2023年7月3日月曜日

犬との距離感

 私の住むネグロス島では、どこでもやたらと犬がいます。各家庭で飼われている犬はもちろん、道端で繁殖している野良・半野良。おそらくこれは、ネグロスだけのことではなく、フィリピン全土で似たような状況なんでしょう。ちなみに我が家でも「ゴマ」と名付けた雑種のオス犬を一頭飼育中。

名前の由来は、胡麻塩のような模様があるから。こっちの言葉で「Goma」がゴムを意味するとは知らなかった、最初の日本人飼い主による命名です。まぁ、あまり細かいことをツっこまないフィリピンなので、地元の人から指摘されたこともないですけど。

フィリピンで犬を飼うのは、愛玩動物と言うより、番犬の意味合いが強い感じ。普通に空き巣とか強盗が多いですからねぇ。特に比較的広い家に住む場合、どうしても全体に目が行き届かず、別に泥棒じゃなくても、門の前で「タグ・バライ(ごめんください)」と言ってる人に気付かなかったりしがち。昼間ならメイドさんもいるでしょうけど、深夜になったら怖いですし。

なので、未知の訪問者には誰にでもけたたましく吠える、フレンドリーではない犬が幅を効かせることになります。その点ウチのゴマは、人間だけでなくバイクや車、果ては水牛にまで喧嘩を売る身の程知らず。ちょっと無駄吠えが多過ぎて、早朝などは嫌になったりするぐらい。

多少うるさくても、ちゃんと敷地内にいるならいいんですが、厄介なのが半野良。飼い主はいるんだけど、餌だけは与えて、家の周囲で放し飼いにするパターン。犬好きが多いフィリピンなので、何となく容認されているようですが、やっぱり他家の子供に噛みついたり、バイクが避けようとして事故ったりのトラブルが発生。実際に放し飼いが原因の死亡事故も報道されます。

さすがに、大金持ちが純粋に番犬として購入するような、ジャーマン・シェパードとかドーベルマンの類に放し飼いは見たことないものの、逆に檻に閉じ込められる虐待同然の飼育も目につきます。そんな家の前を、ゴマの散歩で通ったりしたら、欲求不満の大型犬にめちゃくちゃ吠えられる。難儀やなぁ。

その反面、まるで自分の子供のように屋内で一緒に暮らし、ハグ&キスが当たり前という人もいる。これは日本でもよくありますね。ただ私も家内も、犬は犬、人は人、という感覚なので、ちょっと真似はできません。ゴマをいじめたりはしませんが、たまに頭を撫でるぐらい。人それぞれですからね。

そして犬を語る上で、冗談で済まされないのが狂犬病。世界的に見ると、狂犬病の清浄国は、日本を含めてむしろ少数派。フィリピンでは、年間で300〜600名もの死者を出す、恐ろしい感染症。旅行者にも、安易に犬や猫を触ろうとしないよう、注意喚起がされてますよね。発症したらほぼ100パーセント死に至りますから、これは決してオーバーな呼びかけではありません。

もちろんフィリピンでも、狂犬病に対して無為無策ではなく、飼い犬に関する限り、毎年地方自治体から委託されたと思しきスタッフが各戸を回って、狂犬病の予防接種。我が家にも来てもらってます。その活動があっても、全体の一割ぐらいしかカバーできてないのが現実。野犬狩りもやってるらしいんですが、焼石に水状態。

ということで、ぱっと見では、犬も犬好きの人間も多いフィリピンは、犬にとってのパラダイスのように思われるかも知れません。しかしながら、狂犬病じゃなくても、全身がただれたような皮膚病の犬や、車に轢かれて路上でペチャンコになった犬をよく見かけます。数が多いから、必ずしも幸せとは限らない。犬になったことはないので、実際に彼らがどう思ってるのかは、分かりませんが。



0 件のコメント:

コメントを投稿