いつからこんなことになったんでしょうねぇ、日本という国は。
前回投稿した、今私が住んでいるフィリピンの片田舎シライで、なぜ毎年大きな被害を出しながら、治水がまったく進まないのかを考えみました。日本では治水に限らず、建築や土木、あるいは技術改善で解決できる分野に関しては、間違いなく世界のトップレベル。フィリピンのみならず、多くの先進国ですら羨むほどに、便利で安全な社会になったと思います。
私が子供の頃から就職してしばらくの間ぐらいは、そのおかげで経済は右肩上がり。途中、オイルショックで足踏みはしたけど、すぐにバブル経済の時代。私が社会人になって10年ぐらいは、給料は毎年確実にアップするし、20代の真っ只中だった私の世代は、ずいぶん楽しい時期を過ごしました。
ところが日本お得意のハコモノ・ハードウェアから、ITやソフトウェアに劇的なパラダイムシフトが起るタイミングで、バブルが弾けてしまった。当時から土地神話への過度な傾斜に、警鐘を鳴らす人はいっぱいいました。永久に膨らみ続けるバブルはあり得ないって。でも、誰も止まれなかったんですよね。
絶対大丈夫と思われてた証券会社や銀行までが、倒産したり生き残りのための経営統合。あの当時の悲喜劇は、今でもよ〜く覚えています。私の親戚にもいました。株で大儲けしてブイブイ言わしてたのが、あっという間に自己破産。本人は鬱病になり家族は生活保護で細々とした暮らしという、まったく絵に描いたような「失われた10年」。(すでに30年?)
そこからでしょうねぇ、社会全体が異常なまでに失敗を恐れるようになったのは。私が子供の頃から、他と違わないように、目立たないようにとの同調圧力はありましたが、就職活動中の学生が、全員「制服か?」と思うぐらい同じような色、同じような仕立てのスーツを着るほどではありませんでした。
出典:Aviation Wire |
就職先の職場でも、戦中戦後の混乱期を知っている、型破りで時には敢えてルールも破ろうといった、野武士みたいな上司もいたし、そもそも経営者が、終戦直後のドサクサでのし上がったような人でした。
ところが、ハコモノ・ハードウェア志向で、世界第二位の経済大国を謳歌していた最中のバブル崩壊。失敗するのが怖いもんだから、成功体験にひたすらしがみついて、気がついたら世界はグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの天下(いわゆるGAFA)。得意だった家電ですら、中国・韓国メーカーの後塵を拝して久しい。
実は私、ガラケー絶頂期から大凋落の時期に携帯電話関連の会社に在籍。そこでなぜiPhoneが売れるのかを分析した技術者たちは、タッチパネルや液晶の精度にしか着目してない。いや、そこじゃないでしょ?
いまさら言うまでもなくスティーブ・ジョブスの天才的なところは、iTunes、App Store の立ち上げに他なりません。つまりシステムとソフト。音楽も映画も、本もゲームも、およそ考えられるエンターテイメントやサービスは、全部 iPhone 経由で入手できる仕組み。今では当たり前ですが。
あれだけコテンパンに負けてるのに「端末の性能では、我が社が勝っている」という思考自体が敗因だって気づかないまま、事業そのものがほぼ廃業の憂き目に。
産業界だけでなく政治も同じで、日本のお役所のIT化の遅れは、日本が発展途上国呼ばわりしている国からも、哀れみを受けるほど。ハンコや紙の書類に固執する規制を、いつまでも墨守してちゃダメでしょ。アマゾンで検索したら、2022年の今でもファックス電話がたくさんヒット。それだけでもかなり絶望的に気分になります。
高齢者はネットもスマホも使えないって、いつまで言ってるんでしょうかね? それがなければ、いろんなサービスが受けられないってなれば、年寄りでも使うようになりますって。私の母など、70過ぎてからパソコンでコープの宅配注文のやり方覚えてましたよ。問題は、今できない人に合わせて、できる人にまで不便を強いるのが当然という考え方。
まぁ、年寄りは年金もきっちりもらってるし、そういう世代は選挙でも投票するから、結局、社会も政治も、ジジババの方しか見なくなる。若い世代は人口も減るし、給料は安い。いよいよ「絶対に失敗したらアカん国」化に拍車がかかる悪循環というわけです。
ということで、失敗を恐れるがあまり、新しいことをしなくなるだけでなく、新しいトライを積極的に邪魔をするような社会に嫌気がさして、私は日本からフィリピンに移住したわけです。たまに観光で行くぐらいならともかく、いくら便利で安全でも、あの息苦しさの中で死ぬまでいろって言うのは、私には厳しすぎですねぇ。
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