2023年3月22日水曜日

子育てを阻む日本、放置するフィリピン 前編

 1年ほど前からツイッターでフォローし始めた、明石市の泉房穂市長。最近にわかに各種メディアに取り上げられることが増えているようです。その政策は至極真っ当でシンプル、しかも私より一つ年下なだけの世代、私と同様、コテコテの関西弁話者とあって、親近感を持たないわけにはいきません。

子育て支援だけがクローズアップされてはいますが、彼がずっと主張しているのが、弱者に優しい社会の実現。貧しい漁師の家に生まれ、弟さんが身体障害者。政治や社会がいかに弱者を冷遇しているか、身をもって体験されたそうです。確かに私が子供の頃って、高度経済成長のイケイケどんどんの時代。ハンディのある人を、思いやる余裕さえなかったなぁ。貧困や障害者だけでなく、被差別部落や韓国・朝鮮籍の人たちへ差別意思がむき出しでした。

そしてそこからが泉さんのすごいところ。本気で社会を変えるために東大の教育学部へ進学し、NHKやテレビ朝日のマスメディアの職を経て弁護士に。普通なら、それだけでもすごい経歴なのに、そこから衆議院議員に当選。紆余曲折のあと現在の明石市長に就任されました。

以後は、よく知られているように、子育て支援(医療費・給食の制限なしの無料化など)の予算倍増を推進して、全国の自治体ではトップクラスの出生率を実現。子供が増えたお陰で地域の経済成長も回復し、今では日本で一番住みたい街、住みやすい街の常連となるほど。

ただ、最優先である子育て支援への充当のために、不要不急のインフラ予算を削るという、本来あるべき「政治」を行った結果、そちらに利権を持つと思われる、多くの市会議員の執拗な反対を受けたそうです。言論によるものだけなく、完全な虚偽まで含む誹謗中傷にエスカレート。果ては殺害予告まで受ける始末。

肝心の市民からの評価はというと、2019年の出直し選挙で、70%を超える得票率で再選されたことを見れば明らか。

ここまで有言実行で分かりやすい実績を残し、しかも関西弁のお喋り市長というタレント性も兼ね備えた泉さんを、マスコミが放っておくはずがありません。最初は現政権の顔色伺いをしながら...みたいな感じだったのが、今年(2023年)に入った頃からは、やたらワイドショー出演や取材が相次いでいるらしい。YouTubeでは、ホリエモンこと堀江貴文さんと対談もされてますね。

こうなると、本人が言ってるだけでなく、近年稀に見る実行力のない岸田政権と比べられるのは仕方がない。ほんと、いつまで「検討」するんでしょうかね。弱小地方自治体とは言え、こんなにはっきり効果が出てるんだから、子供のための医療費・給食の制限なしの無料化ぐらい、さっさと実現すればいいのに。

要するに、泉さんの政策が注目を集める背景には、裏を返せば、どれだけ今まで自公の与党が、問題を先送りしてきたかということでしょう。これから親になろうという若い世代の給与を上げない、教職に至っては残業代の支払いも認めない。支援どころか、徹底して子育てを阻むのが目的としか思えません。

手前味噌で恐縮ながら、息子が小学校1年生になった10年前に、日本を離れてフィリピンに移住したことは、子育ての観点からすると、残念ながら大正解だったとしか思えません。もちろん、ライフスタイルの違いや、フィリピン暮らしの向き不向きがあるので、誰にでもお勧めする特効薬でもないですが。

ということで、序盤が長くなり過ぎましたので、お話は後編に続きます。



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