2021年2月18日木曜日

台湾は理想の国か?

 私が子供の頃、つまり半世紀ほども昔から、日本の近隣諸国の中では、対日感情が最も良い国として、台湾の名前が挙がることが多かったと思います。1970年の大阪万博では、中華民国としてパビリオンも出していた台湾。

ところが1971年の国連決議で、国連代表の席は大陸中国のものとなり、以降は、オリンピックなどの国際競技などでは「Chinese Taipei (中華台北)」の名称を使用。実質的には堂々たる独立国なのに、建前上は曖昧な位置付けのまま。

私は、観光で何度も台湾に行ったことがあるし、台湾出身の人と仕事をしたこともあります。偶然にもテニス仲間の奥さんが台湾人だったりもして、私にとっての台湾は、フィリピンに次いで身近な国。

そんな経験からしても、日本が嫌いという台湾人には会ったことがない。逆に台湾や台湾の人を悪く言う日本人も知りません。こうした日本〜台湾の国民同士の関係の良さを思うと、ちょっと信じられないながら、二国間は表向き、国交のない状態が続いています。まぁ、ビジネスでもプライベートでも、往き来することに障壁は感じないので、私はあまり意識しませんが。

さて、日本からフィリピンに移住して、もうすぐ丸8年になろうかという私。何かにつけて感じるのが、良しにつけ悪しきにつけ、両極端な日本とフィリピン。

機械のように何でもスケジュール通りに進み、神経質なまでに清潔好きな日本。それが高じて、少なからぬ労働者が精神的な問題を抱え、いまだに家庭生活が破綻するほどの長時間労働は無くならない。社会での男女の平等さでは、世界ランキングで下から数えた方が早い。

一方のフィリピンは、時間に対する感覚がダラダラのユルユル。仕事でも遊びでも、オンタイムで約束を守る人が少数派。だいたい、新しいショッピングモールが開店するにしても、一体いつ建物ができるのか「神のみぞ知る」なので、本当の直前になるまで、オープン予定日の告知が行えない。また周囲の人も、それが当たり前と思っている。

その代わり、自殺は滅多にないし、たまにあっても大抵は恋愛の悩みが原因。男性の生活力はダメでも、女性の社会進出はすごい。一緒に仕事するなら、相手は女性かゲイの方が、ずっと頼りになるお国柄。

日本とフィリピンの中間ぐらいの国があったら、住むには理想的だなぁと、溜息混じりに思うことが多い。でも、よ〜く考えてみたら、ひょっとして台湾って、その理想の国なんじゃないか? 地理的に、日本とフィリピンの中間に位置するだけではなく、いろんな意味で。

私の知識は、ほぼ台北市内とその周辺の一部に限定されるものの、まず街並みは普通にきれい。道路も鉄道も、日本と遜色がないぐらい整備されてるし、治安も悪くない。よく働くし、時間も金銭の感覚も日本と変わらないけど、意味のない長時間労働は聞いたことがない。家族と過ごす時間を大切にする人も多い。

さらに、世界一のホスピタリティを誇るフィリピンに比べても、台湾人のおもてなしの心は、まったく引けを取らない。私の感覚では、むしろ台湾の人の義理堅さは、フィリピンよりすごいかも。受けた恩は絶対に忘れない上に、倍返し三倍返しにしてくれます。

なんて書くと、台湾に住む私の友達は、実際に台湾に生まれ育ったら、苦労もあるし嫌な部分もいっぱいだと言うかも知れません。これは飽くまで日本人である私の、外国人としての感覚。そりゃどんな国にだって、良い人もいれば、嫌な人だっている。

それでも、「理想の国」は、少々持ち上げ過ぎにしても、住みやすい国だと思いますよ。

今私がフィリピンのネグロス島にいるのは、フィリピン女性と結婚して家庭を持ったから。さらに言うと、妻になった女性が、信頼に足る存在だったからに他なりません。結果的に、やや早すぎる老後の人生を送るには、日本よりフィリピンの方が、私には向いていたと言う話。

ただ、もし家内が台湾人で、同じように台湾に移住していたとしても、良かったんじゃないかと思います。単に住み心地だけを比較するなら、ネグロスより台湾の地方都市の方が、適応しやすかったかも。

ということで、今から再度の移住までは無理でも、コロナ禍が終息したら、1ヶ月ぐらいゆっくりと、台湾で過ごしてみたいなぁと思っている次第です。



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