2018年8月25日土曜日

専門能力は見えない翼


今週火曜日のニノイ・アキノ・デー(8月21日)、日本から英語留学のために、ネグロスにやって来た姪っ子。ただいま大学2年生で、青春真っ盛り。さぞやキャンパスライフを謳歌しているんだろう、と思いきや、意外とそういう感じでもないらしい。

日本の多くの大学生は、頑張るのは入学まで。入試が終わった途端に、就職までの4年間のバカンスとばかりに、遊び呆けてしまう学生も多い。就職活動は大変と言いつつも、諸外国での大学生の勉強ぶりとは、比べものにはなりません。

ところが我が姪っ子。将来はソフトウェア・エンジニアを目指していて、JAVAやらC言語やらを苦労して習得中。しかもスマホだけでなくノートパソコン持参で、夕食の後は、何やらカチャカチャとキーボードを叩いてます。傍には今流行りの「ディープ・ラーンニング」(AIに用いられる、コンピューターが事象を理解するための学習方法)の専門書。

最後に会ったのが、小学生か中学生ぐらいの時で、まるっきりの子供のイメージしかなかった姪っ子。ちょっと見ない間に、外見だけでなく、頭の中もずいぶん成長しました。元来、文系だったにもかからず、これからはコードの一つも読み書きできないと、それこそコンピューターに仕事を奪われてしまうとばかりに、プログラミングの世界へ。

ネットさえ繋がれば、世界のどこでだって仕事ができて、食いっぱぐれがない。ならば、英語が喋れないと片手落ちだ、という順番で、今回の英語留学を思い立ったわけです。なかなか一本筋の通った思考回路。

短期留学の話を母親にしたら、サンフランシスコに住む、遠い親戚宅に居候を勧められたのを、「旅費が高い!」と一蹴。少なくとも姪っ子には、フィリピンに対する偏見は、欠片もない。まぁ、親の懐を当てにせず、居酒屋でバイトした金で留学なので、コストパフォーマンスを考えるのは当然ですが。

そんな姪っ子の姿を見ると、専門能力を身に付けるのは、世界に羽ばたける見えない翼を手に入れるようなものだと実感。今年の前半に、同じように我が家に下宿して英語を勉強していた人は、プロのパティシエ(菓子職人)さん。手前味噌ながら、私の場合はデザイナー。

たまたま挙げた三つとも、カタカナ職業ながら、大工さんでもお寿司屋さんでも、日本から出ても(あるいは特定の会社を辞めても)通用する専門能力ならば、どれも立派な翼に間違いはありません。

バブル崩壊以降、長期凋落傾向に歯止めが掛からない日本。労働人口は減るし、効果的な政策は打ち出せそうにない。国内に留まって、できるだけ安定した場所に就職をして、という30年前の処方箋が、すっかり色褪せた今、日本から飛び出すことを前提にした将来への準備は、最低限のリスクヘッジとすら言えるでしょう。

そういう小難しい話は抜きにしても、日本で働くには理不尽なことが多すぎます。意味のない労力を要求する、時代錯誤な精神主義や、行き過ぎた顧客サービス。効率の悪い長時間労働に加えて、女性への明らかな差別も根強い。

ということで、姪っ子には、卒業したらサッサと日本の外へ出なさい、何だったら裏庭に離れを建てるから、そこでネット経由の仕事をするか?と、煽りまくっております。


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