2018年8月31日金曜日
息子と観る40年前の大河ドラマ
フィリピンに移住する前...どころか、息子が生まれる前なので、もう購入から15年ぐらい経ってしまったDVDボックス。このブログで、何度もネタにしている、昔のNHK大河ドラマ「黄金の日日」。
大河ドラマの最高傑作「黄金の日日」
杉谷善住坊 日本・フィリピン交流史1
ユスト高山右近 日本・フィリピン交流史2
放送が1978年(昭和53年)なので、今年でちょうど40年。私が高校1年生の時ですよ。フィリピンという国があることぐらいは知ってたものの、具体的なイメージは何にも浮かばない、東南アジアのどこかにある場所、という程度の認識。そんな私が、初めてビジュアルで接したフィリピンが、黄金の日日に登場する「呂宋」。
言ってみれば、我が第二の故国となったフィリピンとの出会いが、このドラマだったというわけです。
それまでの大河と言えば、ほとんどが、武士や大名が主人公。その常識を破って、初めて商人〜日本とルソンの交易で巨万の富を築いた、呂宋助左衛門〜を中心に据え、しかも、城山三郎さんの原作と、市川森一さんの脚本が同時進行するという、当時としては異例のスタイル。
大河ドラマ史上初の海外ロケを敢行し、日本側だけでなく、フィリピンサイドも、錚々たる俳優を起用。主役の助左(若き日の呂宋助左衛門)が、交易船の難破で漂着した、ルソン島アゴー村。その族長を演じたのが、ビック・バルガスさん(Vic Vargas)。私の義母のアイドルだったそうです。
ずっと観ようと思っていましたが、何しろ1年分、全51話の物語。なかなか手を付けられずに放置状態。そして念願のフィリピン移住を果たし、息子が日本なら中学生の年齢に達したのを機に、この1月から、親子で視聴を開始したという次第。
往時を懐かしんで、大河ドラマの放送時間に合わせて、観るのは毎週日曜の夜8時からと勝手にルールを決めました。戦国時代のドラマなので、息子にはセリフが難解かと若干の危惧はあったものの、退屈せずに観ているので、だいたいは理解しているんでしょう。
堺の商人、今井宗久に仕える一介の奉公人から身を起こした助左が、まだ台所奉行だった木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)と知り合う頃から始まった物語も、現在(8月末)で本能寺の変。既に自分の船を持つ船長(ふなおさ)として、再度のルソン渡航をするところまで、ストーリーは進んでます。
それにしても、改めて観直してみると、ライティングのせいか、セットは貧相に見えるし、演出がずいぶん時代掛かっているのは、仕方がないところ。こっちの知識が増えた分、脚本のアラにも気がついてしまいます。
例えば、琉球往きの船が嵐で難破する件。沖縄の近海で遭難したとしても、一晩でルソン島の西岸に流れつくのは、ちょっと無理過ぎ。私だけでなく、息子にさえ指摘されてしまいました。偶然流れ着いたアゴー村に、日本語を解するルソン島民がいるのも、ご都合主義ですね。
ただそうした瑕疵を、吹き飛ばしてしまうほど、物語全体にパワーがある。当時の制作者や俳優陣の、熱い思いが込められているからでしょう。
そして、いやでも40年の歳月を感じさせるのが、もう鬼籍に入ってしまった人たちが演じる姿。川谷拓三さん(杉谷善住坊)、緒形拳さん(秀吉)、高橋幸治さん(信長)、丹波哲郎さん(今井宗久)、鶴田浩二さん(千利休)、林隆三さん(今井宗薫)...。
中でも薄命のキリシタン女性、モニカを演じた夏目雅子さんは、役と同様に若く美しいまま、天に帰ってしまわれました。ビック・バルガスさんも、亡くなってからもう15年が経ちます。
さて、月日は流れて、黄金の日日の放送後に、社会問題にまでなったジャパゆきさんの時代を経て、今や日比ハーフの人たちが、スポーツや芸能界で活躍しています。大河ドラマでリメイクは無理でしょうけど、今映画化すれば、いろんな世代から注目を浴びると思いますよ。誰か企画してくれないかなぁ?
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