今日は、本当に怖かった話。先日、フィリピン人の家内が結核の疑いで検査をしました。結果は陰性で事なきを得て、本人も私もやれやれなんですが、改めて結核蔓延国のフィリピンの現実を思い知った次第。
そもそもフィリピンの医療レベル自体、お世辞にも高いと言えません。一番の理由は、医師や看護師の報酬が安すぎて、まともな医療従事者の多くが、アメリカを始めとする海外に流出してしまうから。つい先日も、家内の従弟夫婦が看護師として渡米したばかり。州都バコロドの病院に勤務する別の従弟も、渡米資格を得るため「自分を殺して」我慢して働いてるんだとか。
さてフィリピンでの結核についてネットで調べてみると、サイトによって順位のばらつきがあるものの、死因のトップ10には間違いなくランクイン。WHO選定の「結核高負担国」で、これでも1990年代に比べると、日本の支援などがあって状況は改善したそうです。
以前にも書きましたが、抗生物質の投与で治る病なのに、なぜこうなるか? それはもう、貧困と無知の故、としか思えません。実際に友人の中にも結核だと診断されているのに、失業を恐れて治療しない人がいました。また、基本的に結核治療は無料のはずなのに、公立の診療所などでは担当者によっては代金を請求されたり、薬の処方を渋ったり。挙句が、子供も配偶者も家族全員に蔓延して、十代の若者が亡くなる悲劇も。
家内の場合は、しばらく嫌ぁな感じの咳が続いてるなと思ったら血痰が出て、慌てて近くの結核診療所(そんな機関があるんです)で検査を受けました。レントゲン撮影の結果が微妙で、若干の影が写っていたため、痰を調べることに。検査自体はそこではなく、「ラボ」と呼ばれる別の施設で行われるそうで、これが2週間も待たされる。
待たされる方は堪らんですよ。いくら治療できる病気でも、やっぱりフィリピンでTB(ティービー、Tuberculosis / テュバルキュロシスの略称)となったら、不治の病というイメージを持つ人が多い。家内もしばらくは眠れない夜をすごしました。
さらに陰性の結果が出ても、咳の原因追及や治療については、上記の診療所の医師はまったく当てにならない。この辺りが、前述のような構造的問題を抱えるフィリピン医療のリアルな姿。仕方がないので市内にある有料のクリニックへ。まともな医療を受けようとすると、貧困層には厳しいぐらいのお金がないと、ダメなんですよ。
そこでは結核の専門医が、聴診器による診断で、結核患者に多い呼吸時の「水泡音」(泡がぼこぼこするような音)がないから大丈夫とのこと。ただし、別の感染症だと判断して、やっぱり抗生物質を処方されて帰ってきました。2週間分で1,500ペソ(4,000円弱)なので、貧乏な人は我慢しちゃうかも知れません。
しかも、毎日キチンと服用しないと、感染している菌に耐性ができてしまうのは、結核やその他の感染症と同じ。フィリピン、特に貧困層には、この「毎日キチンと」が苦手な人が多い。結核がそう簡単に撲滅されないのは、こういうところにも原因があるんでしょうねぇ。
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