2019年12月20日金曜日

国際感覚の無い国


ずいぶん以前から、その酷いやり方が指摘されている、日本の入国管理局。断片的な記事による情報だけでも、裁判なしで何年にも及ぶ無期限の「収容」という名の監禁、家族や弁護士への面会拒否、体調不良を訴えても医師の診察・治療を受けさせない等々。

ネットでちょっと検索しただけで、その非人道ぶりを糾弾する記事や投稿がズラリと並んでます。例えば、今年(2019年)1月付けで関東弁護士会連合会が、その実態を告発した「入国管理局による外国人収容問題に関する意見書」をご一読いただきたい。

まるで戦前か戦時中の特高(特別高等警察)かと、疑ってしまうような内容ながら、これは紛れもなく21世紀の日本。それも公的な政府機関による仕打ち。自殺者まで出ているという、恐るべき人権蹂躙。

そして数日前に投稿された、同じく入管に3年間も収容されているという、在日フィリピン女性の記事。(入管により3年以上引き離され続ける母と娘。果たして、ここまでやる必要があるのか

フィリピーナを妻とする日本人の私にすれば、これはまったく他人事ではありません。来年、オリンピックを開催しようという国とは到底思えない。さすがに国会でも採り上げられて、法務大臣が対応を明言したとのことなので、今後の展開に期待します。

ただ、日本の実態は、日本人が思っている以上に、海外の知識人には知れ渡っていることを肝に銘じるべきでしょう。私の住むフィリピンでは、今でも若者たちを中心に日本への憧れを語る人は多いけれど、少しは物の分かった大学生辺りになると、だいぶ日本の金メッキが剥がれている感じ。

隣島パナイに住む家内の親友、その一人娘のゼニアは、アニメやJ-Popなどを愛好する、典型的日本大好き少女でした。医学系の学校に進学し、一時期は看護師として日本で働きたいと頑張ってましたが、最近は、フィリピン国内でドクターの道へ。もうインターン(研修医)なので、夢の段階ではありません。

いくら日本のアニメが好きでも、日本で看護の仕事へ就くための努力と就労後の待遇が、全然釣り合わないことに気づいたんでしょうね。高度な医学知識プラス、完璧な日本語ができるような人材なら、わざわざ、給料は安いのに、過労死(フィリピンでもKaroshi の意味は知られています)のリスクまである日本で働かなくても、いくらでも仕事はある。

ドクターになろうかという優秀な彼女なら尚更で、同じ海外でも、アメリカやシンガポールなどへ行く方が、言葉の壁もないしお金は稼げるし、よっぽどリーズナブル。

以前にも少し書いた通り、ネット経由で海外のメディア、BBCやCNN、ニューズウィークなど閲覧していると、かなり日本の政治や経済、人権に関する事件などが報じられています。

最近では、ラグビー ・ワールドカップについては当然として、ローマ教皇訪日や台風被害、アフガニスタンでの中村医師の殺害。長引く日韓の関係悪化も、その歴史的背景も含めて、継続的に記事になっているし、高齢者の運転による重大事故や現政権への疑惑の数々、そして相対的貧困の拡大。

直近だと、ジャーナリストの伊藤詩織さんがレイプ被害を訴えた裁判での勝訴。特にBBCは、事件発覚直後から、独自にドキュメンタリーを制作するなど、詳細に至るまで報道しており、日本の大手メディアがほぼ黙殺していた状況と対照的。

当然、元の記事は英語で執筆されているものが多いので、日本に関心のある海外の人たちは、日本での政局・人権・報道の自由について、生半可な日本人より、よく知っていると思われます。そしてかつては日本で働こうとしてたゼニアのように、日本に幻滅するケースもあるでしょう。

それ以外にも、有名なお笑い芸人が、黒人を真似た黒塗りをしたり、あからさまに同性愛者を見下したギャグを演じたりするのは、国際感覚が無さすぎ。インターネットでは、投稿された写真に注目が集まれば、一瞬にして世界規模の炎上になる怖さを、全然理解してない人が多すぎる。それを批判した在日外国人に対しては「嫌なら日本から出て行け」との暴言が集中して、恥の上塗りまでする始末。

個人が海外に出る気がなくても、海外からの労働力に頼らないと、国そのものがやって行けない時代。外国人労働者の搾取や虐待などの直接的な問題だけでなく、間接的に日本のイメージを落とす行為が続けば、たとえ特別な技能者じゃなくても、いずれ日本は敬遠されるでしょう。

外国からの労働力も投資も、厳しい国際競争の中にある現在。それをちっとも理解せず、昭和の意識のまま「日本えらい」「日本すごい」で、頭の中を凍結させている人々が、日本を亡国へ導いている気がしてなりません。


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