2022年5月7日土曜日

最終盤のフィリピン総選挙


出典:Kalye Survey BBM VS LENI
YouTube 動画

 遂に活動最終日を迎えた、フィリピンの総選挙。今回の投票日は5月9日で、この日は毎回、5月の第二月曜日と決められています。そして私たち家族が、ここフィリピン・ネグロス島に越してきて、通算4回目の選挙。

カレンダー的には、まだ明日の日曜日があるんですが、どういう配慮なのか、投票日の前日は一切の活動が禁止。それだけでなく、アルコールの販売や屋外での飲酒もダメ。

おそらく以前は、「明日は決戦だ!」とばかりにテンション上がりまくった関係者や支持者が、酒も入って大騒ぎ。その結果、暴力沙汰や死人まで出て、翌日の投票にも支障が出たりしたんでしょうね。

それにしても、もう何ヶ月もお祭り騒ぎが続いて、投票権...だけでなく選挙活動への関与が、法律的にNGな外国人としては、少々うんざりしてきました。フィリピンでは9月からクリスマスの準備が始まるのと同様に、とにかく騒げることは、出来るだけ早めに長く楽しもうという国民性。特に今年は、3年目に入ったコロナ禍がようやく沈静化の兆しを見せて、今までの鬱憤を一挙に晴らすような勢い。

さて、そんなフィリピン在住外国人の私にも目が離せないのが、大統領選の行方。

結局BBMこと、ボンボン・マルコスが過半数の支持率をずっとキープして、このまま勝利しそうとのこと。めずらしく投票日前にNHKが記事を投稿してました。(支持率トップは”独裁者の息子” なぜ?)それによると、BBM優勢の背景には、フェイスブックの影響が大きいらしい。

実は現大統領のドゥテルテが当選を勝ち取ったのも、同じようなフェイスブック戦略が功を奏したから。貧困層ですらスマホだけは持っていて、国民の9割以上がアカウントを持っているというフェイスブック。確かに候補者にすれば、このメディアを使い倒さない手はありません。

しかしながら、今回BBMが取った手法が、どうやらフェイクのような手口らしい。言うまでもなくBBMの亡父フェルディナンド・マルコスは、1965年からの約20年間、独裁者としてフィリピンに君臨し、かつて「東南アジアの優等生」と呼ばれたフィリピン経済を「アジアの病人」にまで堕としてしまった大統領。

多くのフィリピン人にとっては、思い出したくもないはずのマルコス家の長男がBBM。なのに彼は、フェイスブック上では父フェルディナンドを、フィリピン経済を発展させた英雄として祭り上げ、その息子である自分が大統領に相応しいというロジックを展開。それをまた、多くの若いフィリピン人が信じてしまってるんじゃないか、というのが記事の内容。

ほんまかいな?と思って、フィリピンで小学校から中学まで教育を受け、今年から高校生の息子に訊いてみました。すると、学校では歴史は学ぶものの、マルコス政権下で何が起こったかの詳細は、きちんと教えていないと言います。本格的な近代史は、大学に入ってからになるんだとか。

う〜ん、それはちょっとマズいんじゃないかなぁ。18歳になれば選挙権があって、大学進学率が高くないフィリピンで、一番大事な近代史、特にマルコス時代の20年の実態を、教えられないまま高校を卒業するなんて。

まぁ日本でも、明治維新以降の日本史は選択しなかったので「日本の近代史は知りません」なんて言い放っちゃう大学生に何人も会ったので、それと同じことなのかも。

この記事を裏付けるように、BBM最大の対抗馬であるレニ・ロブレドを支持するのは、大学生や、それなりの知識層が中心の印象。なるほどなぁ。

もちろんマルコス時代にもその恩恵を受けて、いまだに家族ぐるみでマルコス家に忠誠を誓う人もいるし、マルコスの地元である北イロコス地方で熱狂的に支持されているのは分かります。でもそれだけで過半数とは、調査が間違ってんじゃね?と思ってたぐらい。実際、世論調査を鵜呑みするのは、ちょっと危ないフィリピン。

さて、ごまめの歯軋りはそれぐらいにして、実は今回の選挙、意外にも静かだったというののが私の印象。もちろん日本のそれに比べると、十分に喧しいんですよ。選挙カーは日本で軍歌を大音量で流しながら走る街宣車並みだし、あちこちで野外ディスコのような騒音で集会はやるし。

確か、2013年の最初に経験した選挙では、深夜どころか翌朝まで、ものすごい騒ぎ方だったような記憶があるんですよ。

それが最近は、深夜10時を過ぎると、だいたい静かになります。ドゥテルテさんのお達しが効果を発揮してるのか、それともたまたま私がいるのが、地方都市の宅地だからそう錯覚してるだけなのか。

ということで、長かった選挙戦も今日の12時でおしまい。本当にやれやれです。


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