2018年6月7日木曜日
楽して暮らして何が悪い
かなり挑発的な、釣りっぽいタイトルを付けてしまった今日の投稿。でも、単なる煽りではなくて、最近私は、本当にそう思っているんですよ。55歳という私の年齢的なものは関係なく、また仕事をしていないからでもない。
ネグロス島で起業した日本の若者と、現地の従業員雇用について話していた時に出てきたキーワードが「だって楽をしたいじゃないですか」。これだけ切り取ると、怠けたいとか、手抜きしたいみたいで、「母に捧げるバラード」の武田鉄矢に「そん時ぁ、死ね」と言われそうですが、そういう意味ではありません。
つまり、優秀な従業員を雇い、現場をできるだけ任せて楽になれば、自分はさらに上の次元にシフトできる。事業のさらなる深化や拡大、多角化などなど。これは、私が勤め人の時代に、直接聞いた経営者の言葉とほぼ重なります。
昇格したい、組織の責任者になりたい、と望むのならば、自分がいかに楽をできるか、部下に任せるかを考えよ。いつまでも自分がすべてを抱え込んで、忙しい振りをするなということ。人に任せるだけでなく、仕事の効率化についても同様。
そんな至極真っ当な意見の人がいる反面、「胃を痛めて、やっと一人前」と無意味な精神論を押し付ける上司がいたのも事実。私の専門だった家電製品デザインで言うと、主力機種のデザインを担当すると、決定までのプロセスが恐ろしく面倒。
デザイン職場の偉いさんだけでなく、企画・技術・営業、そして経営トップまで、気の遠くなるような大小の会議の積み重ね。途中で一回でもリジェクトを食らったら、また一からやり直し。しかも、リジェクトの理由が「ワシはこのデザイン、嫌いや」だったりする。
今思えば、なんて効率の悪い無駄な仕事をしていたことか。どう考えても決定プロセスに致命的な欠陥がある。こんな無限地獄で迷子になっているうちに、ライバルの韓国メーカーは、さっさと新しいアイデアを商品化して、結果的に後追いになる悪循環。近道があるのに、わざわざ歩きにくい荊の道を、傷だらけになって歩かされているようなもの。マゾやなぁ。
もし、仕事の進め方そのものを見直すべきだと提言しても「お前が楽をしたいだけやろ?」と言われたでしょうね。それでも当時は、結構な給料を貰ってたし、今ほど物が売れない時代でもなかったので、あまり深く考えもせずに我慢してました。
時は流れて、フィリピン暮らしの日々。
こっちで生活してよく分かるのは、別に苦労しなくても、少し頭さえ使えば、幸せに生きられるということ。会社勤めが嫌なら、自宅で出来る事を考えればいいし、家事がたいへんならばメイドさんを雇えばいい。(と書くと、メイドに家事を任せるなんて、家族への愛情が足りないと、意味不明なことを言う人もいますが。)
要は、いかに楽に生きられるかを常に考えて、今のやり方、生き方で我慢しない。これは何も私が特別に恵まれていたとか、特殊な才能があったからではありません。自分の生き方なんて、一歩前へ踏み出すほんの少しの勇気があれば、いつだって変えられる。
もちろん、求める生き方を実現するには、準備期間は必要です。前にも書いたように、好きなこと、夢を実現するための努力は、ちっとも苦労とは思わない。むしろ、そのプロセスが楽しくて仕方ありませんでした。もっと早くそれに気づくべきだったと後悔するほど。
これを読んでいる若い方、若い頃の苦労なんて、全然する必要ないですよ。やりたくない事をいくら我慢して頑張っても無駄。それより、やりたい事に打ち込んで楽しんでください。その視点に立つと、今の時代は日本国内に籠ったり、大きな組織に属したりするのは、デメリットの方が大きい。どんどん、外に飛び出しましょう。
場所:
フィリピン シライ市
登録:
コメントの投稿 (Atom)
高校の同級生にこんなことを言う奴がいました。
返信削除「俺な、どうやったら楽して東大に合格するかを考えて勉強しているんだ。」
今思えば、この同級生は「心のハードルが低い」奴でした。
私を含めた周囲の者は、「東大を目指しているだけあって結構な量の勉強だなぁ。」と思いましたが、彼にとっては東大合格のための準備なのでやって当たり前のことでした。
私たちには大変な苦労に見えても、彼にはそれほどの苦労ではなかったのです。
私は苦労が苦役と同じならば、直ちにその苦労(苦役)を止めるべきだと思います。
しかし、苦労が苦役でないならば、その苦労に立ち向かうべきだと思います。
人は成功体験があるから、失敗してもやり直すことができ、そして勇気と決断を持てるのだと思います。
成功体験があると、心のハードルが低くなって、他人は苦労だと思っても、本人は苦労だと思わない場合も生じます。
何かを成し遂げたいと思えば、苦労はつきものだと思います。
例えば、楽して金を稼ぎたいとパチンコで生計を立てている人でも、良い台で打ちたいがために早朝5時くらいからパチンコ店の玄関前に並ぶ人もいます。
楽をしたい人も苦労はしているようです。
私は、自分を高めるための苦労は必要だと思います。
ちなみに、東大合格を目指した同級生は、現役で東京大学文科1類に合格して、法学部へ進み、今では財務省の官僚です。