出典:Philstar.com |
フィリピン人とフィリピン在留邦人には朗報...かどうかは微妙なところですが、十日ほど前にCNNフィリピンは、ロシア製のワクチン「スプートニクV」の使用がフィリピンで認可され、それだけでなく、スプートニクVをフィリピンで生産でするための交渉が、最終段階に入ったと報じました。
このワクチン、米ソの冷戦時代を知る人なら、すごい名前を付けたもんだと思うでしょう。言わずもがなの解説をしますと、スプートニクとは、1957年(昭和32年)にソビエト連邦が打ち上げた、世界初の人工衛星。ロシア語で「人工衛星」を意味するそうです。そのまんまやな。
当時のソ連とアメリカは、熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていて、スプートニクの成功にはアメリカの一般市民に至るまで、強烈な敗北感を味わったらしい。「スプートニク・ショック」なんて言葉が流行ったほど。
1961年(昭和36年)には、「地球は青かった」の言葉を残した、ユーリイ・ガガーリン中尉(後に大佐)がボストーク1号に搭乗して、世界初の有人宇宙飛行の栄誉をソ連にもたらしました。この失地を回復するため、直後にアメリカのケネディ大統領が「10年以内に人間を月に送り、無事生還させる」と、アポロ計画をぶち上げたのは、もう歴史の教科書に載るほど有名な話。
つまり、今のロシア人にすれば、スプートニクの名は、かつて世界一の技術大国だった、母国の栄光を象徴するもの。それを敢えてワクチンに使ったのは、現在、ウクライナ紛争などでアメリカや西ヨーロッパの国々から経済制裁を受けている状況に対する、少々子供っぽい感情表現なんでしょうね。
そんな政治的背景もあり、アメリカのファイザー、イギリスのアストラゼネカなどのワクチンに比べると、(EMA)世界的認知度は今一つ。3月9日付のAPFによると、欧州医薬品庁(EMA)の幹部が、「スプートニクVの使用はロシアン・ルーレットみたいなもの」と、安全性に懸念を表明したり。
とは言え、実際には、ワクチン自体は悪くないようで、スプートニクVの治験の結果が、イギリスの医学雑誌ランセットに掲載され、91.6%の予防効果があったそうです。日本の専門家の方に問い合わせてみたら、肯定的な回答をいただきました。(新型コロナウイルス ワクチン情報)
こうなるとフィリピン在住の身としては、どうしても中国シノバック製ワクチンと比べてしまいます。ロシアがフィリピンを、アジアでのワクチン製造の拠点としたい思惑と同様に、発展途上国を中心にワクチンの政治利用に熱心な中国。
最近は、中国製ワクチン接種を条件にした入国規制の緩和を発表するなど、ずいぶん露骨なワクチン外交を展開。
ただし、このブログで何度も書いたように、どれぐらい効果があるのか、治験の結果はどうだったかの情報が公表されていないので、たとえフィリピンでの使用が認可されていても、怖くて接種には応じられないが正直なところ。
いずれにしても、フィリピンでワクチンが潤沢に供給されて、外国人の私が接種できるのは、どんなに早くても今年(2021年)の後半以降でしょう。その頃には、選択肢も増えそうなので、報道される内容に一喜一憂せず、気長に待ちたいと思います。
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