現在住んでいる、ネグロス島シライ市内の宅地、セント・フランシス。いわゆる「ビレッジ」という形式で、周囲に壁を巡らし、警備員を配置。大袈裟に言うと、外界からは隔離された高級住宅地。
ただ、マニラやセブなどの本格的なビレッジとは違い、裏手に回れば壁がなくて、竹製の貧弱な柵だけだったり、トライシクルに乗っていれば、部外者でもフリーパスだったり。セキュリティ的には、かなり抜け道が多い。
ただ、海沿いや下町の土地が低い場所に比べると、海岸線からは比較的遠く、道路が冠水することも少ない。また冠水してもせいぜいくるぶしぐらいまでで、雨さえ止めば数時間で水が引くのが常。
それを思えば先日の大雨では、このセント・フランシスでさえ、かなり広い範囲で朝から夕方くらいまで冠水したままだったのは、相当な雨量だったんでしょう。我が家の場合、そうなることは、設計時にある程度は折込済み。具体的に言うと、1階の床を、更地の状態から約50センチの高さに設定。
その分、土砂やコンクリートなどが余分に必要で、費用もそれだけ掛かったけれど、ここでケチったら、家財道具が水浸しになるリスクが増すというもの。さらに、もしもの場合を考えて、当初の予定より2階の面積を広げて、家具の避難場所も確保。
幸いにして今回は、そこまでにはならず、砂利を敷いた庭は、うっすら冠水しても、床の高さまではまだまだ余裕があるぐらいでした。
ところが、新築のお隣さん。どうやら基礎の嵩上げが中途半端だったらしく、可哀想なことに、出来立てのお家が床上浸水。幸か不幸か、作庭とフェンス作りの途中で、まだ住人は入居前。
フィリピンの住宅は、総タイル張りの床が基本。日本と違って畳やフローリングは使わないので、この程度の水害ならば、それほどの被害は出ない。でも家具は揃っていたようなので、ダメージはあったかも知れません。
さて、セント・フランシスでこうなると言うことは、海岸に近い市街地や下町は、さらにたいへんな状況。市の中心を走る幹線道路のリサール通りは完全に水没して、交通網は麻痺状態。
我が家のメイド、ライラおばさんが住むギンハラララン地区に至っては、全戸が床上浸水。翌日スマホで撮影した動画を見せてもらいましたが、そもそも嵩上げも何も、家全部が土間みたいなもので、生活空間がすべて水浸し。これはたいへんだ。
とは言え、これぐらいの洪水には慣れっこな、逞しい住民の方々。動画に出てくる人たちは、大人も子供も笑顔なのがすごい。死者や重傷者が出なければ、不定期のイベントみたいなものなんでしょうか。スマホ画面を見せてくれたライラも、どことなく楽しげ。
洪水のために、出張マッサージが1日遅れになったセラピストのオバちゃんは、どれだけたいへんだったかを力説。それがまるで自慢話に聞こえるから可笑しい。こちらでも洪水だったと言うと、これでみんなお仲間とばかりに満面の笑顔。
私が小学生低学年ぐらいだった頃、台風で学校が休みになり、父親が雨戸を釘で補強したり、母親が非常食のおにぎりをたくさん作ったりすると、すごくワクワクしたものです。今回の洪水では、そんな昔の記憶が蘇ってしまいました。
0 件のコメント:
コメントを投稿