2023年6月25日日曜日

「フィリピン人はみんなルー大柴」説

 昨日(2023年6月24日)は、ウクライナ戦争が一気に終結かと思わせるような、ロシアでの内戦騒ぎ。風雲急を告げるとはまさにこのことで、かなり興奮気味で今朝のニュースを見たら、何のことはない、まるでヤクザ同士の手打ち。まったくの茶番で呆気ない幕切れ。

今日はそんな国際情勢がメインではなく、もうすぐ家庭教師に来てもらって5年になろうかと言う、私のイロンゴ語(フィリピン・西ネグロスの方言)学習について。

最近は、毎週日曜日の午後から2時間がレッスンタイム。いつも教えてくれているバンビ先生は、本職の高校教師がとても多忙。というのは、コロナ禍で卒業シーズンが約三ヶ月ずれて、今がその時期。バンビの受け持ちが、通常の学校ではなく、ちょっと訳ありで教育機会を逸して成人してしまったり、早過ぎる妊娠出産で学校に通えない、という人々の高校教育。

卒業と同時に就職したい生徒も多く、ポートフォリオ、つまり履歴書作成の手伝いで大忙し。はっきり言って、成績優秀で履歴書なんて自分で書いちゃう子はあんまりいないでしょうから、バンビの苦労が偲ばれます。

その代行で、先週と今日来てくれたのが、バンビの姪っ子エイプリル嬢。姪っ子と言っても25歳。なかなかの美人で、とても一児の母には見えません。彼女のことは、以前このブログでも書きました。(セクシーな家庭教師)ちなみに、エイプリルの母親が、現在我が家のメイドさんのグレイス。グレイスでさえ私より10歳も若いので、この辺りは出産年齢の低いフィリピンらしい。

さて毎週のレッスンでは、私が一週間分の出来事をジャーナルと称して、日記かエッセイのようにイロンゴ語作文。それを先生に添削してもらうというやり方。教科書も参考書もないマイナー言語なので、分からない部分は取り敢えず英語で書いて、授業でそれに相当する単語や表現を教えてもらってます。新規に学んだことは、即、手製のネット上の辞書に反映。(日本語 / イロン語辞典

今週のジャーナルは、上記のロシア内戦。いつもは、身の回りの日常に関する記述が多いんですが、大きな事件や災害があった時は、頑張ってイロンゴ語で書いてます。ところが、この手の政治とか軍事をまともに書くと、ほとんどが英語ばかりになってしまう。というのは、ちょっと専門的な語彙、たとえば「占拠」とか「蜂起」「退路」「軍事組織」みたいなものは、1対1で対応するイロンゴ単語が見当たらない。

結局、英単語をイロンゴ語の冠詞や前置詞、助詞でつないだハイブリッドな文章にならざるを得ません。例えば「ロシアの民間軍事組織ワグネルのリーダーである、エフゲニー・プリゴジンが蜂起した。」は、「Nag-uprising si Yevgeny Prigozhin, ang leader sang “Wagner” ang private military organization sa Russia.」となります。(赤字が英語と固有名詞)

これでは、わざわざイロンゴ語で言うより英語で言った方が早いぐらい。全部イロンゴ語に置き換えることもできるようなんですが、やっぱりニュアンスが変わったり、すごく長くなったり。またディープ・イロンゴと呼ばれる、昔ながらの表現を使うと、若い人が理解できない。なるほどなぁ。数学や科学の教科書が英語で書かれている理由を、今更ながらに実感してしまいました。

公用語であるタガログ語ベースのフィリピノならば、もう少し語彙も整備されていているものの、テレビでドラマや政治家のスピーチを聞いてると、英単語はとても頻繁に使われています。つまり、フィリピン人が普通に喋ったら、ある程度は「ルー大柴」になっちゃうものらしい。

特別に専門的な話題じゃなくても「運良く」「驚いたことに」「〜は、もうたくさん」みたいな表現は「fortunately 」「Surprisingly」「No more ~」が、さらっと出て来て誰も訝しんだりしません。もし日本人同士の日本語会話でやったら、ふざけてるのかと怒られそう。

そう言えば、まだ家内が来日したばかりで日本語勉強中だった頃には、私もちょっと難しい熟語は英語に置き換えて喋ってたので、それを聞いてた人に「まるでルー大柴やな」と言われたことがあります。

ということで、改めて明治時代初期に、ヨーロッパから入って来た新概念を、ことごとく日本語(「民主主義」「病院」「野球」などの和製漢語)に翻訳した先人の努力と、漢字の持つ応用力の強靭さに感謝している次第です。



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