2023年4月6日木曜日

国際結婚悲喜交々 どっちの言葉で話する?

 ここ数年ぐらい、ツイッター経由で、フィリピン人パートナーを持つ知り合いが増えて、パパになった、ママになったと幸せな知らせを聞くことも多くなりました。それ以外の国との国際結婚で、子育て中カップルも何組かおられるし、少子化対策には国際結婚の奨励を、なんて短絡的なアイデアさえ浮かんでくるぐらい。

冗談はさて置き、母語が異なる両親にとっては、産まれてくる我が子に何語で接するかは、なかなか切実な問題。この話題は以前にも投稿した通り、あんまり雑にやると、どの言語も母語として定着しない、マルチ・リンガルならぬセミ・リンガルという、子供の論理的思考に支障を来たすような状態になることもあるらしい。

まぁ普通に考えて、小学校の3、4年生になるぐらいまでは、日常会話は一つの言語の方がいいんでしょうね。少なくとも家の中では、日本語なら日本語だけ、英語なら英語だけ。ただし、子供によって個人差はすごくあるだろうし、戦時中の日本みたいな「英語は敵性言語だから使用厳禁」という過剰反応はしない方がいい。

今年18歳になる息子の場合、生まれて小学校1年が終わるまでが日本。その後、高校生の現在までがフィリピンで育ちました。その間、幸い家内が日本語に慣れてくれたお陰で、家庭内はほぼ日本語で統一。とは言え、幼児の頃から家内が英語の絵本の読み聞かせをしたり、フィリピン人の親戚や友人が頻繁に訪ねてきたり。基本は日本語で、周囲には英語やフィリピンの言葉が普通にある、といった環境でした。

そして気になる学校は、小・中・高校一貫で、授業の言葉は英語という私立校。もちろんイロンゴ語(西ネグロスの方言)とフィリピノ語(タガログ語を母体にした公用語)も必須で、息子はイマイチ苦手。全教科の平均点が90点以上なのに、フィリピノだけ追試になったりすることも。

まぁ、これはある程度しょうがないと思います。学習すべき言葉が4つというのは、いくら何でも多過ぎ。一つ得意科目があるだけでも御の字なので、親としては、落第さえしなければそれで良いと言う態度を通しました。フィリピン大学卒のインテリの家内は、結構教育ママぶりを発揮してますけどね。

そういう方針の結果、少なくとも日本語と英語は、高校生としてはまずまず悪くない理解度。ハリーポッターを両国語で普通に読めるし、オンライン日本語教室で日本史のテストの点も平均以上。元々お喋りは苦手であんまり社交的な性格ではないのは、持って生まれた資質。こればかりは、無理強いするようなことではありません。

ひとつだけ書き加えるとすると、父親が日常的に多忙過ぎて、子供との会話が皆無なんていうのは問題外。せめて毎夕食時の数分ぐらいは、ちゃんと話をするのが大前提。

さて、子供のことは置いといても、夫婦間のコミュニケーションはどうするか。

配偶者がヨーロッパ出身だと、英語圏ではなくても結婚以来10年20年ずっと英語という夫婦は結構多いらしい。私と家内も、最初の数年は英語オンリー。相互理解が図れるのが英語だけだったので、そうなりますわなぁ。

とは言え、結婚以来15年住んだ日本は、日本語が分からないと不便この上ない。家内には公文(くもん)の在日外国人向けの日本語コースに通ってもらったら、あっという間に敬語を使いこなすレベルに到達。

一般的には女性の方が言語能力は高いなんて言いますが、それだけでなく、住んでいる国の言語状況に左右される話。仮に私たちが最初からフィリピンに住み、かつ英語がまったく通じない環境だったら、私が地元の言葉をある程度喋れるようになったと思います。それが夫婦間の日常語になったかどうかは分かりませんけど。

かれこれ私たちの結婚生活も25年。今月末には銀婚式を迎える今になって思うに、良好な夫婦関係を保つことと、どちらかの母語を使うことは別問題。場合によっては母語で会話したばかりに、言葉尻にカチンとなって、しなくてもいい喧嘩になったりもします。



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