2016年1月5日火曜日

もう日本には戻れない やり直し編


多くの人が指摘しているように、日本は「やり直し」を許さない、あるいは「やり直し」にとても不寛容な社会。例えば最近ネットでの話題で「会社を辞めたくても3年は我慢しろ」とか「一人前の寿司職人になるには10年の修行が必要」という昔からの教訓に対して、猛烈な反発が起こってますね。ようやく日本人が、日本の特殊性に気がついたということかも知れません。

あんまり飽きっぽいのも考えものですが、それは程度の問題で、私は本当に辛かったらとっとと次の仕事探せばいいし、ひたすら時間をかければいいというもんでも無かろうと思います。50歳を過ぎて思うに、強い意志を持って続けてる人はともかく、私のような凡人には、3年も我慢して嫌なことやるには人生は短すぎます。

忍耐を尊び、一つのことを続けるのを良しとするのは、やり直しがとても難しいことの裏返し。フィリピン社会の場合、勤め先を変えるのは全然珍しいことではありません。家内の親戚で、最初は日系の電気メーカー勤務だったのが、あっさり韓国系のライバルメーカーに転職。別に何のこだわりもありません。また以前、ローカル言語のイロンゴ語の先生をしてくれていた私の友人は、元々大手百貨店のフロアマネージャーでしたが、今は日本のNGOで働いている。

簡単に解雇されるけど、再就職も日本ほど難しくないのがフィリピン社会。有能な人ほど転職でキャリアアップしてる感じですね。

ここ10年ほどで、ようやく転職が前向きに語られるようになった日本。実は私も日本でメーカー勤めの頃は、ヘッドハンターに声をかけられたことがあります。社外のセミナーに出席していた時のことで、質疑応答の内容をチェックしてるんですね。終了後、廊下に出たところを、若い女性のヘッドハンターが待ち構えていました。

それをきっかけに、本気で転職を考え始めると、これがそう簡単ではありません。年齢制限があったり、転職の理由(要するに今の職場のどこが不満なのか)などを延々訊かれたりする。採用する側が慎重過ぎ。面接は受けたものの、期限を切らずに何週間も待たされるハメになったので、結局こちらから断ってしまいました。

私が今フィリピンに住んでいるのは、ある意味「やり直し」です。もっと早く生活環境を変えたら良かったと思いますが、気がついたら28年も同じ会社で頑張ってしまいました。フィリピン人の友人に話すと、大抵「それはもう十分だよ」と言われます。


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