2022年5月10日の午後現在、 すでに日本語のメディアでも報じられている通り、フィリピンの次期大統領は、フェルディナンド・マルコスJr(BBM)、副大統領は現大統領の娘のサラ・ドゥテルテが、当選確実となりました。
正副とも「強権」で知られた大統領の二代目。私は前回の投稿で書いたように、討論会をすべて欠席し、自分に都合の良い情報だけをSNSで発信することで、支持を集めたBBMの選挙手法には、大きな疑問を感じます。
しかしながら、これはフィリピン国民の選択。相変わらずの現金ばら撒きが横行し、不正が皆無とは、とても言えないものの、得票数が倍以上の大差では、その影響もあまり関係ないようです。
反マルコス陣営からは、マルコス家がマラカニアン宮殿(大統領官邸)に戻れば、1960~80年代の汚職天国、戒厳令の悪夢の再来との声も。もちろんそんな兆しがあれば、フィリピン国民伝家の宝刀ピープルパワーが炸裂するでしょうから、少なくともBBMは、父マルコスのような、あからさまなやり方はしないでしょう。
いずれにせよ、フィリピンに住まわせてもらっている外国人の立場としては、誰がリーダーになっても、経済成長して治安が安定した国であったほしいものです。
さて、地方住まいの私には、大統領選もさることながら、日々の生活に直結するのは市政。特に今回は、地主階級に属し3期目を目指す現職マーク・ゴレツ氏と、貧困層からの支持を集める新人ジョディス・ガレゴ氏の、事実上の一騎討ち。
すでに2期、6年間市長を勤めたマーク。(市民は皆、彼をファーストネームで呼んでます。)田舎町のシライに、大型ショッピングモールや、全国展開のファーストフード店を呼び込むなど、派手な施策を連打。その反面、貧困層への無料医療サービスを打ち切ったり、多発する水害にはまったくの無策。中流以上だけを見た政治が、目立ってました。
案の定、我が家のメイド、ライラおばさんを代表とするような、日銭暮らしで経済的に余裕がない人々には不人気。そのアンチテーゼとも言えるのが、ジョディス・ガレゴ。
このブログで度々名前が出てくる、シライ市内でも貧困層が多いことで知られるイーロペス地区の出身者。地名の最初に「アシエンダ」とつく集落が多いバランガイ(最小行政単位)で、これはスペイン統治時代の農園の名残り。つまり、代々続く小作人が多く住む場所。
川沿いの低地にあるイーロペスは、市内でも洪水被害が年に数回もあって、中洲のような地形なのに橋がなく、いまだに市街地に出るには渡し船が必要な集落も。いわば、シライの貧困を代表するような地域です。
そして、注目の投票日。僅差ながらシライ市民は、ジョディス・ガレゴ氏に軍配を上げました。家内によると、シライ市長が地主などの富裕層以外から選出されるのは、おそらく初めてとのこと。トライシクル(オート輪タク)ドライバーからの支持が多かったんだとか。
ということで、中央政府では、かつて国民から搾取の限りを尽くした人物の家系からリーダーが選ばれ、極貧から身を起こした元ボクサーや俳優が落選したのとは対照的な結果となった、シライ市長選でした。
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