2017年1月12日木曜日

マニラ首都圏はフィリピンに非ず?


ここ半年ぐらい、SNSでフィリピン関連のコミュニティに参加して、フィリピン在住だったり、フィリピンと日本を頻繁に往き来する日本人の方々と、交流するようになりました。そこでいろんな投稿を拝見したり、コメントのやりとりをしていて感じるのが、ネグロス島のシライ市が、いかに辺鄙な場所かということ。

2015年度の調査によると、フィリピンの在留邦人数は約1万7千人。そのうちマニラ首都圏(マニラ市を中心に、マカティ、ケソン、パサイなど16市1町)には、全体の半数以上の1万人が集中しているとのこと。それ以外だとセブ市とその周辺などの大都市。それも当然で、日本で言うと、東京と横浜を含む首都圏や大阪に相当する人口集積地。その傾向は、コミュニティのメンバーである日本人にも当てはまって、圧倒的にマニラ首都圏やセブの在住者・訪問者が多いようです。

そういうことなので、投稿の中で「フィリピンでは...。」と書かれているのは、正確に言うと「マニラ首都圏では...。」「フィリピンの大都会では...。」となるべきだと思う内容が多い。同じフィリピンでもシライと比べると、ほとんど外国みたいなものですから。

例えば、治安の悪さの話題。まるでフィリピン全土に、犯罪者が溢れているような印象を持つ人もいるかと思います。しかし私が住むネグロス島のシライ市では、殺人や拳銃強盗などの凶悪犯罪の話は、滅多に聞かない。空き巣や窃盗の類は多いけれど、深夜に一人歩きなどしない限り、身の危険を感じることもありません。繁華街をうろついたら、誰かしら顔見知りとすれ違うので、悪さができないのはこっちです。ダバオに至っては、前市長のドゥッテルテ氏の功績で、今やフィリピンで一番安全な都市と呼ばれるほど。

またマニラでは、ほとんど限界だと言われている交通渋滞にしても、人口50万都市の州都バコロドですら、たかが知れています。シライ市内なんて、運悪く事故か、葬式の列に出会っても、せいぜい15〜20分ほどノロノロ運転になるぐらい。

マニラ首都圏とその周辺には2000万を超える人が住んでいて、フィリピン全人口の1/5を占める。それでも、それ以外の4/5は、いわゆるプロビンス(地方)在住になるわけで、本当の平均的なフィリピンは、マニラ首都圏以外とも言えます。

日本の場合、街づくりも流行も、何でも東京に倣う傾向が強くて、どの地方都市に行っても同じような街並みだったり。ところがこれは世界的には珍しい。アメリカの場合、経済の中心地はニューヨーク。ところがマンハッタンの中がアメリカを代表しているかというと、全然そんなことはなくて、例えばニューヨーカーからは、田舎扱いされる対岸のニュージャージーの方が、よほどアメリカの庶民の街という感じがします。

フランスのパリ然り、中国の北京然り。少なくとも私が行ったことのある国では、首都=その国の平均的な街、にはなっていない。地元の人に聞いても「首都は特別だ」と言われることがほとんど。そう考えると、冒頭に書いた「シライ市がいかに辺鄙か」というのは逆で、「マニラ首都圏やセブが、いかに繁華か」となります。

日本で、もっぱらマニラ経由のフィリピンの悪いイメージが定着して、もうずいぶん経ちます。もうそろそろマニラ、セブばかりではなく、ボラカイ、ボホール、パラワン、などの、地方の魅力ある場所がもっと日本人に知られて欲しいもの。

シライ市内には、あまり観光資源はないですが、ネグロス島にはドルフィン&ホエール・ウォッチングができるドマゲティや、小さいながらセブにも劣らない、美しいビーチのラカウォンもあるんですけどねぇ。


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