前回に引き続き、ミンダナオ島滞在について。今回は、ミンダナオ子供図書館(MCL)の子供たちのために、食事を作るお話。
貧困、内戦からの避難、あるいは親がいない、家庭が崩壊してしまった等々、諸般の事情で学校へ通いたくても通えない子供たちに奨学金を支給し、三度の食事と寝泊まりする場所を提供するという、ミンダナオ子供図書館。子供たちの年齢は、下は小学生高学年から上は大学生まで。私がお邪魔した時には、総勢約40名ほど。当初の予定では、子供図書館に2泊だったので、夕食を2回作ろうという腹積もりでした。
ところがさすがのフィリピン、セブパシフィック。数日前になって帰路のフライトが突然のキャンセル。しかも、私の住むネグロス島シライ市の最寄りバコロド空港からミンダナオのダバオまでは、この便を含む1往復しかありません。仕方がないので帰りを伸ばして翌日に。結果的に夕食は3回となりました。
ちなみにこの食事作りは義務でも何でもなく、私が勝手に思いついた押し掛けボランティア。MCLのゲストであれば、宿泊も食事も基本的に無料です。一般的には、何かしらの支援物資を持って来る人もいるだろうし、近隣の村落や学校をまわって、地域の人たちとの交流を図ったりのアクティビティに参加したりするゲストも多い。私は少々、変則的な訪問者でした。
さてMCLでの料理ということで、真っ先に考えたアイデアはカレー。これなら大鍋で煮込めるし、具材を切ったりする作業は、当番の子供たちと分担もできる。でも、これはあっさりと日本人スタッフの梓さんが却下。というのは、日本製のカレールーは、ラードなどの豚肉由来の成分が入ってる。以前にもカレー作ろうとしたゲストがいたけれど、豚肉を食べることが禁じられたイスラムの子供やスタッフもいるので、絶対にダメ。同じ理由で料理酒やみりんも使えません。
それでは、とばかりに提案したのが、鶏肉を使ったクリームシチュー。実は私がフィリピンに移住してからの定番メニューで、ルーの代わりに地元のスーパーで売ってる缶入りのポタージュスープを入れます。ひょっとしたら、日本製のルーで作るより美味しいんじゃないかと思うぐらい。これならフィリピンでも、ココナッツミルクを使った郷土料理に風味が似ていて、多分拒否感はないだろうと、採用決定。
二日目は、フィリピンでもお馴染みの春巻き。こちらではルンピアと呼ばれ、日本のものよりちょっと小振りながら、中国がルーツのほぼ同じ料理。でもせっかく作るんだから、細かく刻んだ野菜やマッシュルームだけでなく、缶詰のツナフレークを使ったアレンジをすることに。このオリジナル春巻きも自宅でフィリピンの親戚や友達に何度も作っていて、とても評判が良い一品。
そして最後の夜は、お好み焼きにトライ。最初の二つは勝算バリバリで、まず失敗はしないだろうと踏んでいますが、お好み焼きはちょっとしたチャレンジ。お好み焼きやたこ焼きの、関西粉もん系は、ラーメンやカレーと並んで、フィリピンでも都市部なら日本食レストランのメニューで普及しているので、まぁ大丈夫だろうとは思うものの、今回食べてもらうのは、貧困層出身の子供たち。ネグロスでも何回か経験しましたが、こういう子たちって、食に関してはとっても保守的。
何と言っても、日頃の食べてる物の種類がそんなにないし、ジョリビーの甘ぁいスパゲティが、この世で一番美味しいという感覚だったりします。梓さん曰く、以前、味噌汁やおにぎりを試してみたけれど、結果はイマイチで、特に味噌汁は、笑いながら美味しいと言いつつも、ほとんど残されちゃったそうです。
そこで、とりあえずはキャベツをたくさん刻んで、小麦粉と卵、水を混ぜて焼きますが、最後のソースは様子を見て、口に合わなければオイスターソースに差し替えることにしました。
これで準備する食材も決まりましたが、限られたMCLの予算に、押し掛けボランティアが負担をかける訳にはいきませんので、食材調達はスタッフに同伴をお願いしつつ、費用は自前ということに。
ダバオ市内のSM 出典 Davao Life is Here |
ネグロスから夜到着のダバオで一泊してから、まずは、同地のショッピングモールで、キダパワン(MCLの所在地)では入手困難であろう食材を購入。普通にSMやアヤラ(大型ショッピングモール)があるので、キューピーのマヨネーズやとんかつソースは楽勝で見つかりました。その他には缶詰のスープ(10缶!)やらちょっと大きめの春巻きの皮など。ついでにテフロン加工のしっかりしたフライパンも。何しろ40人分(+スタッフの分)でたくさん作るので、焦げ付いたりすると時間が勿体ないとの読み。
ということで、MCLにたどり着く前に、またもやかなりの文章量になってしまったので、続きは次回へ。