2022年8月21日日曜日

私立学校の経営破綻


出典:INQUIRER

 一週間ほど前の8月15日ことですが、マニラ首都圏のケソン市にある、1988年創立で1996年には第二キャンパスもできた、30年以上の歴史がある聖ロレンソ大学 Colegio de San Lorenzo が、なんと始業式の当日に学校の閉鎖を発表しました。学費や教科書の代金はすでに徴収済みだったと言いますから、かなり悪質。

日本では考えられない...と言うか、フィリピンでもここまでひどい話は聞いたことがなく、当然ながら国内メディアでも大事件として取り上げられて非難轟々の大炎上。

ただ、始業式当時なんて極端なケースではなくても、コロナ禍に伴う失業や収入減で、学費を払えなくなった保護者が多かったようで、すでに900近い数の私立学校が閉鎖や廃校の憂き目に。

これは、まったく他人事ではなく、日比ハーフの息子が通う、ネグロス島シライ市内の小中高の一貫校、聖テレシタ学院(略称STA)も、2〜3割の生徒が転校。学期途中で閉鎖になったりしないことを、切に祈るばかりです。小学校以上ではまだ大丈夫のシライ市ですが、複数の私立幼稚園では、廃園もあったらしい。

今回は規模が大きく、廃校・廃園というショッキングが例が多発したので、注目を集めていますが、私の知る限り学費の未払いは、ずっと以前から私立学校経営者の頭痛の種。STAでは、新学年開始前に一年分を先払いした生徒に対しては、1ヶ月分免除のサービスがあるぐらい。

ちなみに、早めに払うと安くなるのは、電気代や水道代も同様で、収支計算を計画的にするのが苦手なフィリピンの国民性が、露骨に表れています。

ちょっと話は逸れますが、家内が勤務する教育省の地方分室で、住宅ローンの支払いが滞って、銀行カードをローン会社に取り上げられた人が何人もいるらしい。つまり、給与が口座に振り込まれた瞬間に、ローンの分が自動的に徴収。ATMは使えないので、残った預金の引き出しは、業務時間中に窓口へ行かなければならない。

要するに、身の丈に合わない借金をして、首が回らなくなってるわけです。こういう人は、昼食の支払いにも窮して、注文したおかずの代金を踏み倒すなんて、国家公務員とは思えない振る舞いが日常化。ちなみに銀行カードを担保にするのは、さすがのフィリピンでも違法行為。

ところで、人口の減少に歯止めがかからない日本では、大学の統廃合は珍しくないし、過疎地での小学校の廃校なんて、私が子供の頃からあった話。私が通った、兵庫県尼崎市立の上坂部幼稚園は、私の通園中に新しい園舎ができるほど賑わっていたのに、もうずいぶん前に廃園となり、今では地域の集会所になっています。

翻って、近代になってからひたすら人口が増加し続けたフィリピンの場合、在園児や在学生の数が減るなんて事態は、想定外もいいところだったんでしょうね。それも徐々にではなく、2年ぐらいの間に急激だったので、あっという間に財政が悪化。

さらに対面授業の再開には、学生や教師が密にならないよう、各種の設備の準備がないと許可が降りない。ただでさえ生徒の減少で弱っていたところに、トドメの一撃になってしまったのかも知れません。

ということで、8月から11月にかけて予定されている、フィリピン全土の学校での本格的な対面授業の再開。まだまだ予想外のハプニングが起こりそうな気がします。


1 件のコメント:

  1. 上坂部か。懐かしいです。近くに住んでました。
    ウチもマクタン住まいの時に学校閉鎖されました。韓国人経営の日本語学校併設の小中学校でしたが突然です😅

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