの男性優位の価値観に女性が縛られず、社会進出は世界レベルなのが、フィリピンのすごいところなんですよね。
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