昨日から今朝にかけて、フィリピン中部ビサヤ地方を、熱帯低気圧マルセ Marce(フィリピン名)が横断。ここネグロス島では、つい先ほどマルセが通過したようで、時々雨が弱まり、空も明るくなってきました。フィリピンでは自国に接近する台風に、番号ではなく「フィリピン名」を命名。台風だけでなく、熱帯低気圧も同様。
また、予想される被害や台風・熱低の規模に応じて、シグナル1から4までの警報が出されます。今回のマルセでは、ネグロスを含むビサヤ地方を中心に、一番軽微なシグナル1。これだと、幼稚園や保育園が自動的にお休み。小学校以上が休校になるのはシグナル2以上。
このルールによると、今日は小学生の息子も登校するはずなんですが、朝から雨が激しく、母親である家内の判断でお休み。勝手に決めてエエんかいな?と思いましたが、家内を職場まで車で送っていく途中に学校の前を通ると、登校時間なのに人影がまばら。ゲートは開いていて、守衛さんもいるので休校ではないものの、やはり自主的な判断で子供を休ませた保護者が多かったようです。
学校だけでなく、交通機関のジプニー(乗り合いバス)や、路線バスの運行が困難になったり、動かなくなったりしたら、フィリピン人はあっさり通勤を諦める人が多い。数時間かかっても徒歩で、と思い詰めるような人は、会ったことがない。
台風でなくても「雨でトライシクル(輪タク)がつかまらないから」が、立派に欠勤や遅刻の理由になるお国柄。それで多少の不都合が生じても、自分でも無理なら休むと思っているから、仕方がないで済ませる。
こういう習慣を見ると、どうしても日本と比較してしまいます。いつものように極端な例で申し訳ないのですが、1995年の阪神大震災の時、未明の地震発生で公共交通機関がほぼ麻痺してる状況でも、出勤してる人はいました。中には被害の出た自宅に家族を置いたままで、というケースも。電車が止まった時点で、早々にギブアップした私などには、想像もできないメンタリティです。
個人の範疇ならば、場合によっては災害よりも深刻な、陰湿ないじめや過酷な業務環境が続いても、たいていの日本人(子供も含めて)は、なんとか登校・出勤しようとするし、周囲が簡単には諦めさせません。ネット上では、最近やっと「これは異常」と声を上げる人が出てきたようですが、おそらく現場では相変わらずなんでしょうね。
以前、私が勤めていた会社では「命懸けで仕事をしろ」と、本気で言う人が何人もいました。実際に、命に関わる病気で治療が必要なのに、入院を先延ばしにしてる社員や、それを組織責任者が賞賛するのを見聞きしたことも。戦前の話ではなく、つい何年か前のことなんですよ。信じられません。
仕事よりも自分の健康や命の方が大切なのは、当たり前。少なくともフィリピンでは当たり前なんだけどなぁ。そんなことを、学校を休んで家にいる息子の顔を見ながら、考えてしまいました。
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