2020年12月28日月曜日

フィリピン第3の通信プロバーダー

 

今年、フィリピンの通信業界で話題になったのが、PLDT(フィリピン長距離通信)、Globe Telecom(グローブ)に続く、第3の通信プロバイダーとして、2021年にサービスを開始するというDITO Telecommunity(ディト / タガログ語で「此処ここ」の意味)。

PLDTとグローブの寡占状態だったフィリピンでは、インターネット速度の遅さが、長らく問題視されてきました。どれぐらい遅いかと言うと、今年11月の調査対象となった139カ国中の110位。ASEAN(東南アジア諸国連合)でも下から2番目。

マニラでの固定回線ネット速度が、28.69Mbpsで、日本の91.9Mbps(2019年の調査)の三分の一以下。ただし、これは首都圏での数字で、私が住むネグロス島のシライ市では、せいぜい5Mbps。要するにPLDTとグローブの企業努力が、諸外国に比べてまったく不足しているわけです。

この状況を打破するために、第三の勢力として市場参入するディト。2018年、通信業社としてフィリピン政府の認可入札で勝利した、中国資本40パーセントの通信会社です。

国の最重要インフラを司る通信プロバーダーに、外国資本が入っている企業を選ぶのは、かなりリスクが高いけれど、このぬるま湯みたいな環境を変えるには、強力なカンフル剤が必要だと、ドゥテルデ大統領が判断したんでしょうね。

今年(2020年)7月の国民に向けた演説では、年内にネットサービスが改善されなければ、通信会社の資産を没収すると、ドウテルテさんらしい脅しをかけているぐらい。

いずれにせよ、PLDTとグローブが、新しい競争相手に危機感を持って、顧客満足度の向上に取り組んでくれるのは良いことなんですが、実は私が、フィリピンのプロバイダーに一番欠けているのは、通信のスピードじゃないと思うんですよ。

もちろんお世辞にも、現状の速度に満足してるなんて言いませんけど、私の場合、4K動画とか大容量のデータをやり取りしているわけではない。今でもユーチューブやネットフリックスは、それほどのストレスもなく鑑賞できるし、ブログ書いたりSNSへのアクセスも普通にOK。

では何が問題なのかというと、それは安定性。それも通信障害云々よりも、もっと基本的なサービスの。

PLDTもグローブも共通してダメなのが、トラブった時の対応。まず、苦情の電話をしようにも、最初のコールでは、99%サポセンにつながらない。何回、何十回もかけて、やっとつながって修理の依頼をしても、当日に来てくれることなんてほぼ有り得ない。さらに、何日か後に約束した日時には絶対に来ない。連絡もない。

ようやく修理スタッフが来ても「これは私の手に負えません」と、結局何もせずに帰ってしまい、そのまま放置なんて日常的にあったりします。私の知っている範囲だけでも、このために、PLDTからグローブ(または、その逆)に乗り換えた人が何人もいます。

それ以外には、昨年のゲストハウス新築時に新規回線を引こうとしたら、このビレッジ(宅地)には、割り当て回線がもうありませんと、断られたり。ちょっと待ってよ。広大なビレッジで、まだまだ他に何軒も新築工事中なのに、回線がないってどういうこっちゃ。仕方がないので、母屋から有線で引っ張りましたけどね。

一番驚いたのは、家内のオフィス、フィリピン教育省での出来事。

ある日突然、オフィス全部の固定電話が不通。当然ネットも使えず、何週間か、家内は在宅勤務してました。その後、ネットだけは復旧したものの、2ヶ月以上経った今でも、通話ができないまま。家内に聞くと、何度連絡しても、修理しに来ないんだそうです。

まぁ、固定電話が使えなくても携帯があるし、実務はなんとか回るんでしょうけど、政府機関の地方分室にこの仕打ちをするとは、さすがに信じられません。

ということで、新規参入のディトに期待するのは、通信速度でシンガポールに勝つとかじゃなくて、不具合があったら修理できる体制作り。それも日本並みなんて贅沢は言いません。多少時間がかかってもいいから、放ったらかしだけはやめてほしい。

それがきちんとできたら、たとえ速度が今のままでも、フィリピンでのぶっち切りのシェアナンバー1は、私が保証しますよ。


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