OFW(Overseas Filipino Workers)。フィリピンに住んでいたり、フィリピンと何らかの関わりを持つ人なら、OFWという言葉は、必ず耳にしたことがあると思います。海外フィリピン人労働者の略称で、家族や親戚、友人・知人の中に、OFWが一人もいないという人の方が珍しいぐらい、この国ではありふれた存在。
家内の親戚でも、叔母が日本で働いてたし、従弟たち3家族が今もアメリカ在住。このブログに度々登場するメイドのライラおばさんは、クウェートで2年働いたバリバリの元OFW。家内自身も、働くことが目的だったわけではなけれど、私と日本に住んでいた頃には、子供向け英会話教室のピジョンキッズに在籍して、せっせと実家に送金してました。
そして先週、ホーリーウィークの聖金曜日に、新たに家内の従弟ラルフ君とその妻エリアンが、看護士としてアメリカ・シカゴに旅立ちました。
出典:Time Out |
すでにラルフの姉ルビーとレイチェル、叔父のノノイが同じくシカゴで看護士職に就いて、もう約20年。全員それぞれの家族がいて、ノノイの娘ケビンは、めでたくアメリカでお医者さんになりました。
つまりラルフとその母テレシタ叔母は、シカゴからの仕送りが十分にあって、特にお金に困っているわけでもない。それでも敢えてアメリカを目指したのは、ここネグロスでの職場(病院)の労働環境が劣悪で賃金が安過ぎるから。
貧困層の中には、OFWの家族からの送金に全面依存して、まったく働かない人々も多いそうですが、そこは元大学教授だったテレシタ叔母を始め、高校教師だった私の義母など、才女揃いのオフィレニア姉妹。子供の教育も厳しくて、何もせずに遊び暮らしている従姉妹兄弟は、見事なまでに誰もいない。
ラルフにしても、ネグロスで十分な稼ぎがあれば、わざわざOFWになることもなかったんでしょうけど、前述のように真面目に看護士をやってても、貯金もできないし自家用車の購入夢のまた夢。そうした不満が溜まっていたところへ、2年前から始まったコロナ禍。
給料の額には全然見合わない、感染リスクの高い危ない仕事。しかも医療崩壊が起きて、恐ろしいまでの荷重労働。多少なりともやる気と能力のある人は、海外に出るのが当然という状況。
ちなみに、フィリピンの医療レベルが、お世辞にも高いと言えないのは、コロナ以前から、海外への人材流出が続いているのも大きいでしょうね。でも考えてみればもう日本は、フィリピンを上から目線で見られる時代ではなくなってます。
意外にも自覚のない人が多いのですが、日本の賃金レベルは世界に比べてまったく優位性がない。優位性どころか専門職の間では、わざわざ言葉や文化の障壁が高い日本を選ぶ必然性が皆無なほど、働く国としては魅力がない。
そして、こんなにストレスいっぱいで、面倒な上司が待ち構えている日本に早々に見切りをつけて、海外に飛び出す若い人が増えています。統計的にどうかはさて置き、ツイッターで交流のあるフィリピン在住の日本人には、そういう人がとても多い印象。
ゼロリスク信奉者で、石橋を叩いても渡らない人もいるけど、英語留学やボランティアで、一度フィリピンなり海外に、ある程度まとまった期間滞在してみると「こっちの方が自分に向いてる」「日本より楽しい」と気づく人が増えたんでしょうね。
そう考えると、単純労働のみで、雇用主からの虐待リスクを押してでも海外に出るしかない貧困層を除けば、フィリピンは個人の海外進出では先進国だと言えるでしょう。
実際、医療関係者として頑張っている家内の従弟たちや、友達にもサウジアラビアで航空会社のマネージャーになったり、ニュージーランドで教授職を務める人など、経済的に成功を収めたOFWは身近でよく聞きます。
ということで、シカゴのオヘア空港に到着したラルフ夫妻は、姉ルビーの家族に迎えられて、早速フェイスブックに写真アップ。二人とも希望に満ち溢れた、満面の清々しい笑顔が印象的でした。
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