出典:Lakad Pilipinas |
私がフィリピンに移住した10年前に比べると、ずいぶんフィリピンに住む日本人の数が増えた印象です。これは主に在留邦人によるツイッターでの発信が増えたから。ところがJETRO(日本貿易貿易振興機構)のホームページによると、2013年の約1万8千人から、2018年では1万7千人とマイナス千人。さらにこれはコロナ禍以前の数字なので、2023年現在では、さらに減っている可能性もありそう。
とは言え、マニラやセブの大都会からの日本人によるSNS投稿は、以前より活発になっているのは間違いない。その中には、移住を検討中だとか、最近マニラに引っ越しましたなんてコメントもちらほら。今年(2023年)夏季休暇の英語学校への予約は、相当な盛況になっているとも聞きます。
全体は減ったにしても、私からすると特筆すべきは、若年層の増加。かつてはフィリピン移住=若いフィリピーナを追いかけて来た、日本を食い潰した中高年男性みたいなイメージだったのが、最近では、英語留学を経てフィリピンで就職や起業する若者だったり、親子留学で長期滞在する母子だったり。
そうなると、ネグロスのような地方よりも、仕事を探しやすく便利で日本食も豊富な、大都会に集中するのも分かります。そして気になるのが、生活に要するお金の問題。
活発にやり取りされる情報交換を傍目で見てると、フィリピンの物価が安いということは、もう移住の理由になりにくくなっている。そりゃそうでしょうね。マニラに比べれば遥かに生活費の安い、ネグロス島シライに居てさえ、実感できるレベルのインフレ。メイドさんや家庭教師、出張マッサージのセラピストへの報酬は、すべて値上げしました。トライシクル(オート三輪)の料金が、10年前の倍になりましたから。
さらに追い討ちをかけるのが、昨年あたりからの円安。給料が円ベースだったり、日本の貯金、年金に頼っている人には大打撃でしょう。私はマニラに住んでいないので、イマイチ実感はできませんが、1ヶ月の生活費が20万円は必要という声も。シライでも家族3人で10万円はかかりますから、恐らくそれが現実なんでしょうね。
ただ、一口にマニラと言っても、マカティやBGC(ボニファシオ・グローバルシティ)なんてフィリピンで一番地価の高い場所のコンドミニアムに住んで、日本食レストランでしょっちゅう食事をすれば、高くもつくでしょう。住む人は選びますが、もっと安いアパートで暮らし、ローカルの食事を厭わなければ、5〜10万円は安く上がるかも知れません。
まぁ、フィリピン人目線で考えてみれば、マルコスの汚職と圧政が原因の「アジアの病人」状態から、やっと半世紀前の日本の経済成長レベルに到達したわけですから、そろそろ豊かになってもいいだろうという感じ。
これはフィリピンが高くなったと言うより、日本が何かにつけ安いままだったんだと思います。失われた20年30年の果てに、鳴物入りで始まったアベノミクスも、結局は大企業を優遇するだけで終わり、そもそもの目標だったはずの、一般国民が恩恵を受ける景気回復や賃金アップには効果なし。税収は上がり、一部企業の内部保留が増えただけ。フィリピンだったら暴動か革命が起きてもおかしくないですよ。
ということで、1980年代の夢が醒めない、フィリピンかぶれの爺さんが説く「月3万円で暮らせる」は、いまや夢のまた夢。「フィリピンが安いから移住」が通用するのは、ネグロスのような地方で、さらに住み方に工夫しないとダメな時代になってしまったようです。
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