2022年7月31日日曜日

通気が必要なフィリピンの住宅

あっと言う間に7月もお終い。最終日に駆け込みで、ブログをもう一本投稿です。

前回投稿の従弟パウロの誕生日祝いをしたのが、ネグロス島の州都バコロド市内にある、伯母マミー・スモールの家。今はメイドさんもいなくて、パウロとマミー・スモールの二人暮らしなので、リビング・ダイニングとトイレ・シャワーに寝室4つの間取りは、大き過ぎるぐらい。ただ、実際の屋内の感じは、狭くて暗くて暑苦しいというのが正直なところ。

マミー・スモールの家だけじゃなくて、私の知る限り、ネグロス島の中流家庭って、これに似たような住宅が多いんですよね。

敷地は約300平米(90坪)はあると思うので、宅地としては標準サイズ。前庭があって、自家用車一台は楽に駐車できるスペースがあります。両サイドと裏は隣家があるので、そちらに間隔はあまり取れないのは仕方ないとして、問題は間取りと家具の配置。

まず窓が少ない。

一部屋毎に、決して大きいとは言えない窓一つ。しかもアルミサッシなんて洒落たものではなく、精度の悪いスチール枠のルーバー窓。網戸付きなので、蚊やハエの侵入は防げるものの、気密性の点では、まったくのザル。締め切っても、隣家のテレビやラジオの音が丸聞こえです。それを嫌ってか、カーテンは昼間でも閉めてるから、晴天でも薄暗い室内。当然風通しは、ほぼ皆無。

決定的なのは、面積の割に多過ぎる部屋数。私の感覚だとこのサイズなら、せいぜい2LDKで、無理しても3LDKが限度なのに、メイド部屋を含めて寝室が4つ。しかも裏には、8畳敷程度のダーティ・キッチン(土間)と追加のトイレや物置。端的に言って、細分化し過ぎ。これでは、各寝室が狭くならざるを得ません。

メイド部屋が2畳ぐらいしかないのは仕方ないとしても、マスターベッドルームに相当する部屋が4畳半にも満たない。ダブルベッド置いたら、もうパッツンパッツン。ここに、一番多い時で、夫婦2組と子供が6人も住んでたと言うんですから、プライバシーなんて保てたもんではなかったでしょう。

そしてダメ押しなのが、物の多さ。せっかく寝室の広さを犠牲にして、唯一ゆったりスペースのあるリビング・ダイニングの真ん中に、天井近くまで届く、テレビとオーディオ収納の棚が間仕切りのようにデーン。家族全員が一度に食事できるようにと、不釣り合いに大きなテーブルがドーン。立派なソファセットに、加えて、大きな冷蔵庫と満杯の食器棚があるので、なんだか息が詰まりそうになります。

この空間に、パーティともなると20人ぐらいの親戚が集まるわけですから、食べてる間はともかく、奥さん連中のお喋りタイムともなると、エアコンのある寝室にぎゅう詰めになりながら避難。早口のネイティブ・イロンゴ語に付いていけない私は、一人リビングのソファに残されるのが常。扇風機回してじっとしていても、額にはうっすら汗が浮かぶほどの蒸し暑さです。

なるほどなぁ。これでは電気代がかさむのも仕方がない。

どうやらフィリピンでは、家の広さとのバランスよりも、ベッドルームの数が一種のステータスになっているらしい。特に建売とか転売時には、無理してでも部屋数を増やさないと、安く買い叩かれる。

そして、基本的に経済は拡大基調が続いているので、家は大きくできなくても、多少の家具や家電は買えるので、豊かさを実感するには、物欲に走るしかないわけです。

これを教訓にして、私が自宅を建てた時には、家内と喧嘩になるほど(ネグロスにしては)高額な、気密性の高い大きなアルミサッシを、一部屋に最低2ヶ所。部屋のサイズは小さくても6畳相当。やっぱり、これぐらいはないとねぇ。

ということで、フィリピンの一般住宅には、もうちょっと通気に関する配慮が必要なんじゃないかと、常々思っている次第です。



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